2020-12-04

社会主義の不合理

オーストリアの経済学者ミーゼスは1920年の論文で社会主義が本来不合理であることを示した。社会主義者で経済思想史が専門のロバート・ハイルブローナーはベストセラー『世俗の思想家たち』でミーゼスを無視。だが1990年、ソ連崩壊に直面し「ミーゼスは正しかった」と認めた。

マルクスにとって分業とは諸悪の根源だった。人を仲違いさせ、階級格差を生み、人類の団結を破壊する。しかし実際には分業は、人に集団的な画一性を強いることなく、社会の統合を促す。人や地域には違いがあることを認め、人間の根源的な条件を直視して最善の解決法を探る。

インターネットの発達とともに、社会の変化はボトムアップで起きつつある。この事実はアダム・スミスの市場経済思想に合致し、エドマンド・バークの反革命思想にも通じる。国民国家の命脈が尽きるとともに、トップダウンの革命という大いなる実験は終わりを迎えるだろう。

もし政府が国債の元利保証をしなければ、人は国債を買うはずだったお金を消費に使うか、生産に回すかのどちらかだろう。なぜこれら二つの選択肢は、政府の官僚にお金を使わせるよりも、経済にとって悪いことだと言えるのか。ケインズ経済学はこの問いに答えることができない。

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