注目の投稿

「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2018-11-06

クールジャパンの真の教訓

官民ファンドのクールジャパン(CJ)機構で、損失リスクを抱える事例が相次いでいます。日経電子版の記事によると、発足から丸4年の投資24件中、決定後1年を超す事業の過半が収益などの計画を達成できていないそうです。

誰もがその経営判断の甘さと不効率にあきれることでしょう。けれども、CJ機構や官民ファンドだけが悪いのではありません。政府のかかわる事業すべてに共通する問題であることが、記事を注意深く読めばわかるはずです。

記事では「まず投資ありき」の姿勢がCJ機構の戦略なき膨張を招いていると指摘します。正しい指摘です。けれども、「まず投資ありき」はCJ機構や官民ファンドに限った話ではありません。政府の公共事業はすべて、「まず投資ありき」で決まっています。予算を消化しなければならないからです。

経済学者ケインズを教祖とするマクロ経済学では、公共事業は雇用を生むから正しいと主張します。たしかに公共事業は雇用を生みます。しかしそれをいうなら、CJ機構などの官民ファンドだって、伝統工芸の食器や衣類、食品などを作るため、それなりの雇用を生んでいます。

もし雇用を生むという理由で公共事業を擁護するなら、CJ機構だって擁護しなければならないはずです。そんなことにならないのは、CJ機構の損失リスクが国民に伝わり、納税者のコストが意識されるからです。

一方、一般の公共事業は官民ファンド以上に採算が不透明で、納税者のコストが意識されません。むしろ納税者にコストを意識させないよう、わざと採算をわからなくしているふしがあります。その結果、官民ファンドほど批判されないにすぎません。

記事では、CJ機構の投資先決定に経営陣の不透明な関与があると指摘します。これまた官民ファンドに限った話ではありません。一般の公共事業では、政治家が陰に日に大きく関与しています。

CJ機構は日本の経済政策の例外ではありません。縮図です。世耕弘成経済産業相は「CJ機構の抜本的な見直しを指示した」と5月の国会で答弁しましたが、抜本的見直しが必要なのは、政府が当然のように市場に介入する姿勢そのものです。(2017/11/06)

2018-11-04

愚かな税の大迷惑

観光庁が出国税の導入を検討しています。訪日外国人の増加を背景に、国内の観光資源を整える財源に充てるのが狙いだそうです。ところが実際には、日本人の海外旅行や出張の旅客も対象といいます。来日客でもないのにどうして払わなければならないのか、理解に苦しみます。

1人あたりの徴収額は1000円を見込むそうです。観光庁はこれくらいなら大丈夫と考えているようですが、格安航空会社(LCC)の利用客や若者の旅行者には無視できない金額でしょう。肝心の来日客が減ってしまったら元も子もありません。

出国税は欧米にもあるそうですが、税金の場合、欧米でやっているからまともだとはいえません。歴史上、日本顔負けの愚かな税を数多く導入してきたからです。英ニュースサイト、キャップXで英国史上有数の愚かな税を紹介しています。

1712年に導入された「壁紙税」。当時、上流・中産階級の間で人気となった、色や模様付きの壁紙を標的にしました。

税導入の結果、非課税の無地の紙を買い、自分で彩色・彩画する人が続出。税は壁紙作りに余計な時間を取らせ、経済全体の効率を悪化させました。

1696年に導入され、150年以上も続いた「窓税」。これも富裕な市民が標的です。窓が10個以上ある建物が課税の対象となりました。税を逃れるため、多くの家が窓をれんがで塞ぎます。

政府の意図に反し、窓税で一番苦しむことになったのは借家人として入居する貧困層でした。小さい家、窓の少ない家が増えた結果、暗くて狭い住環境を強いられたのです。

「帽子税」もあります。1784年から1811年まで、特別売上税の対象になったのです。当時、帽子は壁紙や窓と同じく、金持ちの贅沢品とみられていました。

帽子屋は課税を逃れるため、帽子の呼び名を「かぶり物(headgear)」に変えました。政府は帽子の法的な定義を見直さざるをえなくなります。法律専門家が大まじめで帽子の定義に貴重な時間を割かなければならないとは、どうみても無駄です。

日本の出国税にも、海外旅行は贅沢だから課税するという時代錯誤な感覚を感じます。愚かな税として社会に迷惑を及ぼし、将来恥をかかないよう、今のうちに撤回してはどうでしょうか。(2017/11/04)

第3の道はない

農業支援策の欺瞞
トランプ米政権は、米国の高関税措置への報復で中国などが米農産物にかけた関税の影響を和らげるため、農業支援策を講じる。これは問題解決にならない。支援額は農家が貿易戦争で被る損失には満たないし、大手の農業関連企業を潤すばかりで、小規模な農家の助けにはならない。
Protectionism Abroad and Socialism at Home | Mises Wire

