経済学者、アントニー・ミュラー
(2024年10月29日)
1970年代に欧米が停滞に陥った際、物価インフレがある程度収束し、経済成長が再び上向くまでには10年近くかかった。アルゼンチンのミレイ大統領は、すでに多くのことを達成したとはいえ、それほど時間はない。2023年12月10日の就任以来、以下のようなプラスとマイナスがある。
Support him or oppose him, Javier Milei does not invoke a neutral response from anyone. For Austrian economists, Milei has made some genuine free-market moves, but also has imposed questionable policies elsewhere. | @antony_muellerhttps://t.co/Xov8cRfdpA
— Mises Institute (@mises) October 29, 2024
〈プラス面〉
・財政黒字(2024年1月以降)
・中央銀行による通貨創造の制限(2024年4月以降)
・インフレ率の低下(同)
・各種価格規制の撤廃(住宅市場など)
・各種物価補助金の削減
・8つの省庁の廃止、一部の完全閉鎖と約3万人の公務員の解雇
〈マイナス面〉
・高い物価上昇率(年237%)
・失業率の上昇(7.6%)
・低い労働力率(労働力人口の割合、48%)
・鉱工業生産の減少(年率-5.4%)
・対外債務は約2900億ドルに増加
・外貨準備高が不足(現在217億ドル)
・就任時の1ドル=322ペソから975ペソへの切り下げ
ミレイ政権は9月の予算発表で、 2025年の見通しを次のように発表した。
・国内総生産(GDP)を5%増加させる
・物価上昇率を年率18%に抑える(2025年末までに)
・通貨を1ドル1207ペソまで切り下げる(同)
・基礎的財政収支の黒字化(GDPの1.3%)
来年の目標が達成できるかどうかは疑問が膨らむ。物価上昇率は高止まりしており、再び上昇した際には金利を引き上げざるをえなくなるだろう。その結果、鉱工業生産の回復がさらに遅れることになる。来年1月には対外債務の利払いも控えている。
2025年は10月に中間選挙があるため、ミレイ大統領にとって重要な年となる。その時までに、大統領は選挙協力にはっぱをかけ、政策の次の段階に必要な票を議会で獲得しなければならない。
ミレイ政権を誕生させたのは、何よりもインフレに終止符を打つという公約だった。今、ミレイ氏に課せられているのは、不況を深刻化させることなく、その公約を守れるかどうかである。それは規制緩和と民営化を通じて、民間部門の強化にどの程度成功するかにかかっている。
(次より抜粋)
Nine Months of Javier Milei as President of Argentina: A Critical Assessment | Mises Institute [LINK]
0 件のコメント:
コメントを投稿