<参考文献>
2022-03-31
#03 資本主義ってそもそも何?
<参考文献>
2022-03-29
#02 自由貿易と平和の夢
19世紀は近代欧州の歴史の中で最も平和な時代でした。何がそれを可能にしたのでしょうか。その実現には、英国生まれのある人物が大きく貢献しました。もともと実業家だった彼は、ある信念を抱いて政治の世界に身を投じます。彼の信念、そして夢とは何だったのでしょう。
<参考文献>
<配信先>
2022-03-26
#01 ノーベル平和賞、最初の受賞者を知っていますか?
初回にちなんで、ノーベル平和賞の第1回受賞者について話していきます。受賞者は二人いました。一人は国際赤十字社の創立者として有名なアンリ・デュナン。でも、もう一人は誰か、知っていますか。フランス人の彼は、自由貿易が世界平和をもたらすと信じていました。
<参考文献>
2022-03-25
ウクライナ・ロシア危機の責任は誰にあるのか
政治学者、ジョン・ミアシャイマー(2022年3月24日)
欧米での通説によれば、ウクライナ危機はプーチンに責任があるという。ほとんどの人が、罪を犯したのはロシアだと考えている。そこには善玉と悪玉がいて、もちろん欧米は善玉であり、ロシアは悪玉だという。この考え方は単純に間違っている。ウクライナ危機の責任は米国にあり、その同盟国にもある。
2008年のブカレストNATO首脳会議以前、NATOの東方拡大には二つの波があった。最初は1999年でポーランド、ハンガリー、チェコが加盟した。次は2004年でルーマニアやバルト3国などが加わった。ロシアはこれらの拡張をいやいや呑んだが、2008年のジョージアとウクライナを加える案には「ノー」と言った。
2014年2月、ウクライナをめぐる危機が勃発した。同国で親露派の指導者を倒し、親米派を据えるクーデター(マイダン革命)が発生したためだ。クーデターには米国が関与していた。ロシアは当然反発し、ウクライナからクリミアを奪った。クリミアの軍港セバストポリをNATOに与えないようにするためだ。
その後危機は鎮静したが、昨秋から再燃し、今や本格的な危機となった。米国とその同盟国がウクライナを事実上のNATO加盟国にしてしまったからだ。トランプ政権からバイデン政権に至るまで、米国はウクライナを武装化させてきた。それ以前に行わなかったのは、ロシアを激怒させると知っていたからだ。
今日プーチンはヒトラーの再来だと言われる。まったくナンセンスだ。2014年2月以前には、ロシアの脅威はなかった。米国がその話を捏造しただけだ。とにかく、理想的なのは中立的なウクライナを作ることだ。それができないのは、米国側がNATOの拡大に関していかなる譲歩もしようとしないことが大きい。
(次より抄訳)
Professor John Mearsheimer Explains Who Is Responsible for the Ukraine-Russia Crisis - LewRockwell [LINK]
Professor John Mearsheimer Explains Who Is Responsible for the Ukraine-Russia Crisis - LewRockwell [LINK]
2022-03-23
新たな冷戦を始める前に、米政府は再考すべし
クインシー研究所主任研究員、ウィリアム・ハートングほか(2022年3月22日)
ロシアのウクライナ侵攻は、新たな冷戦の始まりを意味するという。もしそうなら、米国防総省は今後数年間で何兆ドルもの資金を追加し、世界中で攻撃的な軍事態勢を強めることになる。しかし米国はすでに朝鮮戦争やベトナム戦争の最盛期、つまり旧冷戦のどの時期よりも大幅に多額の支出をしている。
冷戦中、米政府は何百万人もの命を犠牲にし、右翼独裁と反乱を世界中で推進した。イラン、グアテマラ、チリのクーデター、ベトナム戦争、アフガニスタン、アンゴラ、中米、インドネシアの独裁政権や代理勢力への支援などだ。ソ連から「自由世界」を守るという、誇張・捏造された告発で正当化された。
米政府の最大の失敗は、ソ連のアフガン侵攻への対応だ。カーター政権はムジャヒディンと呼ばれる反政府武装勢力に武器供与を強化。レーガン政権は支援を倍増させた。これはソ連撤退後、裏目に出る。レーガンが「自由の戦士」と賞賛した人々の中には、アルカイダや後のタリバンの結成に貢献した者もいた。
米国は現在20万人以上の軍隊を海外に駐留させている。アフガンで米軍の関与が終わり、イラクとシリアでの作戦が劇的に縮小されたことは、中東などで米軍の存在感が急激に後退する始まりとなったはずだ。しかしロシアのウクライナ侵攻に対する米国の対応は、このような軍再編の妨げになりかねない。
(次より抄訳)
Washington Should Think Twice Before Launching a New Cold War - TomDispatch.com [LINK]
米政府当局は世界大戦をちらつかせているのか?