幼稚産業を保護するな
将来有望な「幼稚産業」を自由貿易から保護せよとの意見がある。しかし将来どの産業・企業が成長するかは、政治家や官僚にもわからない。かりにわかったとして、その産業が成熟したとき政治家が保護をやめるとは思えない。建前がどんなに立派でも、保護主義は腐敗をもたらす。
'Infant Industry' Argument Does Not Justify Trade Barriers | Competitive Enterprise Institute

介入政策の末路
もし政府が命じ、より安全に運転できる自動車を造らせたなら、人々は安全運転をしなくなり、その結果、交通事故の死亡率は期待したほど下がらないだろう。一見正しそうな政府の介入政策に賛成するのは賢明でない。この警告を繰り返し発することがエコノミストの重要な役目だ。
Economics Is the Best Mythbuster in History - Foundation for Economic Education

第3の道はない
金融緩和は経済危機と不況をもたらす。信用膨張はあらゆる商品とサービスの価格を高騰させる。市場実勢を上回る水準に賃金を無理やり上げれば、大量の失業が続く。価格に上限を設けると商品の供給が落ち込む。だから資本主義と社会主義を混ぜ合わせた「第三の道」は失敗する。
The Bigotry of the Literati | Mises Wire

2018-11-03

王道の企業、邪道の企業

企業には2種類あります。一つは、魅力ある商品・サービスで顧客を満足させ、その対価で自分も富を築く企業。もう一つは、権力と結託して不公正な取引で潤う企業です。いうまでもなく企業としては前者が王道、後者は邪道です。厄介なことに、同じ企業が王道から邪道に道を踏み外す場合もあります。

昔からそうでした。清水廣一郎『中世イタリア商人の世界』によれば、イタリア商人は13世紀、フランドル特産の上質毛織物やイングランドの羊毛をフランスのシャンパーニュの市で取引し、台頭していきます。欧州各地に支店網も巡らしました。

その一方で、王侯貴族ら権力者と結びつきます。権力者にとって、イタリア商人は資金力だけでなく、優れた事務能力や金融の知識も大きな利用価値がありました。

イタリア商人は宮廷の財政を管理する財務官のような役割を担い、貨幣の発行にも知恵を貸します。フランス王フィリップ4世がしばしば行った貨幣の悪鋳の責任は、イタリア商人にあると非難されたほどです。

こうして当初は市場で頭角を現したイタリア商人は、清水氏が述べるように、権力者に密着してさまざまな特権を獲得する典型的な「特権商人」の道を歩みます。

経済力に加え、政治力まで手中にしたのですから、イタリア商人の地位は盤石に見えます。しかし、むしろもろさが潜んでいました。14世紀半ばに英仏間で百年戦争が起こり、両国の王から資金を求められたイタリア商人は、多額の貸し付けを余儀なくされます。その原資には各地の顧客から預かったお金も含まれていました。

結局、英国王に対する過度の貸し付けは取り立て不能となります。一方でフランス王からは敵の英国王に貸し付けを行ったかどで社員が逮捕され、商品は没収、信用が失墜しました。栄華を誇ったイタリア商人は相次いで破産します。

最初は王道を歩んでいた企業が、規模が大きくなるにつれ権力と癒着し、規制や補助金で守られる邪道に陥る例は、近現代の日本でも少なくありません。しかし最後に残るのは、政治に頼らず、顧客に支持される王道の企業です。(2017/11/03)

男女格差の真実

CEOと囚人
男性はノーベル賞受賞者、著名企業CEOのそれぞれ95%、STEM(科学・技術・工学・数学)専攻学生の68%を占める。だが一方で囚人の93%、自殺者の80%弱、ホームレスの70%を占める。男性が囚人になるのは本人のせいだとしたら、CEOになるのも本人のおかげと言わなければならない。
Your "Privilege" Level: How Much We Can Steal From You in the Name of Equality | Mises Wire

男女格差の真実
男女の賃金格差の原因は差別ではなく、おもに家事と育児に割く時間の違いによる。だから結婚せず子供のない男女の間に賃金格差はほとんどない。男女の能力は平均すれば同等だが、男性は女性よりばらつき(ノーベル賞、チェス名人、ホームレス、犯罪、精神疾患など)が大きい。
Racism, Sexism, and Slavery - LewRockwell

選択とは差別
料金が安くて評判も良い庭師に仕事を発注せず、代わりに高い報酬で友人に頼む人は、高いコストという罰を市場から受けているのか? そんなことはない。自分が取引したい相手以外を「差別」することで得られる、より大きな利益のために進んで追加の金銭コストを払うのだから。
The Market Isn't a Schoolmarm: The Austrian School versus Chicago | Mises Wire

