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インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-02-25

麻薬戦争から米墨戦争へ?

Did Civil War in Mexico Just Begin? - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】「メキシコで内戦が始まったのか?」——経済評論家のマイケル・スナイダー氏は、メキシコ最大級の麻薬カルテル「ハリスコ新世代カルテル(JNGC)」の首領エル・メンチョの殺害をきっかけに、メキシコ全土が未曾有の混乱に陥っている現状をレポートしています。

著者は、不都合な真実として「麻薬密売はメキシコ経済の柱の一つである」と指摘します。カルテルは長年、政府軍を凌ぐほどの火力を持ち、実質的に国の一部を支配してきました。これまではカルテル同士の内戦にエネルギーが割かれてきましたが、今回の首領殺害にCIAが深く関与していたことが判明したことで、カルテルが共通の敵(メキシコ政府と米国)に対して団結するという、極めて不穏な事態に発展しつつあります。

現在、ハリスコ州のプエルト・バジャルタやグアダラハラでは、カルテルによる激しい報復活動が展開されています。

  • 都市の封鎖: 軍の移動を妨害するため、バスやタクシーが焼き払われ、道路が封鎖されています。

  • 交通インフラの麻痺: グアダラハラ国際空港では滑走路から煙が上がり、観光客がパニックに陥って避難する様子がSNSで拡散されています。

  • 市民と観光客への影響: 街全体がロックダウン状態にあり、閉じ込められた米国人観光客が「遺言状の場所を家族に伝えた」といった緊迫した証言も報じられています。

さらに懸念されるのは、これが米国内に波及する可能性です。一部のSNSアカウントは「米国内での大規模なテロ作戦」を警告しており、JNGCはトランプ政権に対しても「全面戦争」の構えを見せています。

著者は、もしメキシコ政府がカルテルによって崩壊するようなことがあれば、米国は介入(侵攻)を余儀なくされ、最悪の場合「米墨戦争」に発展するリスクがあると警告しています。「麻薬戦争」は今や、一国の治安問題を超え、北米全体の安全保障を揺るがす全く新しいレベルへと突入したというのがスナイダー氏の見解です。

イラン民主化の欺瞞

If You Think the US Wants To Bring Democracy to Iran, Watch What They’re Currently Doing to Iraq - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】「米国がイランに民主主義をもたらそうとしている」という主張がいかに欺瞞に満ちたものであるか。独立系ジャーナリストのケイトリン・ジョンストン氏による、イラクの現状を引き合いに出した鋭い告発記事をご紹介します。

著者は、米国が掲げる「民主主義」の実体とは、「ワシントンの指示に従う自由」であり、「ワシントンが認めたリーダーを選ぶ自由」に過ぎないと断じます。その具体的な証拠として、現在のイラクにおけるトランプ政権の介入を挙げています。

トランプ大統領は、イラクの次期首相候補として有力なヌーリ・マリキ氏が「イランに同情的すぎる」として、同氏が就任するならイラクの石油収入を遮断すると猛烈に脅迫しています。2003年の侵攻後、イラクの石油収入はすべてニューヨーク連邦準備銀行を通じて米ドルで支払われる仕組みに作り替えられました。これは、米国がいつでもイラクの国家予算を差し押さえ、一瞬にして国を破産させる「生殺与奪の権」を握っていることを意味します。

著者は、2003年の「イラクの自由作戦」の結果が、100万人の死者と地域の混沌、そして米国の軍靴の下での隷属であったことを指摘します。米国が中東で独裁政権や君主制を支え続けているのは、まさに「民意」を恐れているからです。もし真の民主主義が実現すれば、人々はイスラエルや米国に敵対し、自国民の利益を優先するリーダーを選ぶことを、ワシントンは熟知しています。

さらに恐ろしい指摘として、イランに対する米国の真の狙いは「民主化」ですらない可能性があると著者は論じています。タカ派の戦略家たちが提唱しているのは、イランを民族ごとに分断する「バルカン化(小国乱立状態)」です。これにより、統一国家としてのイランを破壊し、反抗的な地域大国を消滅させ、傀儡政権を維持する手間すら省こうとしているというのです。

「米国が求めているのは民主主義ではなく、地球規模の支配である」。この冷徹な結論は、自由や権利という美辞麗句の裏側に潜む、帝国の生存本能を浮き彫りにしています。

都市生活のリスク

The Scary Truth About Living in Big Cities During the Turbulent Times Ahead - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】「平穏な時代、都会は魅力的だが、混乱の時代、都会は負債になる」。投資家であり社会評論家のジェフ・トーマス氏による、激動の時代における「都市生活のリスク」についての洞察をご紹介します。

トーマス氏は自身の経験から、大都市が直面する2つの致命的な脆弱性を指摘しています。1つは供給網の脆弱性です。1973年のオイルショックを例に、都市生活がいかに他者への依存(燃料、食料、電気、水の供給)の上に成り立っているかを説きます。田舎なら自力で暖を取り、食料を確保する手段がありますが、都市では供給が止まった瞬間に選択肢が消え、人々は絶望し、その絶望が暴徒化を招く脅威となります。

2つ目は、都市部で発生する暴動の予測不可能性です。著者は暴動を「理由なきカオス」と表現します。一度火がつくとゲリラ戦のようにいたる所で同時多発的に発生し、警察の手にも負えなくなります。アパートの向かいに住む人の名前すら知らない希薄な人間関係の中では、相互扶助は期待できず、食料不足の中でパンを一つ持って歩くことさえ命がけの行為になると警告しています。

