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インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...
2026-01-12
ラブレーと自由の精神
2026-01-10
去勢された共和党
ランド・ポール米上院議員の寄稿(2026年1月7日付)は、大統領による独断的な軍事行動と、それを抑止できない議会の無力さを痛烈に批判する内容です。
「私の党は、大統領の言いなりになる『去勢された者たち(eunuchs in the thrall)』になってしまったのか?」という点に焦点を当てて、内容を日本語で要約・解説します。
1. 寄稿の要点まとめ
ランド・ポール議員は、主に以下の3点を主張しています。
憲法上の原則: 憲法は「宣戦布告の権限」を大統領ではなく、明確に連邦議会に与えている。ベネズエラの首都を爆撃し政権を転覆させる行為は紛れもない「戦争」であり、議会の承認なしに行うことは憲法違反である。
目的は手段を正当化しない: ポール議員自身、ベネズエラの社会主義体制を強く批判しているが、「社会主義が邪悪であること」と「大統領が独断で戦争を始める権利があること」は別問題である。
議会の職務放棄: かつての建国の父たち(ジェファーソンやマディソン)は、行政(大統領)が最も戦争を好む性質を持つと予見し、議会にブレーキ役を託した。しかし、現在の議員たちは責任を問われることを恐れ、その権限を自ら大統領に差し出してしまっている。
2. 「去勢された者たち」という比喩の背景
ポール議員が「自分の党(共和党)は、大統領に支配された去勢された者(宦官)の集まりになったのか」と問いかけているのは、現代の政治における「チェック・アンド・バランス(抑制と均衡)」の崩壊を象徴しています。
なぜ「去勢された」と表現したのか?
権力の喪失: 歴史的に、議会は予算や宣戦布告を通じて大統領をコントロールする「牙」を持っていました。その牙を自ら抜き、大統領の決定に無批判に拍手するだけの存在になったことを、生殖能力(=自律的な生命力・権限)を失った「宦官」に例えています。
党派性の優先: 本来、議会は大統領がどの政党出身であれ、その行き過ぎを監視すべきです。しかし、現在の議員たちは「同じ党の大統領だから」という理由で、憲法違反の疑いがあっても沈黙し、盲従していると批判しています。
3. 歴史的なデータと現状
ポール議員の危惧を裏付けるデータとして、以下の背景があります。
| 項目 | 内容 |
| 正式な宣戦布告 | 1942年(第二次世界大戦)を最後に、米国は一度も正式な宣戦布告を行っていません。 |
| 大統領による軍事介入 | 朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク、アフガニスタンなど、多くが議会の明確な宣戦布告なし(または曖昧な権限委譲)で実行されました。 |
| AUMF(武力行使容認決議) | 2001年以降、議会は大統領に広範な軍事権限を与える決議を連発し、それが現在も軍事行動の「空白の小切手」として利用されています。 |
結論
ポール議員の問いに対する答えは、「議会が自らの憲法上の義務よりも、党利党略や政治的な保身を優先している」という厳しい現状認識に基づいています。彼は、大統領を縛る「憲法の鎖」を再び手にするよう、同僚議員たちに猛省を促しているのです。
内政不干渉の道徳と実利
この記事は、リバタリアン思想の二大巨頭、マレー・ロスバードとデヴィッド・フリードマンの外交政策における共通点と相違点を比較・分析したものです。
要約すると、両者は「非介入主義(孤立主義、内政不干渉)」という結論では一致していますが、そこにたどり着くまでの論理(アプローチ)が大きく異なります。
1. 思考スタイルの対比
著者は、両者のアプローチを以下のように定義しています。
マレー・ロスバード(原則派): 確固たるリバタリアン原理(道徳)から議論を展開します。国家を「組織犯罪」と見なし、国家による暴力を最小限に抑えるべきだと主張します。
デヴィッド・フリードマン(実利派): 固定的なルールよりも、各政策のコストと利益(ベネフィット)を重視します。政府が実際にうまく機能するかどうかという実務的な視点で分析します。
2. 共通の結論:なぜ「非介入」なのか
両者とも「国家は物事をうまく遂行できない」という理由から、米国の非介入主義を支持しています。
フリードマンの主張(無能論): 外交介入が成功するためには、10年後の敵味方を正確に見極める高度な能力が必要です。しかし、政府は「郵便局を経営するのと同じレベル」で外交を運営しているため、介入は必ず失敗し、不必要な戦争に巻き込まれるだけだと説きます。
歴史の教訓: フリードマンは、第二次世界大戦前の「ミュンヘン会談」の例を挙げ、当時の介入主義的な外交がむしろ独裁者(ヒトラーとムッソリーニ)を結束させてしまったという皮肉な結果を指摘しています。
3. 核兵器に対する決定的な違い