女性のきこりを増やそう?
女性の割合が低いのはテック企業だけではない。むしろ他の職業の男女差が大きい。きこり(男性94.9%)、屋根職人(98.3%)、ごみ収集人(91.4%)、製鉄所工員(98%)、鉱夫(99.9%)、漁師(99.9%)、トラック運転手(94%)など。なぜか女性の割合を高める運動はないようだ。
7 Non-Tech Jobs That Underrepresent Women (And the Story They Tell) - Foundation for Economic Education

2018-11-02

少子化対策に大幅減税を

安倍晋三首相は第4次安倍内閣の発足を受けた記者会見で、少子高齢化の克服に向けた新たな政策パッケージを来月上旬に取りまとめるとともに、待機児童の解消などを目的に今年度の補正予算案を編成する考えを表明し、政策の推進に全力をあげる考えを強調しました。

政府はこれまでも少子高齢化を食い止めようと、結婚・妊娠・出産・育児などの支援策をあれこれと打ち出してきました。しかし効果は疑問ですし、私生活への干渉になりかねません。歴史を振り返ると、もっとスマートな人口増加策が見えてきます。それは市場経済の拡大です。

鬼頭宏『人口から読む日本の歴史』によれば、日本は過去1万年に人口の波が4つあります。①縄文時代②弥生時代以降③14~15世紀以降④19世紀~現代――です。①②④の時期はそれぞれ気温上昇、水稲農耕、工業化を支えに人口が増えました。

興味深いのは、室町時代に始まる③の波です。人口成長を支えた原動力は「市場経済の展開」だと鬼頭氏は指摘します。具体的には、隷属農民の労働力に依存する名主経営が解体し、家族労働力を主体とする小農経営への移行が進んだことです。

室町時代には貨幣の普及とともに利潤獲得の機運が高まり、農民はより良い生産方法を求めて選択的に行動するようになります。隷属農民に依存する旧来の名主経営は、衣食住などの費用がかさむうえ、勤勉な労働が期待できず、生産効率が悪かったのです。

晩婚や生涯独身の多かった隷属農民が自立することで、社会全体の有配偶率が高まり、出生率が上昇しました。一方で、食生活の充実や住生活の向上により死亡率も改善します。この背景にも、生産力向上や流通の拡大など市場経済の発展がありました。

現代の隷属農民といえば、稼ぎの多くを税金(社会保険料を含む)で取り上げられる企業家や労働者でしょう。新内閣には市場経済を活性化する規制緩和とともに、大幅な減税を期待します。小手先の少子化対策よりも、はるかに効果が大きいはずです。(2017/11/02)

2018-11-01

政府が格差を是正できない理由

「政府は富の格差拡大を是正しなければならない」という意見を毎日のように目にします。けれども、いくつか疑問があります。

まず、そもそも格差は本当に拡大しているのかどうか。次に、かりに本当だとして、是正が必要なのかどうか。特に見落とされやすいのは3点めの疑問です。それは、政府に富の格差拡大を是正するインセンティブ(誘因)があるかどうかです。

考えてもみましょう。政府を動かす政治家・高級官僚の多くは、富のピラミッドの上位に入る金持ちです。だとすれば、わざわざ自分の富を減らすような格差是正策を実行したがるでしょうか。むしろ逆ではないでしょうか。

日経電子版の記事によれば、安倍晋三首相が表明した3~5歳の保育所の無償化に対し、与党内から「所得再分配に逆行する」との批判があるそうです。高所得者層への恩恵が大きいからです。

無償化が全額補填を意味するなら、高額所得世帯は年間100万円以上もの負担減になります。金額にして、年収約1130万円以上の世帯は年収約260万円未満の世帯の17倍もの恩恵を受けるそうです。一方、生活保護世帯では恩恵はゼロです。

格差拡大を批判する人たちは、自己の利益を追求する市場経済では格差は是正されないので、政府に任せるべきだといいます。しかし政府を動かす政治家や官僚は、聖人君子でも天使でもありません。やはり自己の利益を追求する生身の人間です。

著名な知識人でも、この当然の事実を忘れがちです。英文記事にあるように、米哲学者のジョン・ロールズは、自由放任的な資本主義は公正な機会の平等などを受け入れないとして、政府の介入を求めます。ところがその一方で、金持ちは教育で培った知性や財産を利用して政治権力を手に入れ、法体系を作って経済を支配するとも述べます。

おかしな意見です。金持ちが政府を支配していると認めながら、政府は金持ちに不利な政策を実行せよと求めるのですから。(2017/11/01)

2018-10-31

社会主義は救世主か

英国で空前の社会主義ブームが巻き起こっています。最大野党労働党のジェレミー・コービン党首の支持率はメイ首相の保守党と逆転し、次期首相の座も現実味を帯びてきたようです。

コービン氏は行く先々でロックスターのような歓迎を受け、若年層の圧倒的な支持を集めています。今月初めの日経電子版によれば、イニシャルの「J・C」にちなみコービン氏を「ジーザス・クライスト(イエス・キリスト)」とまで呼ぶ支持者もいるというから驚きます。

