2024-11-21

政府効率化省にロン・ポール氏を!

デビッド・ゴルノスキー(作家)
2024年11月20日

ほとんどの米国人は、スリムで効率的な政府、すなわち憲法に従い、財政的に誠実な政府を切望する心を持っている。この追求において過去60年間、これほど象徴的で執拗な人物は、元下院議員のロン・ポール氏をおいて他にいない。最近(次期米大統領)トランプ氏が発表した、イーロン・マスク氏とビベック・ラマスワミ氏が率いる「マンハッタン計画」政府効率化省(DOGE=ドージ)にまつわる興奮をよそに、必要な削減を実現するうえで、ロン・ポール氏ほど誠実な推進役はいないだろう。伝説のドクター・ノー〔訳注・医者であり、新たな支出や増税に対して一貫して反対票を投じたことからついたあだ名)をテーブルにつけ、DOGEのリーダーシップを完璧なものにすべきだ。
ロン・ポール氏は、真実と財政保守主義に対するお手本ともいえる献身の姿勢をもたらす。憲法と自然法の原則に基づく生涯にわたる政府縮小の提唱は、同氏を唯一無二の適任者としている。1970年代にさかのぼる警告と努力により、米国を財政破綻から救おうとするうえで、ロン・ポール氏ほど信頼に足る人物はいない。

ポール氏は、政府の運営に積極的に関与することを望んでいないと表明している。DOGEは非政府組織だと宣言しているから、これは好都合だ。しかしポール氏が実際に出向いたり日々関与したりする必要はない。ポール氏は、DOGEプロジェクト内で自身の理想や優先事項を代弁する人々を簡単に派遣することができる。この役割は、権力を振りかざすことではなく、揺るぎない原則に基づいて政策を導くことだ。

ロン・ポール氏の哲学によると、削減の最初の対象となるのは、多くの人が思い込んでいるのとは逆に、貧困層を支援する福祉事業ではない。代わりに同氏が優先事項として挙げるのは、企業への助成金廃止と、縁故主義にまみれた莫大な軍事費の削減である。これらの分野は、財政の無駄遣いであるだけでなく、米国の価値観と資源に対する裏切り行為である。米国は、世界の警察官、代理戦争、政権転覆作戦といったカネのかかる網に絡め取られすぎており、これらは国益に資するものではなく、また、我が国の子供たちを破産から守るものでもない。有権者がトランプ氏に託した「米国第一主義」の命題を達成するには、国内外で歴史的な政府の規模の縮小を実現しなければならない。さもなければ、破局が待ち受ける。

次期副大統領のJ・D・バンス氏が最近述べたように、ロン・ポール氏による連邦準備理事会(FRB)に関する洞察は非常に貴重だ。この違法な機関と、その悪用やインフレによる貧困層や中流階級からの収奪に対するポール氏の闘いは、耳を傾けるべきものだ。FRBとの存亡を賭けた対決にすぐに直面する可能性があるトランプ、マスク両氏にとって、ロン・ポール氏の視点は極めて重要になるかもしれない。ポール氏の金融政策に関する理解は、米国の経済状況を再定義するような決断を下す際に、両氏を導くことができるだろう。

DOGEの物語は自らを正当化する。 ポール氏との交流は、マスク氏だけにとどまらない。ポール氏と多くの価値観を共有し、選挙戦中にはポール氏の支持者を積極的に取り込もうとしていた人物、ラマスワミ氏ともポール氏は対談している。このつながりは、米国の建国250周年記念日まで、ポール氏の助言を常に得ておくことの重要性をさらに強調している。財政保守主義と自由の代弁者の声が単に聞かれるだけでなく、影響力を持つことを確実にするためだ。

米国が政府の無駄を大幅に削減する必要があるという主張は目新しいものではないが、DOGEとポール氏の関与による取り組みは、新鮮で、潜在的に変革をもたらす見解をもたらす。これは単にコスト削減を意味するのではなく、政府の行動を建国の父たちが掲げた生命、自由、幸福の追求という理念に沿うようにすることを意味する。

トーマス・ジェファーソン(第3代大統領)は中央銀行に警告を発した。ジョン・クインシー・アダムズ(第6代大統領)は「米国は怪物を滅ぼすために外国へ出向くことはない」と述べ、ジョージ・ワシントン(初代大統領)の意見を繰り返した。トランプ氏の個人的なヒーローであるアンドリュー・ジャクソン(第7代大統領)は、米国で2番目に設立された中央銀行を廃止したことが自分の最大の功績だと述べた。ロン・ポール氏と建国の父たちとの共鳴は尽きることがない。ポール氏の助言に従うことは、トランプ氏に建国の父たちを国の意思決定に再び呼び戻す機会を与えることになる。

(次を抄訳)
For DOGE to Hunt Waste, It Needs Ron Paul to Sic It - LewRockwell [LINK]

【コメント】「ドージ(Doge)」は「犬(Dog)」を意味するスラングで、インターネットミーム(ネット上の面白ネタ)として話題になった柴犬を由来としている。ここから「ビットコイン」をまねて2013年にジョークとしてつくられた仮想通貨がドージコインで、イーロン・マスク氏が愛好することで知られる。同氏のトランプ政権入りにより、ついに「政府効率化省」の略称にまで出世を遂げた。狩りの名人ロン・ポール氏のかけ声とともにワシントンの沼地に飛び出し、米政府の無駄を食い尽くしてもらいたいものだ。もともと柴犬だし、ぜひ日本にも来てほしい。

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