核兵器の扱いにおいて、両者の違いが最も顕著に現れます。
| 項目 | マレー・ロスバード | デヴィッド・フリードマン |
| 核戦争の捉え方 | 「自由に対する最大の敵」であり、大量虐殺そのもの。 | 抑止力や利害得失を考慮すべき複雑な問題。 |
| 道徳的立場 | 絶対的反対。 無実の人々を殺す核使用はいかなる場合も許されない。 | 条件付き検討。 無実の殺傷は重大な検討事項だが、完全に排除はしない。 |
| 求める政策 | 徹底した孤立主義と、相互的な核軍縮交渉。 | 同盟網を維持せず、「実際に攻撃してきた相手と戦う」自衛に徹する。 |
4. 結論
著者は、フリードマンの姿勢を「資本主義は最善ではないが、マシな選択肢である」としたフランク・ナイトになぞらえ、「政府の介入は、やらないよりはやった方がマシという程度にも到達しない」という消極的な理由で非介入を支持していると見ています。
一方で、ロスバードにとって非介入は「道徳的な義務」です。国家が「自由を広める」という名目で他国の市民を殺傷することは許されず、道徳こそが決定的な判断基準であると結論づけています。
陰謀の人間行為学
リバタリアン研究所(The Libertarian Institute)に掲載されたオスカー・グラウ(Oscar Grau)氏による記事「陰謀の人間行為学(The Praxeology of Conspiracies)」の要約は以下の通りです。
この論考は、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスが提唱した「人間行為学(プラクシオロジー)」の視点から、歴史における「陰謀」の正当性と分析手法を考察しています。
1. 人間行動学と陰謀
人間行動学は、人間が特定の目的を持って意識的に行動するという「行動の公理」に基づいています。人間は常に現状よりも満足度の高い状態を目指して行動し、その過程で周囲の出来事に影響を与えようとします。著者は、「複数の個人が共通の目的(利益)のために秘密裏に協力すること」を陰謀と定義し、これは人間行動の結果として極めて自然な現象であると述べています。
2. 「陰謀論」という言葉による排除への批判
現代では「陰謀論者」という言葉が、権力側の公式見解に異を唱える人々を社会的に排除し、信用を失墜させるための武器として使われています。しかし、ハンス=ヘルマン・ホッペの言葉を引用し、「歴史上の出来事の多くは、特定の個人やグループが意図した結果である」と指摘します。これを否定することは、歴史を「理解不能な偶然の積み重ね」とみなす不合理なことだと批判しています。
3. 歴史分析の手法:探偵のように調査せよ
マレー・ロスバードの教えを引き、歴史を分析する際は「公式発表」を鵜呑みにせず、探偵のような手法をとるべきだと主張しています。
「カネの流れを追え(Follow the money)」: 誰がその政策や出来事から利益(富や権力)を得るのかを特定すること。
動機の解明: 権力者が自分たちの犯罪や過失を隠蔽しようとするのは当然であり、その裏にある動機を暴くことが歴史研究の重要な役割である。
4. 陰謀分析の限界と注意点
著者は、すべての陰謀説を肯定しているわけではありません。「悪い陰謀分析」の例として、ロスバードの言葉を借りて以下の点に注意を促しています。
巨大な単一の陰謀という幻想: すべての出来事を一つの万能な黒幕グループに結びつけるのは非現実的である。
競合する勢力: 実際には複数の権力ブロックが時に協力し、時に争っており、世界は一つのグループによって完全にコントロールされているわけではない。
5. 結論
リバタリアンの視点では、国家自体が一種の「犯罪組織」とみなされます。したがって、支配エリートが常に何らかの陰謀(密議や権力維持の工作)に関わっていると考えるのは論理的に妥当です。
「陰謀」をまるでユニコーンを信じているかのようにあざ笑うのではなく、経済学や人間行動学の知識を動員して、事実に基づいた厳密な調査を行うことこそが、真実の歴史を明らかにする道であると締めくくっています。
2026-01-09
モンロー主義は復活できない
この文章は、ピート・ヘグセス国防長官などの米国当局者による、モンロー主義の「復活」を求める現代の主張は、歴史と原文書の性質に関する根本的な誤解に基づいていると論じている。
1. 状況に応じた宣言であり、恒久的な政策ではない
1823年に発表されたモンロー主義は、恒久的な統治のルールではなく、19世紀初頭の地政学的脅威に対する具体的な対応策だった。その主な目的は、ヨーロッパの君主国による、新たに独立を果たしたラテンアメリカ諸国の再植民地化を防ぐことでした。これは、米国に近隣諸国の内政に介入する権限を与える憲章ではなく、外部に向けた防衛的な警告だった。
2. 相互主義の崩壊
この教義は相互不干渉を基盤としていた:米国は欧州の事情に干渉せず、欧州も米州に干渉しない。この前提は既に崩壊している。理由は以下の通り:
