2020-12-24

持続不可能な財政


最近、国連の音頭の下、持続可能性ということがやかましく叫ばれる。将来世代の暮らしを持続可能な形で改善するために、環境の保護、貧困・飢餓の撲滅、ジェンダー平等の実現などが必要だと訴える。

ところがそこでは、将来世代の暮らしにとって環境や平等に劣らず重要な、ある課題については決して触れない。財政だ。

報道によると、巨額の新型コロナウイルス対策で政府の借金が膨れ上がり、2021年の先進国の政府債務は国内総生産(GDP)比125%に達する見通し。リーマン危機直後(89%)はもちろん、戦費支出で世界の債務が急増した第2次世界大戦直後の1946年(124%)も超すという。

ちなみに日本は足元で266%と先進国中、断トツで最悪の水準にあるのはご存じのとおりだ。国の借金は一人当たり約900万円。

こんな風に書くと、一部の人から「国の借金は国民の資産だぞ」と怒られるかもしれない。理屈はそのとおりだ。うちには家族4人分、計3600万円の資産があるんだと無邪気に信じられれば、毎日を大船に乗ったような気分で過ごせるに違いない。

けれども、その資産が不良資産だったら目も当てられない。なになに、ちゃんと利息は払われるし、元本も返ってくるから大丈夫? それはよかった。でも、国はそのお金をどこから持ってくるの? まさか増税?

話題の現代貨幣理論(MMT)によると、国の借金を返すのに増税する必要はない。中央銀行が無からお金を作り出せばいい。でも、そんなことしたらインフレになるのでは? 「安心しろ、インフレになったら奥の手を出すから」「奥の手とは?」「増税」

要するに八方ふさがり。先進国の財政は持続不可能だ。とくに日本は、将来世代どころか現役世代ですら、巨大な財政破綻から逃れることはできないだろう。今さら回避するのは無理だとしても、せめて政府にこれ以上の浪費をやめさせ、「その日」の痛みを少しでも小さくしたい。

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