著者が推奨するのは、危機が本格化する前に「ボルトホール(逃げ込み場所)」を確保することです。理想的な避難場所の条件として以下の3つを挙げています。

  1. 政治的に安定した政府: 危機に際して強権的・独裁的にならない体制。

  2. 良き隣人: 互いに助け合える自立した人々がいるコミュニティ。

  3. 豊かな食料と水: 周囲に農地があるか、自給自足の手段がある場所。

歴史を振り返れば、多くの人は「最後の瞬間」まで待ち、パニックになってから逃げ出そうとします。しかしその時には、道中の燃料不足や略奪、そして移住先での既存住民からの拒絶(よそ者への不信感)といった困難が待ち受けています。

「最善を願う」のではなく、今すぐ「最悪に備える」こと。都市の利便性が凶器に変わる前に、自立した生活基盤をどこに築くべきか、真剣に検討すべき時が来ているとトーマス氏は締めくくっています。

政治の本質

The Notion That Politicians 'Work for the People' Is Ludicrous on Its Face - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】「政治家が国民のために働いているという考えは、それ自体が滑稽である」。リバタリアン(自由至上主義)の論客ゲイリー・D・バーネット氏は、2026年2月25日付の最新コラムで、現代の政治システムを「吸血生物」と皮肉り、その本質を痛烈に批判しています。

著者は、政治の本質を「他者を支配したいという欲望」であると定義します。いかなる政治家であっても、強制力を持って他人の上に立つことに合意している以上、その選択は道徳に反しており、自由を奪うものであると主張します。一部の人が「システムの中から変えよう」と善意で参加しても、その地位を維持するために強制力(税や暴力)を行使せざるを得ない以上、結果は同じだと切り捨てます。

現在の米国についても、著者は「狂気のテストに合格した状態」だと描写しています。

  • 社会の混乱: 戒厳令に近い移民法執行が市民の不安を煽り、統制を強化する手段となっている。

  • 経済の崩壊: 39兆ドルを超える巨額債務と通貨価値の下落(デベースメント)により、インフレの津波が庶民を襲い、多くの家庭が日々の生活すら困難になっている。

  • 外交の暴走: イスラエルの命令に従うかのようなイランへの攻撃示唆、ベネズエラやグリーンランドへの脅し、そしてCIAが関与する麻薬カルテルとの「偽りの麻薬戦争」がメキシコを地獄に変えている。

著者は、こうした深刻な事態の裏で、人々が「UFO」や「スキャンダル」、「ナショナリズムを煽るスポーツイベント」といった偽旗工作や気晴らしに気を取られている間に、AIによる監視、デジタルID、中央銀行デジタル通貨(ステーブルコイン)化といった「技術官僚(テクノクラート)による統制」が着々と進んでいると警告します。

「一体何人の政治家が、この狂気を止めるために国家を解体しようとしているか? 答えはゼロだ」と著者は断言します。政治家は寄付金を集めて再選すること、つまり権力を維持することのみを目的として存在しており、国民のために働くことなどあり得ない、というのがバーネット氏の冷徹な結論です。

キリスト教シオニズムの正体

The Huckabee Interview: How a Biblical Justification for Genocide Exposed the Core of Zionism and Its Threat to Civilization - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】テレビ番組でのある対談が、世界の地政学を揺るがす「地震」を引き起こしました。マイク・ハッカビー駐イスラエル米国大使がタッカー・カールソン氏のインタビューに応じ、「ナイル川からユーフラテス川に至るまでの土地は、神がユダヤ人に与えたものだ」と述べ、イスラエルによるその全域の領有を支持すると明言したのです。米国人ジャーナリスト、マイク・アダムス氏によるこの記事は、この発言が単なる個人的見解ではなく、米国の対中東政策の根底に潜む「キリスト教シオニズム」という思想の正体を暴いたものだと主張しています。

ハッカビー氏の発言は、サウジアラビア、エジプト、ヨルダンを含む14以上のイスラム諸国から即座に、かつてないほど激しい共同非難を浴びました。これらの国々は、この発言を「国際法に対する明白な違反」であり、「地域の安全に対する重大な脅威」であると断じました。著者は、ハッカビー氏が示した「神による征服の権利」という思想は、現代の文明社会や国際規範、平和的共存とは根本的に相容れない「民族至上主義的な教義」であると鋭く批判しています。

記事の核心は、こうした思想の根拠とされる「聖書の解釈」そのものが、19世紀以降に作られた「偽造」であるという指摘です。よく引用される「イスラエルを祝福する者は祝福される」という一節(創世記12:3)には、原文のヘブライ語でも主要な翻訳でも「イスラエル」という言葉は含まれておらず、本来はアブラハム個人とその子孫を通じた「全人類への祝福」を指すものでした。著者は、これを19世紀のスコフィールドらの神学が意図的に歪め、現代の政治実体としてのイスラエルへの無条件支援を正当化する「洗脳ツール」に変えてしまったと論じています。

この発言による地政学的な代償は計り知れません。アラブ諸国との信頼関係は一夜にして崩壊し、米軍によるイラン攻撃のための領空通過許可も、サウジアラビアなどによって拒絶される事態を招きました。また、正統派ユダヤ教徒(Torah Jews)からも、「シオニズムは19世紀の世俗的なナショナリズムであり、ユダヤの信仰とは無関係である」との反論が出ています。著者は、特定の民族が神の許可を得て他者を殺害し土地を奪うという論理を許せば、世界は永続的な混沌に陥ると警告し、私たちがこの「19世紀のナショナリズム」の呪縛を解き、相互尊重に基づく平和を模索すべきであると結んでいます。

帝国崩壊の音

The Sound of a Collapsing Empire - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】「帝国が崩壊する音は、爆発音ではなく、力ないトイレの洗浄音だった」。元米国空軍中佐のカレン・クウィアトコウスキ氏は、最新の記事で米軍の象徴とも言える最新鋭空母の惨状を引き合いに出し、超大国の終わりの始まりを痛烈に描き出しています。