- ルーズベルト補則(1904年):教義の論理を逆転させ、外部干渉への警告を、米国による地域内干渉の正当化へと変質させた。
- グローバル・エンゲージメント:二度の世界大戦と恒久同盟を通じ、米国は欧州安全保障への不介入という約束を放棄し、当初の相互関係は形骸化した。
3. 2026年のレトリックと現実
本文は、モンロー主義を軍事的優位性と政権転覆(特にベネズエラに関して)の手段として位置付ける現政権の近年の発言を批判している。その論点は以下の通り:
- 1823年の原典はそうした権利を一切付与していない。
- 同主義が対処した欧州の植民地野心はもはや存在しない。
- 同主義を「再確立」することは不可能である。なぜなら、その意味を与えた特定の歴史的条件は消滅したからである。
4. 結論:権力の拡大
オーストリア学派経済学(ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスを引用)の観点から、モンロー主義の変遷は、国家が過去の行動を再解釈して新たな権力拡大を正当化する典型例である。かつて限定的で文脈に根ざした警告であったものが、歴史的文脈から切り離され、介入主義のための柔軟な道具へと変貌した。
2026-01-08
政権転覆の末路
この記事「ベネズエラにおけるトランプ大統領の最新の政権転覆の試みに、良い結末などない(There Are No Good Outcomes in Trump’s Latest Attempt at Regime Change in Venezuela)」の内容を要約します。
記事の要約
2026年1月3日、トランプ大統領の命令により米軍がベネズエラに突入し、ニコラス・マドゥロ大統領を拘束しました。この記事は、この軍事介入がもたらす極めて高いリスクと、その裏にある不透明な動機を批判的に分析しています。
1. 事件の概要と法的論争
拘束と移送: 米軍は爆撃を伴う作戦でマドゥロを拘束し、ニューヨークへ移送しました。彼は現在、麻薬密売や武器所持の罪で裁判にかけられる予定です。
「戦争ではない」との主張: マルコ・ルビオ国務長官は、これは宣戦布告が必要な「戦争」ではなく、軍の支援を受けた「法執行活動」であると主張し、大統領の権限逸脱という批判をかわそうとしています。
2. 介入の背後にある「真の動機」
政権は「麻薬危機対策」を口実としていますが、実際には以下の利権団体による圧力の結果であると指摘されています。
石油企業: 国有化で失った利益の回収と、石油埋蔵量へのアクセス拡大。
軍需産業: ウクライナ戦争が終結に向かう中、新たな収益源と雇用を維持したい。
政治的思惑: 中間選挙を控え「強さ」を誇示したい共和党の戦略家。
3. 現地の混迷と不確実な「政権交代」
マドゥロ一人がいなくなっても、現体制(チャビスタ)は崩壊していません。
抵抗勢力: デルシー・ロドリゲス副大統領が暫定大統領に就任し、「帝国には屈しない」と抵抗を表明しています。
裏取引の噂: トランプ政権が、マドゥロを差し出す代わりに現体制の一部(ロドリゲス兄妹など)を存続させるという密約を交わした可能性も示唆されていますが、これは民主化を望む亡命者コミュニティの反発を招くリスクがあります。
4. 懸念される「泥沼化」と経済的損失
ゲリラ戦の恐れ: 強引な体制変更を試みれば、政権内部の亀裂や武装勢力(コレクティーボ)、麻薬カルテルによる大規模なゲリラ戦に発展し、ベネズエラが「第2のベトナムやアフガニスタン」になる危険があります。
米国内への影響: アメリカが深刻な物価高(アフォーダビリティ・クライシス)に直面する中で、一部の利権団体のために多額の税金を投じて「世界帝国」を維持し続けることは、国民にとって経済的・道徳的な衰退を招くだけであると批判しています。
結論
たとえ今回の介入が短期的には「成功」したように見えたとしても、それが「政権転覆や国家建設(ネイション・ビルディング)は有効な政策である」という誤った教訓として利用されることを、著者は強く警告しています。
ベネスエラの政権転覆
この記事は、トランプ政権によるベネズエラへの軍事介入と、その後の記者会見で語られた衝撃的な内容について詳述しています。
以下に、その主要なポイントを要約します。
1. ベネズエラへの軍事介入とマドゥロ拘束
電撃的な軍事作戦: 2026年1月3日未明、米国はベネズエラに対して大規模な攻撃を実施。ニコラス・マドゥロ大統領とその妻を拘束し、国外(米国)へ連行しました。
目的の変遷: 当初は麻薬流入阻止を名目としていましたが、最終的には「マドゥロが降参するまでボートを爆破し続ける」という露骨な政権転覆(レジーム・チェンジ)へと方針を転換させました。
2. 驚愕の「米国による統治」宣言
直接統治の意向: トランプ氏は、適切な移行ができるまで「米国がベネズエラを運営する」と宣言。「我々が実権を握っている(We’re in charge)」と断言し、他者に権力を渡すリスクを排除する姿勢を見せました。