ケイトー研究所主任研究員、テッド・ガレン・カーペンター(2022年3月22日)
ロシア軍が国境を越える前から、米政府と一部のNATO加盟国はウクライナ政府に武器を提供し、同国の軍隊を訓練していた。これらの武器には、ロシアの装甲車隊に大きな損害を与えたジャベリン対戦車ミサイルが含まれていた。侵攻以来承認された兵器には、スティンガー対空ミサイルも含まれる。
米国などによるウクライナへの武器援助は、きわめて危険な措置だ。ロシアはすでに、このような兵器を運ぶ輸送船団は戦争の正当な標的であると警告している。しかし、輸送船団が攻撃されれば、たとえウクライナ国内で阻止されたとしても、米国や他のNATOの兵士に犠牲者が出る可能性は十分にある。
ウクライナへの武器支援により、米国の指導者はロシアとの直接的な軍事衝突のリスクを負うことになる。つまり第三次世界大戦の引き金となり、壊滅的な核相互攻撃の恐れをちらつかせることになる。米国にとって、ウクライナの安全保障・領土保全・独立は、そのようなリスクを冒す価値はない。
米国が破滅的な戦争に巻き込まれない最善の方法は、対立の引き金となりうるレッドライン(越えてはならない一線)から遠く離れたところに留まることだ。どれだけ近づけるか試すなど、愚の骨頂だ。しかしウクライナへの武器輸出や軍事情報の共有など、バイデン政権はまさにそのような方法をとってきた。
(次より抄訳)
Is official Washington flirting with world war? - Responsible Statecraft [LINK]
2022-03-20
政府は自国民を日々「制裁」している。ロシア制裁は自然な進化にすぎない
麗澤大学准教授、ジェイソン・モーガン(2022年3月19日)
ロシアへの制裁は言うまでもなく非道徳で不当だ。子供や障害者を含む一般市民を、彼らの政府の行いのために罰するのは間違っている。しかも制裁の適用は恣意的だ。米政府は約20年前、アフガニスタンとイラクを侵略し、その前にはイラクの罪のない人々を犠牲に制裁を加えたが、何の罰も受けなかった。
米政府がロシアとロシア人に対して行っていることは、決して珍しいことではない。毎日起きていることだ。それは米本土から何千マイルも離れた国や人々だけでなく、米国のあらゆる場所で起こっている。米政府はロシアにだけ制裁を加えているのではない。一般の米国民にも制裁を加えている。
ガソリンやタバコを買うと、政府は税金を課し、それによって国民を制裁する。仕事でお金を稼いだら、その一部も徴収する。不動産を所有したら制裁、不動産を借りたら制裁(1泊でも宿泊税)、資本の利子を得たら制裁、人を雇ったら制裁、これらの後に残ったものを死んだときに相続人に渡したら制裁。
ウクライナの人々とともに、ロシアは同国から手を引けと求めるのは結構なことだ。でも、すべての国の人々とともに、すべての政府が市民のお金に手を出さないよう求めるのは、さらにすばらしい。ロシア人を制裁するのが道徳的に間違いなら、私たち一般人を制裁するのは少なくとも同じくらい間違いだ。
(次より抄訳)
Governments "Sanction" Their Own Citizens Every Day. The Russia Sanctions Are Just a Natural Evolution. | Mises Wire [LINK]
今学ぶべきは1938年の教訓ではなく、1914年の教訓
ミーゼス研究所編集主任、ライアン・マクメイケン(2022年3月19日)
1938年、英国がナチスドイツにチェコの領土問題で譲歩し、かえってより大きな侵略を誘発したとされる。この「ミュンヘンの教訓」は、軍事介入を支持する者にとって、妥協や不介入よりも、国際紛争をエスカレートさせ、あらゆる侵略者に直ちに軍事力で対応することがつねに最善であることを意味する。
しかし、戦争を回避するための外交や妥協がすべて甘い見通しの宥和政策というわけではない。それだけでなく、不干渉と不拡大がより良い選択だった、あるいはそうだっただろうという例を数え切れないほど見出すことができる。