その舞台は、建造費に約170億ドル(現在の価値)という巨費が投じられた史上最高額の軍艦、空母ジェラルド・R・フォードです。この「最新鋭」の軍艦が今、地中海でイランとの緊張に備える最前線にありながら、深刻な「トイレ問題」に直面しているというのです。豪華客船の技術を流用した真空式の排水システムは、軍事任務にはあまりに華奢で、配管の細さが仇となって故障が頻発しています。ある区画のバルブが一つ壊れれば、その部門のトイレがすべて使用不能になり、隊員たちは一回用を足すために40分以上も列に並ぶことを強いられています。

さらに深刻なのは、この修理が寄港中でなければ実質的に不可能である点です。本来予定されていた保守点検をキャンセルし、イスラエル支援のために無理な展開を続けた結果、5000人の乗組員の生活環境は劣悪を極めています。弱冠19歳の若者たちが、極限のストレス下で戦う空母の飛行甲板。配管に詰まった布やモップの頭は、単なる不注意ではなく、出口のない現状に対する若い兵士たちの怒りと欲求不満の表れではないかと著者は推測しています。

著者は、この事態を米国の軍事・産業・政治複合体の「無責任の象徴」と断じます。憲法を守ることよりも大統領への個人的な忠誠や見栄えを重視する高官たち、そして膨大な予算を投じながら稼働率が低い最新鋭兵器。これらは「借金によって世界的な覇権を維持できる」という幻想に基づいた外交政策の末路であるという指摘です。

「アメリカ帝国」の舞台が幕を閉じようとする今、この空母のトイレの前で交わされる隊員たちの落胆の声は、政治的愚行と帝国の放漫さに対する痛烈なリフレクション(省察)となるでしょう。著者は、私たちがこの「ポスト帝国」の段階にいかに平和的に、そして自由な姿で着地できるかを想像し始める時が来たと結んでいます。

欧州官僚の言論統制

How Unelected EU Officials Built a Transnational Speech Police | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】欧州連合(EU)の非選出の官僚たちが、いかにして「超国籍的な言論警察」を作り上げたか。多国籍テック企業のシニアマネージャーを務めるトマス・カラット氏による、衝撃的な内部告発的レポートをご紹介します。

2025年12月、欧州委員会はデジタルサービス法(DSA)に基づき、旧ツイッターのXに対し1億2000万ユーロ(約200億円)の罰金を科しました。驚くべきは、その理由が犯罪教唆などではなく、チェックマークのデザインや広告のレイアウトといった「透明性の欠如」にすぎなかったことです。著者は、これが単なる規制ではなく、世界で最も強力な「選挙で選ばれていない規制機関」による、民主的なプロセスを経ない言論統制の始まりであると警告しています。

DSAの本質は、EU加盟27カ国のうち、最も厳しい言論法を全欧州の標準にできる点にあります。さらに「信頼できる通報者」として政府公認のNGOや欧州刑事警察機構(ユーロポール)を任命し、プラットフォームに迅速なコンテンツ削除を迫る仕組みを構築しました。著者は、これが特に保守的な政治的主張や政権批判を標的にしており、プラットフォーム側も巨額の罰金を恐れて、法が求める以上の過剰な検閲を行う「構造的なインセンティブ」が働いていると指摘します。

その最たる例として挙げられているのが、ルーマニアでの大統領選挙です。2024年、反主流派の候補者が勝利すると、欧州委員会は根拠不明な「ロシアの介入」を理由にTikTokへの調査を開始し、それを口実に選挙自体が無効化されました。後にプラットフォーム側が「ロシアの関与を示す証拠は見当たらない」と回答したにもかかわらず、選挙結果は覆されたままです。

さらに著者は、EUの外交政策に批判的なジャーナリストや元軍高官の銀行口座が、裁判もなしに行政判断だけで凍結されている現状を報告しています。「ハイブリッドな脅威」や「不安定化活動」という曖昧な言葉を使い、反対派の経済的な息の根を止めるこの手法を、著者は「委員会による権威主義」と呼んでいます。このシステムは、民主主義がブリュッセルの制御不能な結果を生み出さないよう設計されており、自由な言論を脅かす最大の装置になりつつあります。

米右派の変質と自由の死

Rise of the Right-Wing Leninists | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの保守政治が「右派レーニン主義」とも呼ぶべき危険な変質を遂げているという、リバタリアン研究所のトーマス・エドレム氏による論考をご紹介します。

著者は、ウラジーミル・レーニンの「誰が誰を追い越すか(どちらがどちらを滅ぼすか)」という言葉を引き、現代米国の左右両陣営が、法治主義よりも「敵を撃破するための政治権力の行使」を優先させている現状を危惧しています。特に衝撃的なのは、米国内でICE(移民税関捜査局)などの法執行官によって殺害された一般市民、レネー・グッド氏とアレックス・プレッティ氏の死に対する保守層(MAGA)の反応です。彼らは、犠牲者が過去にパトカーのテールランプを壊したといった些細な非行を挙げ、「自業自得だ」と死を正当化しました。著者はこれを、法執行官の本来の任務である「生かして捕らえ、裁判にかける」という役割の完全な放棄であり、法治国家の崩壊であると断じています。

この傾向を著者は「右派レーニン主義」と呼びます。左派が反対者を「ナチス」と呼び死を喜ぶのと同様に、現在の右派も反対者を実態に関わらず「共産主義者」と一括りにし、国家による殺害すら容認する文化に染まっているという指摘です。自由な人間である証しとは、政府の役人に対しては常に疑いの目を向け、市民に対しては推定無罪の原則を守ることにあるはずですが、現在の米国右派にはその精神が失われつつあります。