野党リーダーの切り捨て: これまで米国が支持してきた野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏について、トランプ氏は「国内の尊敬を得られていない」として、彼女への政権移譲を拒否しました。
3. デルシー・ロドリゲス副大統領との交渉
新たな協力者: 米国は、マドゥロ政権の副大統領であったデルシー・ロドリゲス氏を暫定的な後継者として指名しました。
本人の抵抗: ロドリゲス氏は米国の要求に対して「ベネズエラの大統領はマドゥロ一人である」と忠誠を誓い、米国の行動を「野蛮」と批判。しかし、トランプ氏は「彼女に選択肢はない。従わなければマドゥロ以上の代償を払うことになる」と脅迫に近い警告を発しています。
4. 民主主義の手続きと国際法の無視
議会の軽視: 軍事作戦について米議会への事前通知は行われませんでした。トランプ氏はその理由を「議会は情報を漏洩させるからだ」と一蹴しました。
法的根拠の欠如: 米政府は「起訴された逃亡者の逮捕(法執行)」を正当化の理由としていますが、国際法専門家は、国連憲章が禁じる「侵略罪」にあたると指摘しています。
5. 周辺諸国への拡大する脅威
次のターゲット: トランプ氏はベネズエラに留まらず、コロンビア(ペトロ大統領)、キューバ、メキシコに対しても軍事行動や介入の可能性を示唆しました。
「どこでも、いつでも」: ヘグセス国防長官は「米国はいつでもどこでも意志を投影できる」と述べ、他国への警告を強めています。
考察: この記事が描く状況は、ベネズエラの主権だけでなく、米国内の法的秩序や国際秩序をも根底から揺るがす極めて異例の事態と言えます。
2026-01-07
シオニストの南米工作、ミレイ氏の役割
マット・ウォルソン氏によるこの記事(2026年1月6日付)は、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の拘束と失脚を、単なる米国の介入ではなく、数十年にわたる「シオニストによるラテンアメリカ支配計画」の一環であると主張しています。
以下に、その主な内容を5つのポイントで要約します。
1. 「イサク合意(Isaac Accords)」の始動
2026年1月のマドゥロ追放の背景には、2025年8月にアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が発表した「イサク合意」があると指摘しています。
目的: イスラエルの技術(水、農業、サイバー防衛など)をラテンアメリカに提供する見返りに、各国にエルサレムへの大使館移転や、ハマス・ヘズボラのテロ組織認定を迫るもの。
構造: イスラエルの「ジェネシス賞」の賞金を原資とし、元米外交官フィッツ・ヘイニー氏が率いる組織が運営。
2. 40年にわたる歴史的伏線
著者は、この動きが突然始まったものではなく、2つの歴史的戦略の延長線上にあると述べています。
1980年代(政治・経済): エリオット・エイブラムスらネオコン(シオニスト)が、反共主義を利用してラテンアメリカに介入。イラン・コントラ事件ではイスラエルが仲介役を務めた。
1990年代(経済): シオニスト系の経済学者が「ショック療法」を推進。民営化を通じて現地の経済主権を弱め、米国・イスラエルに近いオリガルヒを育成した。
3. 宗教的・慈善活動による懐柔
有力なラテンアメリカ人をシオニズムに取り込むための「慈善ネットワーク」の役割を強調しています。
ミレイの背後: ミレイのメンターである実業家エドゥアルド・エルネキアンや、ユダヤ教への改宗に近い影響を与えたラビたちのネットワークが、ミレイをイスラエル寄りのリーダーへと形作った。
4. 2023年〜2026年の連鎖反応
記事は、パウル・シンガー(ヘッジファンド運営者)らによる金融的圧力、ミレイのジェネシス賞受賞、そしてトランプ政権によるベネズエラ介入とイランへの脅しが、すべて計算された「チェスの多重飛び(multi-jump win)」のように連動していると主張します。
5. 著者の結論:主権の喪失
ハビエル・ミレイは「自由」を掲げているが、実際にはシオニストのネットワークに利用されており、ラテンアメリカ諸国の市場と主権が、米国・イスラエルの軍事・企業複合体に飲み込まれようとしている、と警告しています。
ネオコンの乗っ取り
この記事「Marco-Terrorism: The US Enters A New Age Of Neoconservatism(マルコ・テロリズム:米国、ネオコン保守主義の新たな時代へ突入)」の要約を、以下の主要なポイントに分けてまとめました。
1. トランプ外交の劇的な転換
トランプ大統領は、かつてブッシュ政権時代の「ネオコン(新保守主義)」的な介入主義や国家建設(ネイション・ビルディング)を否定することで、保守層の支持を集めました。しかし、2025年に再登板して以降、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を拘束した「アブソリュート・リゾルブ作戦(Operation Absolute Resolve)」を実行したことで、かつて自身が批判していたネオコン勢力と完全に同化したと分析されています。
