2020-07-09

不満の根源

身分社会では、不幸は自分のせいではないと言える。奴隷が妻から「もしあんたが公爵だったら、あたしは今ごろ公爵夫人なのに」と言われたら、「もし俺が公爵のせがれに生まれてたら、奴隷の娘のお前なんかと結婚しねえよ」と言い返すだろう。資本主義社会ではこうはいかない。
Ludwig von Mises, The Anti-Capitalistic Mentality

資本主義社会では、自分の地位は自分の行い次第だ。野心を十分満たせなかった者は誰でも、自分がチャンスを逃したか、やってはみたが人を満足させられなかったとよくわかっている。妻から「なんで稼ぎが少ないのよ。出世してたらもっと楽に暮らせるのに」となじられ、傷つく。
Ludwig von Mises, The Anti-Capitalistic Mentality

資本主義社会で多くの人が不満を感じるのは、一番欲しい地位を手に入れるチャンスは誰もが与えられるものの、その地位を得られるのは当然少数の者でしかないという事実だ。自分が失敗した分野で成功する人々は必ずいる。人は自分を負かした人々に対し潜在意識で劣等感を抱く。
Ludwig von Mises, The Anti-Capitalistic Mentality

法の下に平等な社会では、人の知的能力、意志力、努力の不平等があらわになる。能力と成果に関する自意識と現実の隔たりが無慈悲にも暴かれる。自分の「真の価値」にふさわしく扱ってくれる「公正」な世界を夢想することは、自己理解を欠いたすべての人にとっての避難所だ。
Ludwig von Mises, The Anti-Capitalistic Mentality

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