著者は劇作家ロバート・ボルトの『わが命つきるとも』におけるトマス・モアの台詞を引用します。「悪魔を捕らえるためにイングランド中のすべての法を切り倒してしまったら、その後に悪魔が自分の方を向いた時、平らになった土地のどこに隠れる場所があるのか」と。政敵を滅ぼすために法を破壊すれば、最終的に守られるべき自由そのものが消滅してしまいます。

トランプ政権の幹部たちが犠牲者の墓の上で踊るような振る舞いを見せる中、著者は、政治的敵対者の死を望むことは自由の完全な敗北を認めることに等しいと警告します。法を武器として悪用するのではなく、法そのものを守ることこそが、米国が本来模範としてきた自由への唯一の道であると、エドレム氏は切実に訴えています。

麻薬戦争の解決策

Another Drug Lord Killed. Is the Drug War Now Over? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】メキシコで「エル・メンチョ」の名で知られる大物麻薬王、ネメシオ・オセゲラ・セルバンテスが殺害されたというニュースが世界を駆け巡りました。米国の弁護士であり自由尊重主義者のジェイコブ・ホーンバーガー氏は、この記事の中で、こうした「麻薬王の殺害」に熱狂する主流メディアの姿勢を、冷ややかな、しかし確信に満ちた筆致で批判しています。

著者は、大物麻薬王が殺害されるたびに「麻薬戦争に大きな進展があった」と喜ぶ人々の思考を「滑稽」だと切り捨てます。なぜなら、同様の出来事は過去数十年にわたって繰り返されてきた既視感のある光景に過ぎないからです。今回のエル・メンチョの死も、麻薬組織に「大きな打撃」を与えたと報じられていますが、現実は麻薬戦争の終結どころか、むしろ報復の連鎖と暴力の激化を招いています。実際にグアダラハラなどの都市では、殺害直後から激しい報復戦が始まっており、政府はさらなる弾圧を余儀なくされています。

歴史を振り返れば、1993年にコロンビアのパブロ・エスコバルが殺害された際も、当時の麻薬捜査官たちは歓喜に沸きました。しかし、ドラマ『ナルコス』が描いた通り、一人の王がいなくなれば即座に別の組織がその利権を奪い合い、暴力の総量はむしろ増え、麻薬の流通が止まることはありませんでした。国連の報告によれば、過去10年でコカインの利用者は大幅に増加しており、軍事的な制圧がいかに無意味であるかを統計が証明しています。

著者が最も深刻だと考えているのは、この終わりのない「麻薬戦争」が、米国内の市民の自由やプライバシーを破壊する口実となり、同時にメキシコという国そのものを崩壊させてきたという点です。ホーンバーガー氏は、一貫して主張している解決策を提示します。それは「薬物の合法化」です。麻薬王やブラックマーケット、それに付随する暴力の連鎖を一掃する唯一の方法は、それを法的な管理下に置き、犯罪組織の収益源を根絶することです。武力による解決は、関係する当局者たちの利権を永続させるための「ラケット(不正な金儲け)」に過ぎないと著者は喝破しています。

米の野望を阻止する者

Who Can Halt the ‘America First’ Ambition Rolling Across the Globe? – China Can - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】トランプ政権が掲げる「アメリカ・ファースト」という野望の正体と、それを阻止し得る勢力について、元英国外交官のアラスター・クルーク氏による鋭い分析をご紹介します。著者は、現在のアメリカが抱く「西側の支配力の回復」という壮大な目標が、冷酷な「力は正義なり」というニヒリズムに基づいていると指摘しています。

トランプ政権の幹部たちは、過去500年にわたる欧米の覇権が共産主義や反植民地主義によって衰退したと考え、それを力によって取り戻そうとしています。国際法を「ジャングルの掟」と切り捨て、他国の許可を得ずに突き進むこの動きを止めることができるのは誰か。クルーク氏は、ロシアやイランと連携した中国こそが、その鍵を握っていると主張します。

現在、米国は中国経済を貿易戦争で絞め殺し、海上封鎖によってエネルギー経路を遮断しようと画策しています。しかし、著者は、米国が自らの傲慢さ(ヒュブリス)ゆえに致命的な見落としをしていると警告します。軍事面では、中国は1941年当時の米国のような圧倒的な生産能力を持っており、造船能力は現在の米国の200倍に達します。一方、米国の軍艦は錆に覆われ、修理すらままならない惨状です。

さらに深刻なのは金融面での敗北です。トランプ氏は関税によって中国を屈服させられると考えていましたが、実際には中国は米国以外の世界市場へと輸出先を転換し、過去最高の貿易黒字を記録しています。対照的に、米国は構造的な貿易赤字と膨大な債務を抱え、実質的に「破産状態」にあります。中国が米国債の購入を停止すれば、米国の財政状況は悪化の一途を辿るでしょう。

著者の分析によれば、トランプ氏の戦略の核心は、米国の輸出を伸ばすために中国に市場シェアを譲らせることですが、競争力を失った米国製品にはその力がありません。結局、米国はドルを切り下げ、さらなる赤字支出に頼るしかなく、システム全体に亀裂が入り始めています。米国の市場は例外的な存在であり、誰もそこから排除されるわけにはいかないという「アメリカの傲慢」こそが、自らを窮地に追い込んでいるのです。カードを握っているのは、もはや米国ではなく中国であるというのが、著者の冷徹な結論です。