2. マルコ・ルビオの主導と「マルコ・テロリズム」
この記事の核心は、国務長官に就任したマルコ・ルビオの影響力です。
イデオロギーの回帰: ルビオは一貫して介入主義を掲げるネオコンの代表格であり、彼の起用はトランプが「アメリカ・ファースト(自国第一主義)」を捨て、再び他国の政権転覆を狙う道を選んだ象徴とされています。
マルコ・テロリズム: 筆者は、マドゥロ追放の真の動機が「麻薬テロリズム」の撲滅ではなく、米国の国益(特に石油資源の確保)のための武力行使であることを指摘し、これをルビオの名を冠した新時代の介入主義として批判的に表現しています。
3. ベネズエラ介入の真の目的と「嘘」
記事は、今回のベネズエラ作戦をイラク戦争になぞらえています。
捏造された大義: ブッシュ政権が「大量破壊兵器」を口実にしたように、トランプ政権は「麻薬テロ」を口実にしましたが、起訴状にはフェンタニルに関する言及がなく、根拠が希薄であると主張されています。
資源の掌握: トランプ自身が「石油へのアクセスが必要だ」と発言した通り、世界最大の埋蔵量を誇るベネズエラの石油利権を米国の管理下に置くことが真の狙いであるとされています。
4. 中南米から中東へ広がる野心
ルビオの戦略はベネズエラに留まらず、より広範な地域支配を目指しています。
次の標的はキューバ: トランプとルビオはすでにキューバを「失敗国家」と呼び、次の政権交代の対象として示唆しています。
対イラン・イスラエルとの連動: マドゥロ政権を「イランの代理人(ヘズボラとの関わり)」と位置づけることで、中東での介入正当化やイスラエルの利益とも結びつけています。
結論
この記事は、トランプ第2次政権がルビオの手によって「保守本流(ネオコン)」に完全に乗っ取られたと結論づけています。かつての「反介入主義」という公約は裏切られ、米国は再び資源と覇権を求めた終わりのない「政権転覆の戦争」の時代に突入したと警鐘を鳴らしています。
2026-01-06
政権転覆と国家建設再び
ロン・ポール元米下院議員によるこの記事の要約は以下の通りです。
要約:政権交代と国家建設の再来
ロン・ポール氏は、トランプ政権によるベネズエラへの軍事介入とマドゥロ大統領の拘束を、過去の失敗(イラク戦争)の再来であると強く批判しています。
1. 繰り返される「短期決戦」の幻想
イラク戦争の際も「電撃作戦(Shock and Awe)」や「簡単な任務」といった言葉で軍事介入が正当化されましたが、今回も同様に「民主主義の回復」や「外科手術的な作戦」という名目でベネズエラ介入が賛美されています。しかし、著者はこれを過去の「政権交代(レジーム・チェンジ)」作戦と同じ危険な筋書きであると指摘します。
2. 経済的利権と公約違反
トランプ大統領はかつて「新たな戦争はしない」「国家建設(ネイション・ビルディング)はしない」と公約していましたが、実際には軍事力を行使して他国の大統領を拘束し、「今後は米国がベネズエラを運営する」と宣言しました。その背景には、米国の石油企業がベネズエラの資源を搾取し、その利益を還流させるという経済的意図が見え隠れしています。
3. さらなる拡大への懸念(イラン、キューバ)
著者は、ベネズエラへの介入が「予行演習」に過ぎない可能性を危惧しています。ネタニヤフ首相(イスラエル)やリンゼイ・グラハム議員ら好戦派の動きを背景に、ベネズエラの次はキューバやイランが標的になると見ています。
4. 結論:学ばない政治への警鐘
過去の事例が示す通り、最初は「任務完了」を謳っても、最終的には泥沼化し、巨額の税金が投入され、多くの人命が失われます。結局、一部の特権階級が富を築く一方で、国民は貧しくなり、解放されたはずの現地の人々は以前より悲惨な状況に追い込まれると結論付け、「我々はいつになったら学ぶのか」と問いかけています。
2026-01-05
ベネズエラと嘘の帝国
この記事「Venezuela and the Empire of Lies(ベネズエラと嘘の帝国)」は、チャールズ・ゴイエット(Charles Goyette)氏によって書かれたもので、米国のベネズエラに対する外交政策を「帝国の嘘」の一部として批判しています。
記事の主なポイントは以下の通りです。
1. 米国の自滅的な制裁政策
著者は、米国の制裁が結果として米国自身の首を絞めていると指摘しています。
ドルの兵器化と脱ドル化: ロシアの資産凍結と同様に、ベネズエラへの制裁は他国の「脱ドル化」を促し、金へのシフトを引き起こしている。
中国の台頭を支援: 米国がベネズエラからの石油輸入を停止し、資本市場へのアクセスを制限したことで、ベネズエラは中国に接近した。現在、ベネズエラの石油輸出の80%が中国に向かっており、この地域での中国の影響力を深める結果となった。
エネルギー補助金: 制裁によってベネズエラやロシア、イランが市場価格以下で石油を売らざるを得なくなった結果、米国の競合相手である中国の産業が安価なエネルギーの恩恵を受けている。