1914年のサラエボ事件に始まる七月危機は、侵略に反対し、同盟国を守れという呼びかけのせいで、バルカン半島の地域戦争だったはずのものが、第一次世界大戦に発展した。ベルサイユ条約にドイツへの不条理な「戦争責任」条項が盛り込まれたことで、さらに悲惨な第二次世界大戦の原因にもなった。
さいわい米国は少なくとも二度、1914年の教訓を学んだかのような行動をとったことがある。1956年、ソ連軍の戦車がハンガリーに進駐し、ハンガリー人が何千人も殺された。NATOはこの侵略に対して動員されただろうか。アイゼンハワー大統領は米軍の爆撃機を準備しただろうか? 答えはノーだ。
1968年のプラハには、ワルシャワ条約機構の親ソ連政権から20万人の外国軍と2500両の戦車が侵攻してきた。このときも、米国は何もしなかった。もちろん、これは正しい判断だった。もし強硬な「ミュンヘンの教訓」に従っていたら事実上の米ソ対決となり、世界規模の核戦争が起こる可能性が高かった。
(次より抄訳)
We Must Now Learn the Lesson of 1914, Not the Lesson of 1938. | Mises Wire [LINK]
2022-03-18
人道目的の戦争の結末
ウクライナで起きているのは、米国からはるか離れた場所での領土紛争であり、米国の安全保障上の利益は何ら危険にさらされていない。人道的な問題に対し軍事的な解決策を追求しても、問題を悪化させるだけだ。武器を送れば、銃撃戦に巻き込まれた民間人の犠牲者数が倍加する。(ジョーダン・シャクテル)
ウクライナ紛争と過去の米国の軍事介入は重要な違いが二つある。第一に、ロシアは自国の国境での紛争に介入していて、何千キロも離れてはいない。第二に、ウクライナをNATOに加盟させ、核兵器を含む兵器の配備を正当化しようとする米政府の数十年にわたる試みに反応している。(トム・ミューレン)
欧米の情報機関はウクライナで暗躍してきた。さまざまな非政府組織を通じて資金提供や協力を行い、ロシアが2月に侵攻する前に、ウクライナのメディアの力を借りて情報戦に勝利した。同国で最も新しいメディアでさえ、米CIAに関連する機関から支援と資金提供を受けている。(ペドロ・ゴンザレス)
プーチンの侵略は正当化できないが、彼が一夜でウクライナが崩壊すると考えた理由の一つは、欠陥の多い政治経済制度だ。不正選挙が蔓延し、国民は経済危機に苦しむ一方、新興財閥は天然資源を乗っ取り、IMFからの融資や欧米の援助を横領することで驚異的に豊かになっている。(マーク・アーモンド)
2022-03-17
カギを握る中国
バイデン政権は、台湾をめぐる緊張を緩和する集中交渉の提案を中国に行うべきだ。中国が台湾に対し非暴力を誓い、威嚇するミサイルを撤去する。米国は台湾との軍事関係を避け、近隣の巡視をやめる。互いが協調し一歩引くことで、ウクライナのような騒動は防げるかもしれない。(ダグ・バンドウ)
中国はウクライナ、ロシア双方と友好的な関係にある。2019年にはロシアに代わってウクライナの最大の貿易相手国となり、トウモロコシ、大麦、鉄鉱石、武器などを輸入している。一帯一路の足がかりとなるウクライナに多額の投資を行い、30億ドル近い建設契約を締結している。(ピーター・カズニック)
米国の対ロシア戦略計画は、3年前にシンクタンク、ランド研究所によって練り上げられた。計画によれば、ガス・石油の輸出に経済を依存する弱点を攻撃しなければならない。商業・金融制裁とともに欧州にロシアの天然ガスの輸入を減らし、米国の液化天然ガスに置き換えさせる。(マンリオ・ディヌッチ)
防衛関連企業にESG (環境・社会・企業統治)投資のお墨付きを与えるのは、ウォール街における「二重思考」の最大の例の一つだ。兵器メーカーが環境や社会的責任に配慮しているのなら、ESGに反するとして長い間批判されてきた石油・ガスメーカーもその対象に加えてはどうか。(ゼロヘッジ)
2022-03-16
NATOを終わらせよ
バイデン政権は、ウクライナ人が最後の一人になるまでロシアと戦うつもりのようだ。米国にとって唯一の解決策は撤退だ。ロシアとウクライナが合意に達するのを待つ。ウクライナをNATOに入れず、ロシアの国境に米のミサイルを置かない。戦争を終わらせ、NATOを終わらせるのだ。 (ロン・ポール)