ある女性の政治的勇気

American Pravda: A Christian Beauty Queen Challenges Zionist Power, by Ron Unz - The Unz Review [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの保守論壇で大きな議論を呼んでいる、ある女性の政治的勇気についての記事をご紹介します。執筆者は、米国の社会批評家ロン・アンズ氏です。

著者はまず、自分自身が抱いていた「ミス・コンテストの優勝者」に対する偏見を告白することから始めています。トランプ政権下では、実務経験不足で混乱を招いた元美少女コンテスト出身の起用が目立ちましたが、元ミス・カリフォルニアのキャリー・プレジャン・ボーラー氏だけは、それらの人物とは全く異なる「本物の強さ」を持っていたと、著者は高く評価しています。

彼女は、トランプ大統領が新設した「ホワイトハウス宗教自由委員会」のメンバーに任命されました。しかし、ガザ地区での凄惨な死と破壊を目の当たりにした彼女は、自身の信仰をエバンジェリカルからカトリックへと改宗し、委員会で「私はカトリック教徒として、シオニズムを完全に拒否する」と宣言したのです。これが、反シオニズムを即座に反ユダヤ主義と結びつける他の委員たちの激しい怒りを買いました。

著者が特筆しているのは、プレジャン氏が主流メディアの「レッテル貼り」に一切屈しなかった点です。彼女は「私の教会は常にシオニズムを拒否してきた。全米7,200万人のカトリック教徒を反ユダヤ主義者と呼ぶのか」と問い直し、イスラエルによるガザでの虐殺を是認するのかと真っ向から追及しました。著者は、この姿勢を「政治の世界では極めて稀な個人的勇気」であると称賛しています。

プレジャン氏は、2009年のミスUSA大会でも、政治的に正しい回答をすれば優勝できた場面で、あえて自身の宗教的信念に基づいた発言を選び、栄冠を逃した過去があります。著者は、彼女が単に「アクセス(権力への近さ)」や地位を守るために魂を売るような人物ではなく、孤立を恐れずに真実を語る自由な人間であると分析しています。

この記事を通じて著者は、米国の政治家たちが特定のロビー団体を恐れて沈黙する中で、一人の「カリフォルニアの母親」が示した道徳的な一貫性が、いかに現政権や社会に衝撃を与えているかを浮き彫りにしています。米国内の宗教的・政治的な対立がいかに深刻であるか、私たちは彼女の行動から読み取ることができます。

銀の魅力とは?

Pressing Questions Asked by Gold & Silver Investors... (Winter 2026) [LINK]

【海外記事紹介】貴金属への投資に関心を持つ方々からは、基礎的な仕組みから専門的な運用方法まで多岐にわたる質問が寄せられます。2026年冬、市場が活況を呈する中で特に多くの方から選ばれた3つの代表的な疑問に対し、専門家が分かりやすく回答しています。これから資産を守り、増やそうと考えている日本人の皆様にとっても、非常に示唆に富む内容となっています。

まず、銀という金属の特殊性についてです。銀はしばしば「貧者(貧しい人)の金」と呼ばれますが、その魅力は金に劣りません。金に比べて1オンスあたりの価格が手頃なため、多くの現物を持てるという利点があります。金価格が高騰すると、投資家はより多くの数量を確保できる銀に目を向け始めますが、銀市場は金よりも規模が小さいため、わずかな資金流入でも価格が劇的に跳ね上がる性質を持っています。さらに、銀には「貨幣」と「産業資材」という2つの顔があります。光の反射率や電気・熱の伝導率において地球上の金属で最高クラスの性能を誇り、AIやクリーンエネルギー分野での需要が爆発しています。歴史的に見ても銀は金に対して割安な水準にあり、直近の半年間の価格動向は、市場がようやく銀の真の価値に気づき始めたことを示唆しています。

次に、どの政府発行のコインが優れているかという点です。結論から言えば、投資家の好みによりますが、賢明な投資家は米造幣局の製品を避ける傾向にあります。近年の管理不備により、米政府系コインは市場価格に対して非常に高い手数料(プレミアム)が乗っており、売買価格の差も拡大しています。他の国の政府発行コインはより効率的に供給されていますが、経験豊富な投資家は、さらに手数料が安く、換金効率の良い民間鋳造所発行のバーやラウンド(メダル型の地金)へとシフトしています。

最後に、これはアメリカに限った話になりますが、貴金属を用いた個人年金(IRA)の受け取り方法についてです。将来、積み立てた資産を受け取る際、必ずしも売却して現金化する必要はありません。保有する現物をそのまま自宅に引き出し、現物資産として受け取ることが可能です。もちろん、一部を売却して現金で受け取ることもでき、状況に応じた柔軟な選択ができる点が大きなメリットです。

リーマンショックのツケ

JPMorgan CEO: This Looks A Lot Like the Run-Up to 2008 [LINK]

【海外記事紹介】現在の経済状況には、2008年のリーマンショック直前を彷彿とさせる不気味な共通点が見え隠れしています。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、資産価格の高騰と、銀行業界の競争激化によって融資基準が緩和されている現状が、2008年以前の数年間と酷似していると強い警鐘を鳴らしています。マイク・マハリー氏によるこの記事は、金融界の重鎮が抱く焦燥感と、私たちが直面している危うい経済構造の本質を浮き彫りにしています。

ダイモン氏は、人々が現在の高い資産価格や取引量に安住し、「何の問題も起きない」と楽観視し始めていることに大きな不安を感じています。かつての2005年から2007年にかけても、好景気の波がすべてを押し上げ、誰もが巨額の利益を上げ、限界までレバレッジをかけていました。しかし、ダイモン氏に言わせれば、資産価格が高いこと自体がリスクを増大させているのです。利益を追求するあまり、一部の貸し手が融資基準を緩めて「愚かな行為」に走っている現状は、かつての不動産バブル崩壊前夜と重なります。次の危機の引き金がAI関連のソフトウェアになるのか、あるいは別の何かなのかは分かりませんが、サイクルは必ず一転すると同氏は断言しています。