2. 「国家安全保障への脅威」という虚構
2015年にオバマ大統領がベネズエラを「米国の国家安全保障に対する異常かつ並外れた脅威」と宣言したことを、著者は数字を挙げて皮肉っています。
経済・軍事格差: 当時のベネズエラのGDPはニュージャージー州よりも小さく、米国の30分の1以下だった。軍事予算も米国が160倍大きく、空母も駆逐艦も持たないベネズエラが米国を侵略することなど物理的に不可能である。
二重基準: 米国が制裁の理由に挙げる「人権侵害」や「汚職」は、米国の他の同盟国も日常的に行っていることであり、真の理由ではない。
3. 「ディープ・ステート」の論理
著者は、米国の「ディープ・ステート(影の政府)」がいったん標的(大量破壊兵器、テロ、脱ドルなど)を決めると、たとえそれが失敗や戦争につながるとしても止まらないと批判しています。米国がロシア、中国、イラン、ベネズエラへと圧力を強めるほど、これらの国々が団結して米国の覇権に挑戦する皮肉な「論理」が働いていると述べています。
結論
著者は、トランプ政権によるベネズエラへの取り組みも最終的には米国人や世界にとって悪い結果に終わると予測し、このような自滅的な行動を「嘘の帝国における日常」であると締めくくっています。
この内容は、リバタリアン的な視点から、米国の介入主義的な外交政策が自由市場を歪め、地政学的なリスクを不必要に高めているという強い批判を込めたものです。
2026-01-04
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木村貴の経済チャンネル(2025年下半期)
- 誰も知らないアメリカファースト 戦争への歯止めのはずが…(2025/07/01)
- 財政危機は株投資のチャンス! インフラ整備、「官から民へ」加速(2025/07/03)
- 元祖返り咲き、最後の正統派大統領 クリーブランド、小さな政府と平和貫く(2025/07/05)
- 中央銀行と政府のプロレス インフレを止められない本当の理由(2025/07/08)
- ピラミッドと重税国家 古代エジプトの庶民の暮らしはどうだったのか?(2025/07/10)
- 産業政策が産業をつぶす 高度成長の真実とは?(2025/07/12)
- 大軍拡!米経済の自滅 借金・バラマキで失われるドルの価値(2025/07/15)
- 温暖化の贈り物、縄文文化 寒冷化こそ人類の脅威!(2025/07/17)
- 独禁法の黒歴史 背後に競合会社の「陰謀」も!(2025/07/19)
- 米国を襲ったハイパーインフレ 独立戦争、戦費調達の悪しき前例(2025/07/22)
- ポピュリズムは悪なのか? エリート層から恐れられる理由(2025/07/24)
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- 金本位制を捨てた世界の末路 第一次世界大戦の教訓(2025/07/29)
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正義という名の誘拐
ジェリー・ノーラン(Gerry Nolan)氏によるこの論考は、昨日(2026年1月3日)未明に発生したデルタフォースによるベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領夫妻の拘束作戦を受け、国際秩序の劇的な変化を痛烈に批判したものです。
以下にその内容を日本語で要約・解説します。
汝にはルールを、我には武力を:アメリカの「指導者捕獲ドクトリン」
1. 「正義」という名の誘拐
ノーラン氏は、アメリカが「法の支配」を標榜しながら、実際には単なる「力の誇示」を法律の物語にすり替えていると批判しています。
事件の核心: 米軍特殊部隊が他国の首都に乗り込み、現職の大統領を連れ去ったこと。
矛盾: アメリカはこれを「麻薬テロ対策」や「自由」のためと説明するが、その一方で資源(石油や鉱物)への関心も隠さない。「正直な強盗」のような振る舞いである。
法的問題: 国連の委託も宣戦布告もない「一方的な拉致」であり、国際法を無視した極めて危険な前例を作った。
2. 海上封鎖という「戦争行為」
マドゥロ拘束に至るまでの数週間に及ぶ米海軍による海上阻止(タンカーの拿捕など)について触れています。
ワシントンはこれを「クアランティン(検疫・隔離)」というソフトな言葉で呼び、戦争行為であることを否定していますが、国際法上、封鎖(ブロックエード)は明確な武力行使です。
これをノーラン氏は「私的な法律集を持った世界の沿岸警備隊」気取りであり、実際には非西側諸国に対する違法な強制行為であると断じています。
3. 「台湾の鏡」:中国への口実提供
この事件がベネズエラ一国に留まらない、世界的な波及効果を持つと警告しています。
中国の「正義の使命2025」: 先月末に行われた中国による台湾周辺での演習を、アメリカは「侵略的」と批判しました。
特大のブーメラン: しかし、自国の「裏庭」で海上封鎖を行い、他国のリーダーを拉致したアメリカが、中国の演習を批判するのは偽善的である。
