バイデン米大統領は9月21日、国連総会で演説を行い、冒頭、「武力によって隣国の領土を奪うことを明確に禁止する、国連憲章の中心的な原則」にロシアが違反していると非難した。
Fact-Checking Biden’s UN Speech
— Antiwar.com (@Antiwarcom) September 28, 2022
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それが国連憲章の中心的な原則であるのは、そのとおりである。しかし、この原則が破られたのは今回が初めてではない。そして過去には、米国はそのような違反を擁護してきた。
米国は(イスラエルによる)ゴラン高原の領有を承認している。また、あまり知られていないが、(モロッコによる)西サハラの領有を承認している。ほぼ半世紀前、モロッコは西サハラを武力で奪い、自国の一部とした。国連も国際司法裁判所も、西サハラの自治権を認める判決を下している。しかし米国はトランプ政権時代に、西サハラをモロッコの一部と公式に認めた。バイデン政権は、その認識を覆すことを拒否している。
ロシアがウクライナのドンバス地方を武力で奪ったというのも、そう単純な話ではなさそうだ。2014年、ドンバス地方はウクライナからの独立を宣言した。ロシアはその独立を認めなかった。ロシアは2014年にクリミアの住民投票を受け入れたが、プーチン大統領はドンバスで同様の住民投票が行われるのを防ごうとした。(英政治学者)リチャード・サクワによると、「プーチンがクリミア式の地域併合を望む気配はほとんどなく、ロシアの一部として領土を受け入れるという要求を繰り返し拒否した」という。
フランスとドイツが仲介し、ウクライナとロシアが合意し、米国と国連が受け入れた2015年のミンスク合意2は、ドンバス地方に完全な自治権を認めながら、平和的にウクライナに返還するものであった。
ウクライナはミンクス合意の履行を拒否した。そして(ウクライナの外交イニシアチブである)クリミア・プラットフォームは、必要とあらば軍事力に訴え、クリミアを再統合すると公約した。(2022年2月に)ロシアがドンバスとの西側国境に軍を増強する前に、ウクライナはドンバスとの東側境界に沿ってドローンミサイルを完備した6万人の精鋭部隊を集結させていた。ロシアには、ウクライナが7年前の内戦を激化させ、ロシア系民族の多いドンバス地方に侵攻しようとしているという「真の警戒感」があったのである。
2022年2月、欧州安全保障協力機構(OSCE)の国境監視団が気づいたように、ドンバスへのウクライナの砲撃が著しく増加し、警戒が強まった。サクワによると、停戦違反のほとんどはウクライナのドンバス側で激増していた。国連の資料によると、民間人の死傷者の81.4%が自称「共和国」(ドンバス地方のドネツク州、ルガンスク州)で発生している。ロシアは、公約された軍事作戦が始まったと恐れた。
誰がドンバスを攻撃し、武力で領土を奪ったのか、誰がドンバスの人々を守ったのかは、バイデンの述べた物語よりも複雑な問題である。
バイデンは、ドネツク、ルガンスク、ザポロジエ、ヘルソン各州で計画されているロシア連邦加盟に関する住民投票を、「ウクライナの一部を併合しようとする偽りの住民投票」と呼び、「国連憲章のきわめて重大な違反」であるとした。
しかし2008年、コソボが住民投票すら行わずにセルビアからの独立を一方的に宣言した際、米国は度重なる国連決議に反してその宣言を承認した。
バイデンは9月18日の米テレビ番組「60ミニッツ」で、「台湾は独立について自分で判断する。〔略〕それは台湾が決めることだ」と自論を繰り返したが、その主張は、東ウクライナの住民投票は「国連憲章のきわめて重大な違反」という彼自身の主張と矛盾する。これでは、米国が推進する「ルールに基づく国際秩序」とは、米国が自分の都合しだいで国連憲章を押しつけたり回避したりしているだけではないかという、ロシアと中国の疑念を裏付けるようなものだ。
(次より抄訳)
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