英国は金融危機後の格差拡大や緊縮財政を背景に、中低所得層の不満が蓄積しているといいます。けれども、英国であれ他のどの国であれ、社会主義は救世主にはなりえません。

今年はマルクスの主著『資本論』第1巻刊行から150年、レーニンが率いたロシア革命から100年にあたります。世界で社会主義の誤りをあらためて記憶に刻む好機のはずです。ところが英国の熱狂的なコービン人気が示すように、社会主義の誤りは忘れられ、むしろ美化が進もうとしています。

マルクスは『資本論』で、あらゆる価値は労働者が生み出すという「労働価値説」をもとに、利潤はすべて資本家による労働者の搾取から生まれると主張しました。

労働価値説は、近代経済学の父といわれる英国のアダム・スミスも信じていた説です。けれどもその後、誤りだとわかりました。同じ労働力をかけて作った製品でも市場で価値が異なる事実を説明できないからです。

しかしマルクスは誤った労働価値説をもとに『資本論』第1巻を書き、その後、考えが行き詰まったのか、なかなか続きを出さないまま死んでしまいました。第2巻、第3巻はマルクスの死後、遺稿をもとに盟友エンゲルスが編集・刊行したものです。

土台から間違ったマルクスの経済学は、現実を説明できなくなります。マルクスの思想をロシア革命で実現しようとしたレーニンですら、各国で資本家が労働者を搾取するという考えは誤りだと認めました。工業国の多くで労働者の生活水準が向上する事実に反したからです。

社会主義はかつて民衆を熱狂させ、その民衆を苦しめて終わりました。歴史の悲劇を繰り返さないためには、熱狂でなく理性が必要です。(2017/10/31)

2018-10-30

脱デフレ政策の疑似科学

相関関係と因果関係が別物だというのは統計学のイロハです。AとBという現象が同時に起こった(相関関係)からといって、AがBの原因(因果関係)だとは限りません。ところが過去5年近く、政府・日銀は両者を混同し、脱デフレ政策の根拠としてきました。

たとえば、内閣官房参与としてアベノミクスを支える浜田宏一エール大名誉教授は「世界経済の奇跡といわれる日本の高度成長は、緩やかなインフレとともに達成された」(『アメリカは日本経済の復活を知っている』)として、白川方明前日銀総裁時代の末期に始まった物価目標政策を支持してきました。

しかし、ある時期に物価上昇と経済成長という2つの現象が同時に起こった(相関関係)からといって、物価上昇が経済成長の原因(因果関係)だとはいえません。それはたとえば、米国で資本主義が急速に発展した1870〜80年代、物価がほぼ一貫して下落した(デフレだった)ことからも明らかです。

昔から、科学を表面的にしか理解しない人々は相関関係と因果関係を混同し、的外れな主張をしていたようです。鋭い批評家でもあった英作家チェスタトンは、名探偵ブラウン神父を主人公とする短編推理小説シリーズの中で、そうした疑似科学の思考を批判しています。「機械のあやまち」という作品です(『ブラウン神父の知恵』所収、中村保男訳)。

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、導入部にこんな場面があります。心臓の反応を利用した新しい精神測定法が米国で評判になっていると聞かされたブラウン神父は、あきれてこう叫びます。「それじゃまるで、女の人が顔を赤くしたからおれはその人に愛されているんだと考える男とちっともかわらないセンチメンタリストだ」

女性が男性を見て顔を赤くした(相関関係)からといって、それが恋愛感情によるもの(因果関係)だとは限りません。男性のズボンのファスナーが開いていたからかもしれません。

ブラウン神父は、科学を自称する測定法についてこんな含蓄ある言葉も発します。「なにかをぴたりと指しているステッキには一つ不便な点がある。ステッキの反対の端が正反対の方向を指すということだ」

脱デフレを唱える人々は、インフレだから経済成長できたといいます。けれども実際は、インフレにもかかわず経済成長できたのかもしれません。だとすればステッキの意味を正反対に解釈したことになります。

2018年4月に任期が切れる黒田東彦日銀総裁の後任は、黒田氏続投が本命視されるそうです。疑似科学に基づく金融政策がさらに続くのでしょうか。(2017/10/30)

2018-10-29

中国経済を笑えるか

ナショナリズムは理性を曇らせます。その一例は、中国経済に対する日本人の見方です。中国経済の先行きに黄信号がともると、ざまあみろとばかりに喜ぶ人たちがいます。けれども中国経済が抱える問題の本質は、日本にも共通したものです。

日経の連載記事「習近平の支配」によれば、中国の習近平総書記は1期目の当初、「資源配分で市場が決定的な役割」を果たす改革を進めると公言したにもかかわらず、実際は国有企業を大きくする道を選びました。

1~8月の製造業などの利益は国有企業が46%増に対し、民営企業は14%増にとどまっています。効率を高める改革は滞り、借金や投資に過度に頼る「古い中国」がゾンビのように温存されているといいます。