前例の利用: アメリカが「指導者の奪取」を正当化したことで、中国に対しても「自国の勢力圏内での同様の行動」を正当化する口実を銀の皿に乗せて差し出したようなものだとしています。
4. マリア・コリナ・マチャドとノーベル平和賞
2025年12月にノーベル平和賞を受賞した野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏についても言及しています。
ノーラン氏は、この受賞を「政権交代のための道通し」であり、違法な拉致作戦に道徳的なメッキを塗るための「帝国による参加賞」に過ぎないと切り捨てています。
結論:法の終焉と「炎」の時代へ
ノーラン氏は、国際法が「メニュー(自分たちが好きなものだけ選べるもの)」のように扱われ、主権が条件付きのものとなった現状を深く憂慮しています。
「かつては西側諸国だけの特権だった『指導者の捕獲』が常態化すれば、世界は合法化された誘拐の場となる。力がすべてを決める世界では、次のノックに対し、人々は議論ではなく『炎(武力)』で答えるようになるだろう。」
2026-01-03
利子とは何か
ミーゼス研究所の記事(ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスによる「利子率」の理論)について解説します。
ミーゼスの利子論は、彼の経済学体系(人間行為学)の中でも非常に独創的な部分であり、「純粋時間選好説(Pure Time-Preference Theory)」と呼ばれます。彼は、利子を単なる「お金の価格」ではなく、人間の行動に深く根ざした「時間の価値」として定義しました。
主なポイントは以下の通りです。
1. 「利子」の正体は「時間選好」
ミーゼスによれば、利子は「資本」が生み出す報酬でも、政府がコントロールすべき数字でもありません。それは、「現在の満足を、未来の満足よりも高く評価する」という人間の普遍的な心理(時間選好)から生じるものです。
現在財と将来財: 「今すぐ手に入る100万円」は、「1年後に手に入る100万円」よりも価値が高いと誰もが感じます。
プレミアム(上乗せ): 将来まで消費を待つ(貯蓄する)ためには、その「待つこと」に対する対価が必要です。この「現在」と「未来」の価値の差額が、利子の本質的な源泉です。
2. 「根源的利子(Originary Interest)」
ミーゼスは、市場の利子率の土台にあるものを「根源的利子」と呼びました。
これは、すべての人間が持つ「未来より今を優先したい」という度合いを反映しています。
社会全体で人々が「もっと将来のために蓄えよう」と思えば(時間選好が低くなれば)、根源的利子は下がり、より長期的な投資(工場建設や研究開発など)が可能になります。
3. 利子率が果たす「経済の調整」機能
利子率は、市場における「貯蓄(供給)」と「投資(需要)」を調整する羅針盤の役割を果たします。
正しい信号: 利子率が低いということは、人々の貯蓄が十分にあり、将来に備えているというサインです。これを受けて、企業家は長期的なプロジェクトを開始します。
資源の配分: 利子率は、どのプロジェクトが実行価値があり、どれが資源の無駄遣いであるかを振り分けるフィルターになります。
4. 中央銀行による介入の危険性
ミーゼスは、中央銀行(政府)が人為的に利子率を操作することに強く反対しました。
偽の信号: 中央銀行が通貨を増発して利子率を無理やり下げると、企業家は「貯蓄が十分にある」と誤解し、本来なら採算の合わない過剰な投資(誤投資:Malinvestment)を始めてしまいます。
景気循環(バブルと崩壊): この偽の好景気はいずれ行き詰まり、大規模な不況(バブル崩壊)を招きます。これが「オーストリア学派の景気循環理論」の核となる考え方です。
5. 結論:利子は「文明の尺度」
ミーゼスは、時間選好が低く、利子が低い社会ほど、人々が未来に投資できるため文明が発展すると説きました。逆に、将来が不安で「今さえ良ければいい」と考える社会では利子率が高騰し、資本が食いつぶされて社会は衰退します。
まとめ:
ミーゼスにとって利子とは、「人間の時間の使い道に対する主観的な評価」が市場で表現されたものです。それを人為的に操作することは、経済の羅針盤を壊し、破壊的な不況を招く行為であると警告しています。
2026-01-02
社会主義が失敗する理由
リンク先の記事(ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスの著書『社会主義(Socialism)』における「経済計算」の問題)について解説します。
この理論は、1920年に発表された論文「社会主義共同体における経済計算」に基づき、後に大著『社会主義』としてまとめられたもので、「なぜ社会主義(計画経済)は経済的に失敗せざるを得ないのか」を論理的に証明した、経済学史上で最も重要な批判の一つです。
主な論点は以下の通りです。
1. 経済計算とは何か?