この記事の核心的な指摘は、世界経済が2008年の過ちを真に清算できていないという点にあります。リーマンショック後、連邦準備制度(FRB)は長期間のゼロ金利と巨額の債券購入を続け、経済に膨大なマネーを注入しました。これにより資産価値と債務が膨張し、経済は「安易なマネー」という劇薬なしでは立ち行かない依存状態に陥りました。2019年にも引き締めを試みましたが、経済が揺らぎ始めるとすぐに利下げへと転じ、パンデミックによる大規模な刺激策でさらなる先送りがなされたに過ぎません。

現在、マネーサプライは再び急速に拡大しており、インフレ圧力が強まっています。FRBが緩和的な姿勢を強めるほど、ドルの購買力は低下し、ダイモン氏が危惧する過熱した火に油を注ぐことになります。経済という名の「依存症患者」は、現状を維持するためにより多くの薬を必要としていますが、それは破滅的な過剰摂取への道かもしれません。投資家は目先の熱狂をノイズとして退け、来るべきサイクルの転換に備えて、自らの資産を守るための計画を冷徹に立てるべきであると、この記事は締めくくっています。

プラチナ、構造的な供給不足

World Platinum Investment Council: Recent Price Correction Better Aligns Market With Fundamentals [LINK]

【海外記事紹介】貴金属市場が激動の様相を呈する中、プラチナ価格の動向が大きな注目を集めています。2025年に前年比119%という驚異的な上昇を記録したプラチナは、2026年1月下旬には1オンスあたり2,923ドルの史上最高値を付けました。その後、金や銀とともに大幅な価格調整局面を迎えましたが、現在は2,000ドル付近で底堅く推移しています。マイク・マハリー氏によるこの記事は、世界プラチナ投資評議会(WPIC)の見解を引きながら、この価格変動の背景にある真の要因を鋭く分析しています。

評議会の分析によれば、1月の急騰は地政学リスクやマクロ経済環境を背景とした「貴金属ブーム」に巻き込まれた結果であり、市場のファンダメンタルズ(基礎的条件)から一時的に大きく乖離していました。独自の価格帰属モデルを用いた試算では、1月26日時点のスポット価格と理論値の間には500ドル以上の乖離、つまり「説明のつかないプレミアム」が乗っていたと指摘されています。しかし、その後の価格調整と2月の緩やかな回復を経て、市場は再びプラチナ独自の需給バランスという現実的な動向に焦点を合わせ始めました。

現在、プラチナ市場が直面している最も重要な事実は、構造的な供給不足が解消されていない点です。2024年には約100万オンスの供給不足が発生し、2025年もそれを上回る規模の不足が見込まれています。2026年こそ需給が均衡する見通しですが、市場の逼迫感は依然として強く、2027年以降は再び不足に転じ、2030年までその傾向が続くと予測されています。この需給のタイトさは、現物のリースレートの高止まりや、ロンドン店頭市場での「バックワーデーション(先物より現物が割高な状態)」という現象に明確に表れています。

今後の価格を支える要因として、世界プラチナ投資評議会は5つのポイントを挙げています。継続的な供給不足、鉱山生産とリサイクル双方の停滞、米国の関税導入リスクを相殺する中国の投資・宝飾需要の強さ、そして歴史的に見て金価格に対してプラチナが依然として割安であるという点です。2011年以前はプラチナの方が金よりも高価であるのが一般的でした。この記事は、最近の価格調整が市場を健全な状態に戻したと結論付けており、投資家は一時的なブームではなく、長期的な需給の不均衡という本質的なリスクとチャンスに目を向けるべきであると説いています。

ドルの強さを見直す

Of Two Minds - Money Is Funny That Way: The Case for USD Supremacy [LINK]

【海外記事紹介】「米ドルは崩壊し、その価値はゼロに向かう」という予測は、現代の経済論壇ではもはや定説のように語られています。無制限の通貨発行がハイパーインフレを招き、かつてのワイマール共和国のような悲劇を辿るというシナリオです。しかし、今回ご紹介する記事の著者、チャールズ・ヒュー・スミス氏は、こうした「ドルの終焉」という通説に対し、あえて「米ドルの覇権(シュプレマシー)」という正反対の可能性を検討すべきだと提唱しています。

スミス氏は、通貨を単なる紙切れではなく、社会的な合意に基づく「功利的な価値」を持つツールとして捉え直しています。例えば、私たちは価値を保存するために資源裏付け型の通貨を貯蓄し、一方で価値が減り続ける「スタンプ紙幣」のような通貨はすぐに使おうとします。しかし、実社会において最も強力なのは「ネットワーク効果」です。世界中の僻地の市場から大都市のオフィスに至るまで、最も広く受け入れられ、取引の摩擦が少ないのは依然として、保護用のビニールケースに入った、ピン札の100ドル紙幣です。この「どこでも使える」という利便性こそが、他のどの通貨も代替できない圧倒的な価値を生んでいるのです。

また、不換紙幣は「何にも裏付けられていない」と批判されますが、著者はこれを否定します。ドルの価値とは、世界最大の経済圏に参加し、その法体系や制度、社会的信頼を利用するための「入場許可証」なのです。税金を納め、正規の経済活動を行うためにはその国の通貨が不可欠であり、この参加権があるからこそ、ドルは強力な需要に支えられています。

さらに重要な視点は、通貨も他の商品と同様に「需給」で価格が決まるという点です。たとえ供給が増えても、それを上回るスピードで世界的な需要が拡大すれば、その価値は上昇します。世界的にリスクが高まる局面では、安全な資産、流動性の高い資産への需要が爆発的に高まります。ドルの覇権シナリオは、この「供給を上回る需要の拡大」と、ネットワーク効果による自己強化的なループによって成立します。通貨の未来を予測するのは困難ですが、固定観念を捨て、ドルの多面的な強みを再認識することは、不透明な時代を生き抜く投資家にとって極めて重要であると著者は結んでいます。

投げ売りは本当か?