別の海外記事で、スウェーデン出身の若手経済学者、ペール・ビュールンド氏は最近中国を訪問した経験を踏まえ、中国経済は国家プロジェクトに依存し、入居者のいない高層ビルなど大きな無駄が生じていると指摘します。そして最近の中国経済の奇跡とは「根本から偽物」と厳しく批判します。

中国政府が推進する「一帯一路」構想も、同様の国家プロジェクトです。どれほど無駄な政府支出でも経済成長にカウントする国内総生産(GDP)の仕組み上、当初は成功とみなされるかもしれません。しかし市場経済に基づかないため、結局は悲惨な失敗に終わるだろうとビュールンド氏は予測します。

けれども、これらは決して日本経済と縁遠い話ではありません。

ビュールンド氏は、中国経済とは「とんでもない規模のケインズ流雇用政策」だと表現します。経済学者ケインズの主張に従い、雇用を生み出すため、無駄でもいいので政府が公共事業をどんどん行うというものです。

これは日本のアベノミクスによる「機動的な財政政策」と変わりません。日本の保守政権と中国共産党の経済政策が同じとは、皮肉な話です。

中国経済が臨界点に向かっているとしたら、笑いごとではありません。日本経済も同様の困難が待ち受けるでしょう。(2017/10/29)

2018-10-28

人はみな起業家

起業家支援のおせっかい
経済の自由度が大きな国ほど、起業家活動は盛んになりやすい。起業を増やしたければ、起業家活動を妨げる政策をなくさなければならない。米国では起業支援に熱心な州ほど起業は低調という調査結果。政治がしゃしゃり出るほど起業は衰える。たとえ政府にそのつもりはなくても。
Don't Mix Politics and Entrepreneurship | Mises Wire

起業家と経営者
起業家と経営者は違う。経営者の役割は経費を下げ、赤字にならないようにすることだが、起業家の役割は消費者に提供する価値とその価格を考えることだ。経費節減のことばかり考える起業家は経営者であり、起業家ではない。価値と価格を確立する前に経費を気にする余裕はない。
Most Entrepreneurs Are Bad Entrepreneurs | Mises Wire

人はみな起業家
経済学者ミーゼスによれば、起業家の本質は、すでに存在して他人が気づかないものを発見することではなく、不確実な未来に目を凝らすことにある。広い意味で、あらゆる人間は起業家である。自分の努力が望むとおりの結果をもたらすかどうか、決して確実にはわからないからだ。
Entrepreneurial Discovery: Who Needs It? | Mises Wire

規制より賢い方法
「ながらスマホ」を法律で規制せよという意見がある。しかし法律が正しい解決策とは限らない。UXデザイナーは政治家よりはるかに人間行動を理解している。政治家は特定のやり方を人に押しつける。UXデザイナーは人の求めに注意を払い、それをより良くかなえるやり方を考える。
A Better Way to Reduce Texting-Related Driving Deaths - Foundation for Economic Education

ケネディはなぜ死んだのか

陰謀論と聞くと、それだけで冷笑する人が少なくありません。たしかに、陰謀論には荒唐無稽なものもあります。けれども、すべてを頭から「トンデモ」と決めつけるのも理性的な態度とはいえません。

ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺事件を巡る機密文書の一部が米国立公文書館のウェブサイトで公開され、話題となっています。

日経電子版が伝えるように、ケネディが米テキサス州ダラスでのパレード中に狙撃され、死亡したのは54年前の1963年11月。米政府の調査委員会(ウォーレン委員会)は元海兵隊員のリー・オズワルド容疑者(移送中に射殺)による単独犯行と断定しましたが、証拠は乏しく、外国政府や米情報機関が黒幕との陰謀論が今も絶えません。

暗殺の真相をめぐっては議論が百出し、謎解きに挑戦した本は数えきれないほどです。その中で興味深いのは、2014年に邦訳が出たジェイムズ・ダグラス『ジョン・F・ケネディはなぜ死んだのか』です。

学生の反戦運動に参加しハワイ大学神学教授の職を辞した異色の経歴の持ち主であるダグラス氏が焦点を合わせるのは、冷戦の頂点でケネディが踏み出した外交政策の転換です。

ケネディは冷戦の戦士として登場し、大統領就任演説では、共産主義陣営に対抗するには十分な武力が必要との考えを表明しました。しかし核戦争寸前までいったキューバ危機を経て、軍縮と平和に方向転換します。

1963年5月、同年末までに南ベトナムから米軍関係者1000人を撤退させる具体的な計画を作成するよう命令。さらに、核実験禁止条約締結と全面的かつ完全な軍縮政策を同時にめざすよう命じた国家安全保障行動覚書第239号を発令します。