ウクライナ戦争で得をするのは誰か。死傷するか家から逃げ出すウクライナ人でないのは確かだ。核戦争か物価高、食糧不足に襲われる米国など世界の他の一般人でもない。利益を得るのは米国の外交政策エリートだ。予算、任務、名声を手に入れる膨大な政治的チャンスが得られる。(シェルドン・リッチマン)
米国の道徳的偽善には唖然とする。ロシアがウクライナで行っている犯罪は、過去20年に米国が中東で行った犯罪よりましだ。米はロシア同様、クラスター弾に関する条約を批准していない。ベトナムやイラクで使った米軍のクラスター弾による民間死者数に、ロシアはまだ及ばない。(クリス・ヘッジズ)
NATOは米国が欧州諸国を自国圏に同化させようとした計画の一部だった。この計画のもう一つの大きな柱はマーシャル・プランだ。これは欧州を経済的に統合することに主眼を置いた。この統合は、ほとんど破壊された欧州経済に米国の計画を押し付けるもので従属に近いものだった。(ロン・ジェイコブズ)
2022-03-15
「デマ」検閲の害悪
言論の自由の重要さは、個人が自分の信念を述べることより、大衆が真実を把握できるようにすることにある。真実のないプロパガンダでも、人々がそれに接するのは価値がある。ヒトラーの『我が闘争』を読むのが有益であるのと同じく、敵の信条を理解することができるからだ。(マット・ハンプトン)
ロシアのプーチンは人命を尊重しない下劣な指導者だ。だからといってウクライナのゼレンスキーが 「良い人」なのか? この男は、自分のために戦わせる国民を徴兵している。言論と報道の自由に関する弾圧も悪名高い。プーチンを非難するのにゼレンスキーを称賛する必要はない。(ハンナ・コックス)
The Theater of War: Seeing Through the Russia-Ukraine Propaganda - Foundation for Economic Education
ロシアによる攻撃に先立ち、ウクライナ議会は初めて、市民に対し銃器の所持と自衛のための行動を許可した。ウクライナ当局者がついに、国民に武器の所持という自然の権利を完全に拡大しようとしたことはすばらしい。唯一の悲劇は、そのためにあまりに長い時間を要したことだ。(ジョン・ミルティモア)
社会学者ロバート・ニスベットは「戦争の力が道徳的な意味の感覚を生み出すことは、20世紀の最も恐ろしい側面の一つ」と述べた。ジャーナリストH・L・メンケンは「純粋に道徳的な理由で戦争をするのは、純粋に道徳的な理由で女性を犯すのと同じくらい馬鹿げたこと」と書いた。(アリス・サレス)
2022-03-14
経済制裁の悪
経済制裁は正義の戦争とは正反対だ。兵士だけを巻き込む戦争から、民間人だけを巻き込む戦争に移行する。この絶滅主義的な政策は、国民と政府を同一視し、政府の犯罪に対し国民を罰するという考えの論理的帰結である。イラク人は存在せず、イラクという国家が存在するだけだ。(ジャスティン・レイモンド)
経済制裁の対象は政府ではなく、その国の国民である。経済が弱体化すれば、人々は自分たちが暮らす政権に反旗を翻すかもしれないという。イランでは1979年の革命以来、禁輸措置がとられているが、そのようなことは起こっていない。制裁は対象国だけでなく自国の経済も弱める。(マテウス・ヴィエイラ)
経済制裁の一般ロシア人に対する効果は絶大だ。購買力、所得、雇用に大きな影響を与え、多くのロシア人は生活水準の深刻な後退を被るだろう。ロシアの支配階級も影響を受けるだろうが、彼らは元から良い生活をしているから、全体としてははるかにましな暮らしができるだろう。(ライアン・マクメイケン)
トランプ前大統領がイラン核合意から離脱した後、EUは米国の経済制裁を回避しイランと貿易するため特別な支払いルートを設けた。経済制裁は長期で基軸通貨ドルを弱体化させる可能性がある。もし多くの国がドルを捨てればドルは暴落し、米国内でも経済的な混乱が生じるだろう。(マイケル・マハーレー )
全人類にとって最大の脅威は、誤った命令を下す権力者ではなく、その命令に自発的に従うことを選ぶ人々である。彼らは自分が正しいと思うことを単に行うのではなく、他人の意志に従う。正しいことをするために命令は必要ない。服従は間違ったことの共同作業につながるだけだ。(ゲイリー・バーネット)
