2020-12-31
仮想通貨の運命
2020-12-30
池田清彦『環境問題の噓 令和版』
科学は多数決で決まらない
政治的な決定は多数決によって決まる。科学的事実は多数決によっては決まらないから、ここには必然的に齟齬が生じることになる。
2020-12-29
官僚離れの解決法
2020-12-28
グリーン戦略と灰色の未来
2020-12-27
日本中世、政府が通貨を発行しなくても困らなかった理由〜民間で製造、中国から輸入も
鎌倉大仏の原材料は宋銭?
民間が貨幣を自律的に作り出す
政府の通貨発行、再考のとき
2020-12-25
毎日がクリスマス
2020-12-24
持続不可能な財政
2020-12-23
AI批判のあさはかさ
2020-12-22
デジタル庁はいらない
2020-12-21
ワクチン反対は悪くない
2020-12-20
高杉尚孝『論理的思考と交渉のスキル』
タフ・ネゴシエーターは優しい
2020-12-19
ケルトン『財政赤字の神話』
経済を悪化させるMMT
2020-12-18
民間オンライン教育の成長
2020-12-16
暴政を支持する人々
2020-12-14
失業増を招くもの
2020-12-13
貿易禁止が生んだ密貿易集団「倭寇」〜アジアにネットワーク、鉄砲伝来にも一役
多種多様な民族構成
取り締まり強化で凶暴化
ポルトガル人を乗せた密貿易船
保護主義への教訓
国法に反する「密貿易商人」というとらえ方は、東アジア交易の成長を歴史の前進とみなす歴史評価とは異なる見方であり、「倭寇」という呼称にも権力に抗する者はすべて「賊」と見なすという体制的な歴史観が投影されている。(『「海国」日本の歴史』)
- 村井章介『分裂から天下統一へ』(シリーズ日本中世史)岩波新書
- 村井章介『なぜ、大航海時代に戦国の世は統一されたのか 富と野望の外交戦略』 (NHKさかのぼり日本史 外交篇)NHK出版
- 川戸貴史『戦国大名の経済学』講談社現代新書
- 田中健夫『倭寇―海の歴史』講談社学術文庫
- 池上裕子『戦国の群像』(日本の歴史)集英社
- 岡田英弘他『紫禁城の栄光―明・清全史』講談社学術文庫
- 宮崎正勝『「海国」日本の歴史: 世界の海から見る日本』原書房
2020-12-11
コロナ対策のお粗末
2020-12-09
中央銀行デジタル通貨の脅威
2020-12-07
黒人社会と政治
2020-12-06
インカ帝国はなぜ滅びたか
インカ帝国はペルー南部のクスコを中心に、15世紀から栄えた国だ。全土に道路網と宿駅制度を設けてコロンビアからチリ中部に及ぶ広大な地域を支配し、各地に巨大な石造の神殿や要塞を建設した。皇帝は太陽の子とみなされ、絶大な宗教的権力を振るった。
インカ帝国はしかし、スペイン人の侵略によりあっという間に滅びてしまう。1532年11月16日、スペインの征服者ピサロはペルー北部の高地カハマルカの戦いで、インカの皇帝アタワルパを捕らえる。アタワルパがピサロに処刑され、帝国が滅亡したのは8カ月後のことだ。
栄華を極めた帝国がなぜ、もろくも崩れ去ってしまったのだろうか。
2020-12-05
不屆きな會員
本協議會〔國語問題協議會〕の設立に盡力された福田恆存氏の『私の國語教室』を初めて讀んだのは、高校生の頃だつたと思ふ。理路整然とした漢字制限批判・現代假名遣批判に感銘を受けた。大學を卒業し、新聞記者になつた頃、福田氏に師事した英文學者・評論家、松原正先生(故人)の熱心な讀者になつた。けれどもこの頃はまだ、自分が正漢字・正かなで文章を書いてみようといふ氣はなかつたし、その機會も手段もなかつた。
その機會と手段を整へてくれたのは、インターネットの普及である。仕事で海外赴任中だつた二〇〇〇(平成十二)年、「地獄の箴言」といふホームページを手作りで開設し、正假名遣ひと技術的に可能な限りの正漢字で、國語問題や文化、思想を題材にエッセイを書き始めた。ちなみに「地獄の箴言」といふタイトルは、松原先生の著作で知つた英國の詩人、ウィリアム・ブレイクの作品から取つてゐる。
その後、松原先生と親しく接する機會をいただき、その御縁で、本協議會に入れていただいた。協議會の初代理事長が勤務先の大先輩、小汀利得氏だつたことにも何か縁を感じた。協議會では會員の皆樣と樂しく交流し、ホームページやブログ開設のお手傳ひもできた。