同年6月にはワシントンのアメリカン大学で卒業式のスピーチを行い、「軍事力によって米国が世界に強制するパクス・アメリカーナ」を拒否し、事実上、冷戦終結を提案します。凶弾に斃れたのはその5カ月後でした。

ケネディが敵である共産主義者との和平に向かったため、米中央情報局(CIA)や統合参謀本部、軍産複合体の反発を買い、これら国内勢力から暗殺されたというのがダグラス氏の考えです。

ダグラス氏は、具体的に誰が暗殺を計画し、命じたかまで特定はしていません。政府が情報をすべては明らかにしていない以上、やむをえないことです。重要なのは仮説をやみくもに否定せず、事実に基づき検証することです。今後の究明が待たれます。(2017/10/28)

2018-10-27

一番大事な金融リテラシー

政府の暴力性は日常ではあまり目立たちません。しかし財政破綻という非常事態に直面すると、それがむき出しになります。終戦直後に強行された預金封鎖、通貨切り替え、財産税といった緊急措置がまさにそれでした。しかも政府はぎりぎりまで、財政は大丈夫と嘘をつきました。

法政大学教授の小黒一正氏は著書『預金封鎖に備えよ』で、一連の緊急措置を詳しく記します。ハイパーインフレに直面した日本政府は1946年、預金封鎖と通貨切り替えに着手。5円以上の旧銀行券をすべて銀行など民間金融機関に預けさせ、生活や事業に必要な額だけを新銀行券で引き出させました。

新たな税も導入します。柱の一つが財産税です。国内に在住する個人を対象に、一定額を超える財産(預貯金、株式などの金融資産及び宅地、家屋などの不動産)に課税。最低税率25%で、1500万円超の財産には実に90%も課税されました。

政府は太平洋戦争開戦前夜の1941年に作成した小冊子で、「国債がこんなに激増して、財政が破綻する心配はないか」という問いに対し「全部国民が消化する限り、すこしも心配は無いのです」と答えています。小黒氏が言うとおり、なんとも「強烈な嘘」です。

私たち国民にとってせめてもの慰めは、こんな非道な政府の暴力からも、多少は逃れる余地があったことです。預金封鎖を事前に察知して預貯金を大量に引き出して株券などに替えておき、新銀行券に切り替わって安定してから現金化した人々もいたようです。財産税による資産没収も、貴金属なら隠せないことはありませんでした。

最近、金融リテラシーに対する関心が高まっているのはよいことです。ただし今から学ぶのであれば、運用商品の利回りがどうこうという細かい話ではなく、非常時に政府から資産を守る知恵こそ一番大事でしょう。政府は教えてくれそうにありませんしね。(2017/10/27)

2018-10-26

規制を疑わない国

規制は何らかの目的を達成するための手段です。だから、ある規制が目的の達成にふさわしくなければ、変更や廃止を考えるのが当然のはずです。ところが日本では不思議なことに、そういう意見がほとんど出てきません。

日産自動車の不正検査が問題になっています。無資格の従業員が新車の完成検査をしていたためです。日産はこれまでに約120万台のリコール(回収・無償修理)を決め、車両の出荷を一時停止。テレビコマーシャルや新車キャンペーンも中止しました。大変なことです。

ところが報道では申し訳程度にしか触れられないのですが、これはすべて国内向けの車だけの話です。同じ工場で、同じように無資格者が検査していても、海外向けの車なら何の問題もありません。現に日産は海外向けの車の生産は続けています。

なぜなら、海外では安全性を審査する制度が異なるため、無資格者が検査しても問題とされないからです。

これはおかしな話です。もし有資格者による完成検査が安全のためにそれほど重要なら、海外でも必要とされるはずです。

この点についてジャーナリストの井上久男氏が現代ビジネスで詳しく解説しています。それによると、完成検査とは「儀式」の工程にすぎず、何のノウハウもないといっても過言ではないといいます。

そのうえで同氏は、国土交通省が主管の「型式認証制度」は一部が時代遅れになりつつあり、安全上問題がないのであれば、有資格者による検査制度は廃止にすればいいし、逆に問題があるのならば、今はあいまいな有資格者を厳密に定義せよと述べます。今回の問題の本質は、まさにこういうことでしょう。

お上の決めた規制を金科玉条のように奉って時代遅れになろうと疑わず、破った者はけしからんと有無を言わさず叩く。日本人の一番醜い姿ではないでしょうか。(2017/10/26)

2018-10-25

北朝鮮の資本主義

市場経済は世界に平和と繁栄をもたらします。これは環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の最中、日本政府も盛んに強調した真実です(政府によってガチガチに管理されたTPPが市場経済かどうかは別として)。そうだとすれば、朝鮮半島の緊張が緩和に向かうかもしれない良い兆しがあります。北朝鮮で市場経済が成長しつつあるのです。

