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「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2025-03-28

ミレイ氏、リバタリアンの評判を台無しに

経済学者、ハンス・ヘルマン・ホッペ
(2025年3月21日)

*米アラバマ州オーバーンのミーゼス研究所で開催された「オーストリア学派経済研究会議 2025」での講演より抜粋。


(ミレイ・アルゼンチン大統領に)妥協が必要なのはわかる。しかし、最終的な目標に反するような妥協をしてはならない。

もちろん彼(ミレイ大統領)のやったことのいくつかが改善だったことは否定しない。けれど一方で、アルゼンチンはあまりに悲惨な状況で、何の改善もしないのは難しい。(会場笑)

彼(同)は、中央銀行を廃止すると言いながら、しなかった。そればかりか、金融担当の政権幹部は中央銀行出身者ばかりだ。

彼(同)は、中央銀行をなくしたら前より大幅なインフレになるといった。それを聞いて、私は心中、彼は経済学について何も知らないなと思った。

彼(同)の就任以来、マネーサプライは2倍になった。経済に無知な彼のファンにとってはまったくどうでもいいことだろう。1年間に増やした債務は前任者の誰よりも多い。

彼(同)は増税はしないと言った。増税するくらいなら腕を切り落とすと言った。今、いくつかの税を引き上げ、そこらを走り回っているが、腕はついている。(会場笑)

オーストリア派リバタリアンの外交方針は、中立と不干渉だ。しかしミレイ氏が就任して最初に言ったのは、NATO(北大西洋条約機構)にぜひ入りたい、だった。たとえアルゼンチンが北大西洋になくてもだ。(会場笑)
*東アジアにあるのにNATOに入りたがっている日本人はこれを笑えない。

ミレイ氏の一番の友人はネタニヤフ(イスラエル首相)だ。ネタニヤフはもちろん大量虐殺者でジェノサイドに関与している。彼のような人間を、どんなリバタリアンであろうと、擁護できるとは理解できない。

ミレイ氏はリバタリアンの評判を台無しにした。リバタリアンはネタニヤフ、ゼレンスキー(ウクライナ大統領)、トランプ(米大統領)の友人に違いないと思われるようになってしまった。我々は彼ら全員に反対しているのに。

(次より抜粋)
Considerations and Reflections of a Veteran Reactionary Libertarian | Hans-Hermann Hoppe - YouTube [LINK]

【コメント】オーストリア学派経済学の重鎮ホッペ氏による、再度のミレイ氏批判。75歳となったホッペ氏は、多少の言い間違いはあるものの、ユーモアを交え、彼らしい視野の広さと骨太な論理で、ホッペ氏の師でもあるマレー・ロスバード氏を尊敬するというミレイ氏の欺瞞を暴いていく。ミレイ氏がリバタリアンの評判を台無しにしたという怒りは、真のリバタリアンなら誰もが共有する思いだろう。一方、ミレイ氏を英雄として担ぎ回る日本のいわゆる自由主義界隈は、ホッペ氏の指摘するような、ミレイ氏の内政・外交の問題点から目をそらし続けている。深い失望を禁じえない。

2025-03-18

また会う日まで

◾️自由主義研究所の山本勝市読書会に参加させていただき、多くの交流をもてたことに感謝しています。参加者も人柄の良い方々で、これが自由主義という原理原則にかかわる集まりでなければ、わだかまりなく、お付き合いを続けることができたでしょう。しかし、自由主義研究所がアルゼンチンのミレイ大統領を熱烈に支持し始めてから、私の中で当惑と失望が広がっていきました。
 ミレイ大統領の政策には多くの問題があります。内政に限っても、選挙活動中は中央銀行を廃止すると言っていたのに、就任後はそれをひるがえし、あれこれ言い訳をしています。それどころか、マネーの量を大幅に増やすインフレ政策を行っています。インフレは私有財産の侵害です。自由主義に反します。
 内政以上に問題なのは外交です。ミレイ大統領は、女性や子供を含むパレスチナの一般市民を大量殺害する、イスラエル政府を熱狂的に支持しています。イスラエルとパレスチナの間にどんな対立があろうとも、イスラエルの行為が人道に反するのみならず、生命・身体・財産の権利を擁護する自由主義に反することは、火を見るよりも明らかです。
 ミレイ大統領の政策には評価すべきものもあるでしょう。それなら、評価すべき点とそうでない点を冷静に分析するべきです。それがいやしくもシンクタンクを名乗る組織の役割でしょう。ところが実際には、ミレイ氏個人を英雄のように祭り上げ、「自由万歳!」と叫ぶ。その自由に、パレスチナで殺される子供の自由、徴兵されるイスラエル人の自由、税金をイスラエル向けの兵器に使われる米国民の自由は、入っているのでしょうか。そういうことを、考えたことがあるのでしょうか。
 これらの批判は、ミーゼス研究所やその関連のリバタリアン系サイトの記事にありますし、私もそのいくつかを翻訳し、自分のブログに載せてきました。しかし、自由主義研究所はそんな批判には無頓着です。あらゆることに目を配ることが難しいにしても、ある政治家個人を応援するのなら、お祭り騒ぎに興じる前に、最低限の調査と分析は必要でしょう。シンクタンクとしてのあるべき道に立ち返ることを願います。

