2021-04-14

隷従への道


経済学者ハイエクは著書『隷従への道』の第十章で、全体主義者が支持者を増やす手口について述べている。それは「従順でだまされやすく、自分の考えというものをまるで持っていない人を根こそぎ支持者にするというやり方」である。

ハイエクによれば「こういう人たちは、耳元で何度も大声でがなり立てられれば、どんな価値観も受け入れてしまう」。こうして「ものごとを深く考えようとせずあっさり他人に同調する人」や「すぐに感情が昂(たかぶ)る人たち」が加わって、全体主義の支持者はあっという間に膨らむ。

新型コロナウイルス感染症をペストに匹敵する死病であるかのように言い募り、大衆を洗脳しようとする現在の政府を予見したかのような言葉だ。多くの人は「従順でだまされやすく、自分の考えというものをまるで持っていない」という事実も、残念ながら、今回のコロナ騒動で思い知らされた。

ハイエクはさらに、全体主義の指導者が大衆の結束力を強める狡猾な手口について述べる。「敵」に対する憎悪を煽ることだ。

ナチスドイツやロシア革命の時代、敵はユダヤ人や富農だったが、今はコロナウイルスが敵とされている。しかしウイルスは人ではないから、憎しみの対象としては不十分だろう。早晩、マスクや時短営業、ワクチン接種などに非協力的・批判的な個人や事業者が、敵として認定され、憎悪の標的になるだろう。いや、すでになっている。

隷従への道を、私たちはすでに突き進んでいる。

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