北朝鮮経済は社会主義経済と経済制裁で壊滅状態かと思っていましたが、日経「経済教室」で三村光弘・環日本海経済研究所調査研究部主任研究員は「たびたび訪問して肌で感じる変化からすれば、ここ5年程度は毎年3~7%〔略〕ぐらいのプラス成長だったように思われる」と述べています。

北朝鮮は公式には社会主義計画経済のままです。しかし黙認ベースで存在する非国営部門や、国営部門と非国営部門の協働などから成長が生まれていると三村氏は推定します。

金正恩時代に入り、全国の協同農場で自らが担当する田畑の収穫高が分配に大きく反映されるなど、市場経済的な改革が実施されています。国営企業でも生産ラインごとに様々な工夫がなされ、さながら「社内起業ブーム」の様相を呈している企業も多いというから驚きます。

北朝鮮にひそかに生まれつつある資本主義はまだ小さなものかもしれません。しかしその成長を邪魔せず、「国全体を変える原動力」(三村氏)にすれば、朝鮮半島と周辺地域の平和と繁栄に道を開くでしょう。報復を招くだけの軍事圧力や経済制裁よりもずっと賢明な方法です。(2017/10/25)

2018-10-24

右翼と左翼は変わらない

インターネットの世界では日々、ネット右翼とネット左翼がののしり合っています。国政選挙ともなると大変です。なんだかばかばかしくなってきます。だって、右翼と左翼が正反対に見えるのは表面だけの話で、本質は同じなのですから。

右翼と左翼に共通する本質を一言でいえば、国家主義です。どちらも社会のさまざまな問題は国家権力によって解決できるし、解決しなければならないと信じています。

右翼と左翼の同質性を象徴する人物がいます。安倍晋三首相の祖父、岸信介元首相です。岸氏はタカ派の保守派政治家として知られます。けれども姜尚中・玄武岩『大日本・満州帝国の遺産』が述べるように、政治思想は社会主義の強い影響を受けていました。

戦前、企画院を根城として軍部幕僚層と結びつき、国家改造をめざす「革新官僚」と呼ばれる官僚グループがいました。商工省出身の岸氏はその有力メンバーです。彼らに共通するのは、若い頃、当時インテリの間で流行していたマルクス・レーニン主義的な社会科学の影響を受けたことです。

一方で岸氏は東京帝国大学の学生時代、日本の国家社会主義者である北一輝に心酔していました。北の著書『国家改造案原理大綱』を夜を徹して筆写したといいます。

官僚として出世し満州国に渡った岸氏は、ロシア革命で誕生したソ連の統制経済をモデルに、国家建設の実験に取り組みます。けれども企業の利潤追求を制限したため、開発は思うように進みませんでした。

敗戦でA級戦犯となった岸氏はやがて政界に復帰し、戦後も国家社会主義的な政策の実現に努めます。第二次岸内閣のときに最低賃金法や国民年金法が成立し、社会保障制度の充実が図られたのはその表れです。

現在、社会保障が弱者に満足のゆくサービスを提供できず、財政を危機状況に追い込んでいることを考えると、岸氏の国家社会主義的な経済政策は厳しく評価されなければならないでしょう。右翼と左翼のもう一つの共通点は、経済の道理に無知なことです。(2017/10/24)

2018-10-23

棄権したら政府に文句はいえない?

衆院選の投票率は小選挙区、比例代表ともに約54%で、台風の影響もあってか、戦後2番目の低さでした。有権者の半分近い約46%の人々が棄権したわけです。

ところで、棄権は悪いことだとよくいわれますが、それは正しいでしょうか。

棄権を批判する人はよく、「投票しなければ政府に文句はいえない」といいます。けれども、これはどうみてもおかしな意見です。

第1に、もしこの意見を大まじめに法的な意味に取れば、政府を批判する人は、投票した証明書をいつも首からぶら下げていなければなりません。もちろん、そんなことをする人はいません。投票したかどうかにかかわらず、政府に文句をいう自由は誰にでもあります。

第2に、「投票しなければ政府に文句はいえない」が法的な意味ではなく、「投票した人だけが政府に文句をいう倫理的な資格がある」という意味だとしたらどうでしょう。これも成り立ちません。

むしろ逆ではないでしょうか。政府が何か問題を起こしたら、その政府を選んだ有権者こそ、文句をいう倫理的な資格がないはずです。だって、自分が良いと思って選んだ政府なのですから。一方で、政府を選ばなかった棄権者は堂々と文句をいえるはずです。

参政権は読んで字のごとく、国民の権利です。権利である以上、行使しない選択肢もあるはずです。投票を強いるような世論はよくありません。そして棄権しても、政府を批判する資格はあるのです。(2017/10/23)

2018-10-22

仮想通貨の官営化

先日、ロシアが独自の仮想通貨「クリプトルーブル」の発行を決めました。GIGAZINEによれば、プーチン大統領が非公開の政府閣僚会議で指示し、ニキフォロフ通信情報相が明らかにしたとのことです。