経済計算とは、限られた資源(原材料、労働、土地、機械など)を、どの生産にどれだけ投入するのが最も効率的かを判断するための「計算」のことです。
私たちの世界には無限のニーズがありますが、資源は限られています。
鉄道を敷くのに、「金(ゴールド)」で作るべきか「鉄」で作るべきか。技術的にはどちらも可能ですが、どちらが経済的に合理的かを判断するには、共通の物差しが必要です。
2. 「価格」こそが唯一の羅針盤
ミーゼスは、合理的な経済計算には「貨幣価格」が不可欠であると説きました。
市場経済では、消費者の需要と資源の希少性が「価格」として反映されます。
起業家はこの価格を比較することで、コストを最小に抑え、価値を最大化する選択ができます。
3. 社会主義で「経済計算」が不可能な理由
社会主義体制では、生産手段(工場、土地、資源)がすべて公有化(国家所有)されます。これが致命的な問題を引き起こすとミーゼスは指摘しました。
市場の消失: 生産手段が国家のものであれば、それらを売り買いする「市場」が存在しなくなります。
価格の消失: 市場での交換がなければ、生産手段に対する「価格」が形成されません。
計算の不能: 価格がなければ、あるプロジェクトが利益を生むのか、あるいは資源を浪費しているのかを判断する客観的な数値(利益・損失)が出せなくなります。
4. 「暗闇の中の模索」
ミーゼスは、価格のない計画経済を「暗闇の中を歩くようなもの」と表現しました。
中央計画当局がいかに優秀な統計学者を集めても、数百万種類に及ぶ生産財の相対的な価値を計算することは不可能です。
結果として、社会主義経済は「生産」はできても「合理的な生産」はできず、膨大な資源の浪費と、人々のニーズとのミスマッチ(物不足や不要なものの大量生産)を招くと予言しました。
5. 結論と影響
ミーゼスのこの指摘は、当時「社会主義計算論争」を引き起こし、オスカー・ランゲなどの社会主義経済学者たちを窮地に追い込みました(彼らは後に、市場を模倣した疑似価格を使う「市場社会主義」を提案せざるを得なくなりました)。
要点まとめ:
「私有財産がなければ市場はなく、市場がなければ価格はなく、価格がなければ経済計算はできず、経済計算ができなければ合理的な経済は成り立たない」。これがミーゼスの下した結論です。
2026-01-01
起業家の利潤と損失
この著作は、ミーゼスの主著『ヒューマン・アクション(人間の行為)』の一部としても知られ、市場経済における「利益」と「損失」が果たす不可欠な役割を解き明かしたものです。
1. 起業家的利潤の源泉は「不確実性」
ミーゼスによれば、利潤(利益)は、単に資本を投下したことへの報酬でも、単なる技術的なスキルの対価でもありません。
不確実性への挑戦: 将来の市場(消費者の需要)がどうなるかは誰にも確実には分かりません。起業家は、その「不確実な未来」を予測し、リスクを取って資源を投入します。
予測の的中: 起業家の予測が他の人々よりも正確で、消費者が望むものを効率的に提供できたときに初めて、売上から費用(労働、土地、資本のコスト)を差し引いた「残差」として利潤が生まれます。
2. 利潤と損失の「社会的な役割」
利益と損失は、単に個人の富を増減させるだけではなく、社会全体の資源を最適に配置するための「信号(シグナル)」として機能します。
| 要素 | 社会的な機能 |
| 利潤(利益) | 消費者の満足度を高めた証拠。その起業家により多くの資源(資本)を任せるべきだという市場のサイン。 |
| 損失 | 消費者が望まないものに資源を浪費した証拠。その起業家から資源を取り上げ、他へ回すべきだという市場の警告。 |
「市場の投票」: ミーゼスは、消費者が毎日行う購買行動を「投票」に例えています。消費者は買うか買わないかを通じて、誰を富ませ、誰を市場から去らせるかを決めています。
3. 他の収入との明確な区別
ミーゼスは、古典派経済学が混同しがちだった「起業家的利潤」を他の項目から厳密に区別しました。
利子(Interest): 資本を貸し出すことや、時間の経過に伴う対価(現在価値と将来価値の差)。
賃金(Wages): 起業家自身の労働に対する対価。
起業家的利潤(Profit): これらすべてを支払った後に残る、不確実性を的中させたことによる純粋なプラス分。
4. 利潤に対する誤解の論破
ミーゼスは、利潤に対する一般的な批判を以下のように否定します。
「利潤は搾取である」という説: 利益は他人の犠牲の上に成り立つものではなく、消費者に提供した価値の証明です。利益が出るということは、投入した資源の価値(コスト)よりも、生み出した製品の価値(価格)の方が高いと消費者が認めたことを意味します。
「利潤は不当に高い」という説: 自由な市場では、高い利益が出る分野にはすぐに競合が現れます。利益は常に「不均衡」を解消する方向に働き、最終的には消費者がより安く、より良いものを手に入れられるように作用します。
5. 結論:利潤のない社会は停滞する
もし政府が介入して利潤を没収したり損失を補填したりすれば、市場の「信号」は壊れてしまいます。
誰が有能で、どの資源をどこに使うべきかという判断基準が失われ、経済は混乱し、人々の欲求は満たされなくなります。