二〇一〇(平成二十二)年、新たに「自由の騎士が行く」(今は「自由主義通信」に改稱)といふブログをこれも正字・正かなで始めた。以前から共感を抱いてゐたリバタリアニズムの思想を前面に押し出したものだ。
リバタリアニズムは「自由至上主義」などと譯されるが、要するに民間の活動に政府が介入することを極力退けようとする考へである。ここでは詳しく述べないけれども、昨年、慶應義塾大學教授の渡邊靖氏が『リバタリアニズム――アメリカを搖るがす自由至上主義』(中公新書)といふ本を出してゐるので、興味のある方は讀んでほしい。
國語問題も、元をただせば、民間の文字表記に對する政府の要らざる介入から起こつたものだ。
さて、それでは私は今現在、ブログを正字・正かなで書いてゐるかといふと、恥づかしながらさうではなく、途中から新字・新かなに切り替へた。これについて申し開きをしておきたい。
最大の理由は、檢索されにくいことだ。ネット上に公開した文章を多くの人に讀んでもらふためには、グーグルをはじめとする檢索エンジンで探しやすくなつてゐる必要がある。殘念ながら正字・正かなではその可能性が小さくなつてしまふ。加へて、正字・正かなを見ただけで拒絶反應を示す讀者の存在も、考慮せざるをえない。
また、ブログで書いた文章を本にしたい氣持ちが強まり、電子書籍化したことがあるのだが、表記を新字・新かなに變換する際に變換ミスが多發した。このときは自費出版だつたが、運よく商業出版できさうな場合、表記の變更は必至で、變換ミスを修正する手間は馬鹿にならない。その後どこからも出版の話は來てゐないのだが、これもブログで正字・正かな表記をやめるきつかけになつた。
最近、『三浦老人昔話』など岡本綺堂のいくつかの作品が中公文庫から正かなで出版されてゐる。すばらしい試みだと思ふ。けれども綺堂と違つて無名ライターの私の場合、正かなで出版させてくれる殊勝(無謀?)な版元が現れるとは考へにくい。
そんなわけで、今のブログ「自由主義通信」は志に反し、新字・新かなで書き連ねてゐる次第である。せめてもの罪滅ぼしに、自己紹介欄だけは以下の内容を正字・正かなで書いてゐる。
「木村貴(きむら・たかし) 一九六四年熊本縣生まれ。新聞社勤務のかたはら、歐米の自由主義的な經濟學や政治思想を獨學。經濟、政治、歴史、文化などをテーマに個人で著作活動を行ふ。現在、關聯會社勤務」
最近は協議會の催しもさぼつてばかり。まことに不屆きな會員ではありますが、今後ともどうぞよろしくお願ひいたします。
(國語問題協議會會報「國語國字」第二一四號に寄稿。ブログの自己紹介は現在一部變更)
2020-12-04
社会主義の不合理
2020-12-03
危機をもたらしたもの
日本経済新聞の連載記事「コロナと資本主義」は、ベーシックインカム(最低所得保障)制度を取り上げ、世界の動きについてこう書く。「コロナ危機で若者や非正規雇用など経済的な弱者が深刻な痛手を被り、新たなセーフティーネット(安全網)として導入を模索する動きが相次ぐ」(太字は引用者)
この「コロナ危機」も、正確には「コロナ対策がもたらした危機」のはずだ。コロナ対策のやり方は国によって異なるが、欧米などで中央・地方政府によるロックダウン(都市封鎖)の強制が経済に深刻な打撃を与え、そのあおりで経済弱者が解雇や失業の憂き目を見ている。
日本では建前上、強制力のある措置は採られていない。営業時間の短縮やイベント開催の自粛を都道府県知事が事業者に「要請」し、従わない場合は「指示」できるにとどまり、指示に罰則はない。それでも公権力を背景とした指示は、事実上の強制力を持つと言える。
「コロナ危機」以外にも、メディアが「コロナ対策の影響」とはっきり言うべきところを「コロナの影響」としか言わないのは、単に文字数の節約のためだけとは思えない。コロナ対策が経済に打撃を与え、経済弱者を苦しめているとしたら、当然、政府の責任を問い、対策の見直しや中止を求めるのが筋だ。しかしそれは、政府のコロナ対策を基本的に支持するメディアの立場に反し、都合が悪い。
政府自身の政策が危機を引き起こしているのであれば、ベーシックインカムなど新たな政策を持ち出す前に、効果に疑問のあるコロナ対策そのものをまず見直すべきだろう。