プーチン大統領はかねて、ビットコインなどの仮想通貨はマネーロンダリング(資金洗浄)や脱税、テロ資金の調達に利用されるとして批判していました。それが今回、みずからその発行に乗り出すわけです。

クリプトルーブルは通常の通貨であるルーブルといつでも交換できますが、出所が証明できない場合、13%の税を課されるもようです。マネーロンダリングなど不正行為の手段として使われないようにするためです。

ニキフォロフ通信情報相によれば、仮想通貨導入を決めた一つの理由は「もしロシアがやらなければ、ユーラシア経済共同体に加盟する近隣諸国が2カ月後に行うため」といいます。同共同体はロシアのほか、ベラルーシ、カザフスタン、ウズベキスタンなどが加盟しています。

ロシアによる政府公認の仮想通貨導入は、中国に続く動きです。中央銀行である中国人民銀行は7月、政府公認の仮想通貨の導入を検討すると表明しました。サンケイビズによると、同銀系の金融時報は9月19日付で、政府公認での早期発行を期待するとの評論を掲載し「ビットコインなどが国家の通貨発行権に挑戦することは許されない」と断じています。

日本ではロシアや中国の経済政策というと、「社会主義」「全体主義」と馬鹿にする声が多いのですが、仮想通貨に関する限り、考えに大差はありません。1円でも多く税金が欲しいときに国民に財産上のプライバシーは許したくないでしょうし、誰もがビットコインしか使わなくなればリフレ政策などできなくなります。

中ロにならって仮想通貨が政府の管理下に置かれる日は、そう遠くないかもしれません。(2017/10/22)

2018-10-21

共産主義のファンタジー

市場から暴力へ
社会主義の経済政策の誤りは、資本主義に取って代わった後も変わらず事業を運営できるという考えにある。党員を役員に送り込んでも、正しい経営判断はできない。私有財産に基づく価格体系がもはや存在しないからだ。市場の導きがなければ、財の配分は力づくで決めるしかない。
4 Reasons Why Socialism Fails | Mises Wire

ここにある社会主義
米国人はベネズエラの社会主義の失敗に騒ぎながら、トランプ大統領が1.3兆ドルもの歳出法案に署名しても何の心配もしない。これはベネズエラが想像すらできない規模の社会主義だ。この額だけで同国GDPの3倍にもなる。この戦争福祉国家社会主義に米国で誰か抗議しただろうか?
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Venezuela's Socialism...And Ours

共産主義のファンタジー
あなたが一番好きなファンタジー作家は『ハリー・ポッター』のJ・K・ローリング? 『指輪物語』のJ・R・R・トールキン?『ナルニア国物語』のC・S・ルイス? 『氷と炎の歌』のジョージ・R・R・マーティン? それとも『資本論』のカール・マルクス? 共産主義を笑うジョーク。
8 Funny Memes that Skewer Communism

労働者の友?
歴史家ポール・ジョンソンによれば、カール・マルクスは工場や鉱山など労働現場を生涯一度も訪れたことがなく、誘いを受けても断った。金のために働くことを拒否したので金がなく、金をくれない者を呪った。母親いわく、「資本を少しは集めればいいのに。書くだけじゃなく」。
A Historian Explains Perhaps the Biggest Lesson of the 20th Century - Foundation for Economic Education

2018-10-20

仮想通貨に監視の影

ビットコインなど仮想通貨のメリットの一つは、お金に関するプライバシーが守られることだといわれてきました。政府や銀行に預金残高や取引記録を把握されないからです。けれども、それが将来も続く保証はなさそうです。

金融情報サイト、マーケットウォッチの動画で、ブロックチェーン技術会社ノード40の最高経営責任者(CEO)、ペリー・ウッディン氏が解説するように、米トランプ政権は仮想通貨に強い関心を示しています。

行政管理予算局長となったミック・マルバニー下院議員は、仮想通貨とその中核技術であるブロックチェーンの熱心な支持者として知られます。しかし民間で発達したサービスが政府の関心の的となるのは、利用者にとって必ずしもいい兆しではありません。

日経電子版が報じたように、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)について、米証券取引委員会(SEC)が7月、条件次第で証券法上の有価証券にあたるとの見解を出したのに続き、米国商品先物取引委員会(CFTC)も今月、ICOで発行される「トークン」が監視対象になる可能性があるとの見解を示し、ビットコイン相場が一時急落しました。

動画の解説によれば、日本の国税庁にあたる米内国歳入庁(IRS)はブロックチェーンの分析に力を入れ始めています。税務調査に利用するためです。税当局がブロックチェーンの分析ノウハウを習得すれば、仮想通貨を利用する個人のプライバシーには脅威となります。

ウッディン氏は、ブロックチェーンは透明性が高いだけに、政府にとって現金よりも規制がたやすいと指摘しています。(2017/10/20)