Is China Really Dumping US Treasuries? - RIA [LINK]

【海外記事紹介】最近、主流メディアでは「中国がドル離れのために米国債を投げ売りしている」という言説が飛び交っています。ドル時代の終焉や、米国の資金基盤の喪失、そして金利の急騰を予言するような扇情的な内容が目立ちますが、果たしてこれらは真実なのでしょうか。今回の記事が解き明かす「金融の舞台裏」を詳しく解説します。

まず、多くの人々を不安にさせているデータがあります。中国の米国債保有額は、かつての1.2兆ドルから600億ドルへと、約10年で半減しました。しかし、この記事の著者であるランス・ロバーツ氏は、保有額の減少が直ちに「投げ売り」や「構造的な撤退」を意味するわけではないと指摘します。ここで鍵となるのは、米国財務省が発表するデータの性質です。この統計は主に「カストディ(保管)」データ、つまり証券が決済や保管のためにどこに置かれているかに基づいています。財務省自身も、外国居住者が第三国の口座で保管している場合、真の所有国は反映されないと明言しています。

では、中国の米国債はどこへ消えたのでしょうか。その答えは、ベルギーとルクセンブルクという2つの小さな国にあります。データを見ると、中国の保有額が減少した時期に、ベルギーの保有額が急増していることがわかります。中国は地政学的なリスク、特にロシアの資産凍結のような制裁を回避するため、米国内ではなく、ユーロクリアの本拠地であるベルギーなどの国際的な決済ハブに保管場所を移しているに過ぎません。これらを合算して調整すると、中国の米国債保有額は2011年当時と実質的に変わっていないことが明らかになります。

中国が保管場所を変える理由は、単なるリスク回避だけではありません。欧州の拠点を利用することで、決済の効率化や、米国債を担保とした資金調達の柔軟性を高めるという実利的な目的があります。中国にとって、自国通貨の安定や輸出競争力の維持のためにドル資産は依然として不可欠であり、パニック的な「脱ドル化」は自国経済を破壊する行為に他なりません。投資家の皆様は、こうした刺激的な見出しに惑わされるべきではありません。米国債の価格を動かす真の要因は、地政学的な陰謀論ではなく、米国の経済成長やインフレ率、そして連邦準備制度の政策です。米国債を、ポートフォリオの流動性とリスク管理のための道具として冷静に捉えることが、賢明な投資判断への近道となります。

2026-02-24

劣化する嘘

We Deserve Better War Propaganda - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】独立系ジャーナリストのケイトリン・ジョンストン氏による、アメリカ政府とメディアが垂れ流す対イラン戦争プロパガンダの質の低下と、その背景にある不気味な慢心について批判したコラムをご紹介します。

著者は、現在の対イラン戦争に向けた世論誘導が、もはや「説得」の体裁すら整えていないと切り捨てています。例えば、米政府の中東特使が「イランは核爆弾製造まであと1週間という段階にある」と主張しましたが、これはタカ派が30年以上も繰り返し使ってきた嘘の使い回しに過ぎません。あまりにも透明な嘘であるため、イスラエルのメディアですら「イランには濃縮のための機械も兵器プログラムもない」と嘲笑する始末です。

また、イラン当局が抗議デモに参加した女性の胎内を切り開いたというショッキングなニュースが拡散されていますが、これも「残虐行為プロパガンダ」の典型であり、匿名の一人の証言以外に何の証拠もありません。イラク戦争での「大量破壊兵器」の嘘を経験した世界において、独立した確実な証拠がない限り、米政府が打倒したがっている政権についての主張は即座に却下されるべきですが、メディアは依然としてこうした「嘘」を垂れ流し続けています。

著者は、かつてのイラク戦争時のような緻密な世論形成(合意の捏造)すら行われず、あまりに質の低いプロパガンダがまかり通っている現状に危機感を募らせています。これは、アメリカ国民が戦争に圧倒的に反対していることを帝国側がもはや気にかけておらず、国民の「合意」を得る必要すら感じないほど、その専制的な本性を剥き出しにしている証拠であると分析しています。

結局のところ、信憑性の低い嘘を平気でつく今の姿勢は、国民を愚弄しているだけでなく、帝国の中心部で革命が必要なほど腐敗が進んでいることを示していると結論づけています。戦争という巨大な惨劇を正当化する努力すら惜しむようになった支配層の姿は、今後の暗い未来を予感させるものであると警告しています。

混乱した西洋

The Discombobulated West - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】独立系メディアによる、混迷を極める現代の西洋と、イランや中国を巡る帝国主義的な動きの末路を痛烈に批判したコラムをご紹介します。

著者は、現在の世界が一切の正当化を放棄し、なりふり構わぬ剥き出しの力による支配という、新しい歴史的フェーズに突入したと指摘しています。トランプ政権が推し進める関税中心の外交とイランへの軍事的威圧は、多極化を目指すロシア、中国、イランといった勢力との最終決戦の様相を呈しています。現在、アメリカでは巨大な投機バブルが支配していますが、歴史的に見て略奪と混乱を繰り返す帝国は、バブル崩壊後の出口を常に戦争に求めてきました。軍産複合体という巨大な利権構造は、経済的信用を失った西洋資本主義の唯一の逃げ道となっており、2027年の国防予算が大幅に増額される見通しの中、破綻を隠すための戦争の足音が近づいています。