◾️地元の神奈川減税会には勉強会の講師を任せていただくなど、お世話になりました。飲み会などで交流するメンバーは感じの良い方々で、自治体の無駄遣いに憤るなど、価値観も共通するものがありました。しかし、あるときから、インフレ政策を主張する金子洋一元参議院議員を強く支持するようになりました。インフレは税の一種ですから、「すべての増税」に反対する減税会であれば、本来なら反対すべきものです。インフレは現預金の価値を奪いますから、私有財産を擁護する自由主義にも反します。
 この問題について、神奈川減税会の中でどのような議論があったのか、知りません。おそらく、インフレが税であり、それを続ければ増税になるという認識が、十分浸透していないのでしょう。それは一般の人も同じだと思います。今回私が、インフレ批判に主眼をおく経済勉強会を立ち上げたのは、それを痛感したからでもあります。私は神奈川減税会を去りますが、私の発信が何らかの形で届き、インフレという税について認識を深めてもらえればと願います。

◾️神奈川減税会を通じて知り合った、大和市の星野翔議員は、まじめで偉ぶったところがなく、好感を抱いていました。それだけに、昨年、X(旧ツイッター)で岩倉竜也さんを侮辱する投稿をしたときには、非常に驚きました。岩倉さんの主張が気に食わないなら、小学生のような悪口を書き連ねたり、チェリー(童貞の意味)の画像を貼り付けたりするのでなく、理路整然と反論するべきだし、そのほうが減税に対する人々の理解を深めることにもなります。
 その後(今年1月)、あるパーティーで直接会う機会がありましたが、岩倉さんの一件については、あえて話しませんでした。和やかに言葉を交わすことができ、これならもう、私の友人である岩倉さんに対し、あんなことはしないだろうと安心しました。ところが、またやったのです。これはショックでした。
 信者でもない私がクリスチャンの星野さんにこんなことを言うのは不遜かもしれませんが、相手のことがどんなに気に食わなくても、口汚く罵るのではなく、和解を求めるのがイエスの教えではないでしょうか。
 今でも私は、星野さんが悪い人間だとは思えません。けれども、しばらく時間をおいたほうがよさそうです。いつの日か、気持ちよく再会できることを願っています。

2025-03-17

「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

反インフレ経済勉強会のマーク

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説(MMT=現代貨幣理論など)によって広められています。

この勉強会で、そもそもインフレとは何か、インフレはなぜ税なのか、なぜ悪質なのか、インフレをなくすにはどうすればいいか、インフレから暮らしをどう守ればいいか、といったテーマについて、自由主義的な、正しい経済学(オーストリア学派)に基づいて、学びましょう(投資のノウハウを教える場ではありませんので、ご注意ください)。

勉強会は週1回(原則、火曜夜9〜10時)のオンライン形式です。代表・木村が自分のYouTubeチャンネルの動画を教材に、参加者の質問や感想を聞きながら、わかりやすく解説します。経済学の知識がなくても大丈夫です。毎回独立した内容ですから、休んでもついていけなくなる心配はありませんし、時々出るだけでも楽しむことができます。入退会は自由、参加は無料です。

勉強会はビデオ会議サービスのZoomを使いますので、参加の際は、使える環境を整えてください。ライブ配信やアーカイブ配信は参加者の同意があれば検討しますが、今のところ予定はありません。顔出しせず、ニックネームでの参加、聞くだけ参加もOKです(状況次第で見直す可能性はあります)。

勉強会のルールは一つだけ、「参加者が互いを尊重し、快適に学べる環境をつくる」。具体的には、「他の参加者の意見や質問を否定せず、ていねいに耳を傾ける」「異なる意見が出ても攻撃的な態度を取らず、建設的な対話を心がける」などです。このルールに度々違反した人は退会してもらいます。また、木村がソーシャルメディアなどで目にした言動から、このルールを守ることが難しいと判断した人は、かりに入会の申し込みがあっても、お断りします。

入会を希望される方は、下記の登録フォームから手続きをお願いします。承認後、参加方法や日程、当面のカリキュラムなどをお知らせします。

それでは、ぜひ参加をお待ちしています!

2025年3月
反インフレ経済勉強会代表
経済ライター・木村貴