また、この記事は西洋社会が抱える病理についても鋭く言及しています。トランプ、ネタニヤフ、そしてエプスタインを巡るシンジケートは、政権を揺るがしかねないスキャンダルであるエプスタイン・ファイルから国民の目を逸らすために、物語を書き換える必要に迫られています。一方で、欧州は安価なロシア産エネルギーを捨て、非常に高価なアメリカ産LNGに依存することを決めた結果、かつての工業大国ドイツですら倒産と廃業が日常化しており、まさに脱工業化の勝利というべき皮肉な事態に陥っています。

4月初旬に予定されているトランプ氏の訪中は、米ドル支配を維持するための最後の大取引を狙ったものですが、中国がこれに応じる可能性は低いと見られています。中国はすでに独自の経済圏を構築し、着実にドル離れを進めています。結局のところ、イランを巡る対立は、アメリカとシオニストによる帝国主義が生き残るのか、それともロシア、中国、そしてBRICSが主導する多極化世界へと移行するのかを決める、歴史的な分水嶺となると結ばれています。

製薬利権に別れを

The Year in Review: MAHA's Wins, DMSO Discoveries, and the Window We Can't Lose [LINK]

【海外記事紹介】匿名医師「A Midwestern Doctor」による、医療・食の改革運動「MAHA(Make America Healthy Again)」の劇的な進展と、自身の研究プロジェクトの成果を振り返る論説をご紹介します。

筆者は、パンデミック以降の代替メディアの台頭と、連邦保健当局への改革派の介入が、数十年来の医療の腐敗を正す千載一遇のチャンスを生み出していると説いています。2025年に始まったMAHAの取り組みは、わずか1年で、これまで不可能と思われていた多くの変革を実現しました。例えば、山積みだった子供向けのワクチン接種スケジュールを大幅に削減し、医師との対話を重視する形に改めたほか、不健康な超加工食品を推奨してきた「食のピラミッド」を刷新し、動物性脂肪の再評価や有害な種子油の危険性の周知を進めています。さらに、合成着色料の廃止や水道水へのフッ素添加の見直し、医薬品のテレビ広告規制の再開など、巨大な利権構造に真っ向から切り込んでいます。

こうした公的な改革と並行して、筆者は「忘れ去られた医学」の復活に心血を注いでいます。その中核が、安価でありながら炎症や痛みの緩和、さらには脳卒中ケアや視力改善にまで驚異的な効果を示す可能性を持つ「DMSO(ジメチルスルホキシド)」の研究です。筆者はこの2年間、英語圏だけでなくロシアや中国の膨大なデータベースから数千もの研究論文を掘り起こし、AIを駆使して「DMSO百科事典」とも呼べるプロジェクトを完遂させました。この取り組みの目的は、患者自身が自分の体を癒やす手段を手にすることで、製薬利権に依存しない「新しい治癒の概念」を文化として定着させることにあります。

筆者は、今後さらに「血液紫外線照射療法」や「オゾン療法」といった、同様に強力でありながら歴史の闇に葬られてきた治療法の情報を順次公開していく予定です。これらの「忘れ去られた療法」が普及することは、現代の硬直化した医療パラダイムに対する強力なカウンターとなり、MAHAが進める構造改革を草の根から支える力になると確信しています。

スタグフレーションが起きる理由

What Causes Stagflation? | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】経済停滞(スタグネーション)と物価上昇(インフレ)が同時に進む「スタグフレーション」がなぜ起きるのか、その根本的な原因を解説した論考をご紹介します。

かつて主流派経済学では、失業率を下げようとすれば物価が上がり、物価を抑えようとすれば失業率が上がるという「トレードオフ(二者択一)」の関係があると考えられていました。しかし、経済学者のミルトン・フリードマンらはこの説に異を唱えました。中央銀行が景気を刺激しようとして通貨供給量を増やすと、一時的には人々が豊かになったと感じて需要が増え、生産が拡大して失業率が下がります。しかし、人々が物価上昇に気づき、将来のインフレを予想し始めると、実質的な購買力の低下に合わせて行動を調整するため、景気刺激の効果は消え去ります。結果として、経済成長は元の水準(あるいはそれ以下)に戻る一方で、高い物価上昇だけが残ることになります。これがフリードマンの説くスタグフレーションの仕組みです。

さらにこの記事では、フリードマンの理論を一歩進め、スタグフレーションの本質は「無からの富の移転」にあると指摘しています。中央銀行が通貨を増刷することは、裏付けのない「無」からお金を作り出すことであり、それによって商品を買うという行為は、「何か(商品)」と「何もないもの(刷られただけのお金)」を交換することに他なりません。このプロセスによって、実際に価値を生み出している人々(富の創出者)から、新しく作られたお金を手にした人々へと、実質的な資源が奪われてしまいます。

この資源の収奪が繰り返されると、社会全体の富を生み出す力が弱まり、経済成長が鈍化します。それと同時に、市場にはモノに対して過剰なお金が存在するため、物価は上昇し続けます。つまり、中央銀行による通貨膨張政策は、常にスタグフレーションの種をまいていると言えます。

スタグフレーションの症状が目に見えて悪化するかどうかは、社会全体の「貯蓄」の状態に左右されます。自発的な貯蓄が十分にあり、経済の基礎体力が維持されている間は症状が隠されることもありますが、貯蓄が底をつけば、不況と物価高が同時に襲いかかる悲惨な状況が表面化します。結論として、スタグフレーションは突発的な事故ではなく、過剰な通貨発行という政策がもたらす必然的な帰結であると警告しています。