2022-03-12
戦争党という勝者
米国はウクライナ紛争に首を突っ込み、欧州に軍を急派している。ロシアに制裁を課し、国際経済は停滞。民主党は共和党とぐるになり、軍事予算をさらに膨張させる構えだ。これらはすべて、米外交政策を牛耳り、世界を支配する資格があると主張する超党派の「戦争党」のせいだ。(ダグ・バンドウ)
2006年に米国が下した、ウクライナをNATOに引き込むという決断は、ロシアに存亡の危機をもたらした。2021年12月までにウクライナは事実上NATOの一員となり、一線を越えてしまった。国際関係学者ミアシャイマーは「今日起きていることの第一の責任は西側にある」と述べる。(ロジャー・ハリス)
核戦争だけが脅威ではない。ウクライナには国内4カ所に15基の原子炉があり、チェルノブイリ原発事故跡地にも停止した原子炉がある。メルトダウンや爆発を避けるには複雑な系統の完璧な運用が欠かせない。砲撃でチェルノブイリや福島を上回る原子力災害を誘発する恐れがある。(エイミー・グッドマン、デニス・モイニハン)
戦争報道を難しくするのは、政府の全力でのプロパガンダだ。大昔からある。四千年前のエジプト王の記念碑は勝利を捏造・誇張し、敵に関し無礼な嘘を言う象形文字で一杯だ。現代の記者は公式見解を疑ったり、怪しげな主張の証拠を求めたりすると、愛国心に欠けると非難される。(パトリック・コックバーン)
英アマチュアオーケストラ、カーディフ・フィルは「現時点では不適切」として、ロシアの作曲家チャイコフスキーの作品の演奏を中止した。的外れなことだ。彼はロシアのナショナリズムを排し、ロシアと欧州の芸術を結ぶ数少ない架け橋になった。彼はまた、ウクライナを愛した。(ビリー・ビニオン)
2022-03-11
米支援の極右クーデター
ロシアの侵略は言い訳できないが、ウクライナでの戦争が先月始まったわけではないと認めなければ理解も解決もできない。発端は米国の支援する極右が主導した2014年のクーデターだ。新政権はロシア語圏の住民への暴行を奨励し、住民はロシアの支援を受け自衛の武器を手にした。(アーロン・マテ)
ウクライナのネオナチ、スヴォボダ党とその創設者オレーフ・チャフニボークとアンドレイ・パルビイは、2014年2月に米国が支援したクーデターで主要な役割を果たした。彼らとドミトリー・ヤロシュ率いる民兵組織「右派セクター」は警察の武器庫を襲撃して武器を調達した。(メディア・ベンジャミン、ニコラス・デイビス)
ウクライナ危機では大きな勝者が一人いる。堕落した冷戦期の恐竜NATOにウクライナを吸収させると脅し、この危機を引き起こした米国の国家安全保障機構である。ロシアが国境に米軍基地、ミサイル、戦車、軍隊を設置させまいとして、ウクライナに侵攻すると十分わかっていた。(ジェイコブ・ホーンバーガー)
米国とウクライナの共同生物学研究は、国務省によって穏当に説明されている。ではなぜ米国は、研究がロシアの手に渡ることを深刻に懸念するのか。ウクライナは化学・生物兵器を保有しているかという単純な質問に対し、ヌーランド国務次官が「施設」の存在を認めたのは奇妙だ。(グレン・グリーンウォルド)
2022-03-10
経済制裁の被害者
経済制裁は国民全体に罰を与えるが、最も影響を受けないのはいつもその国の指導者だ。イラクで通貨はほとんど無価値となり、人は食器や家具を売ってしのいだ。一方、サダム・フセインは新しい宮殿や巨大なモスクを建設し、自政権は資源に不自由していないことを示そうとした。(パトリック・コックバーン)
個人の離婚なら、別々の道を歩むことに合意した後、互いに関わりを持たないように手配し、独立した生活を送ることができる。しかし国、特に地理的に近接した国にそれは不可能だ。他者との対立を解決するために永久に経済関係を絶つという考えは、国際的なレベルでは通じない。(オマール・アルバイドリ)
ウクライナ全土であれ、人道回廊とウクライナの防衛体制を守るためだけであれ、何らかの飛行禁止区域を設定することは、実質的に米空軍がウクライナ空軍となり、ウクライナの地上軍とともにロシアと戦うことを意味する。バイデン大統領がこのような要求に抵抗するのは正しい。(アナトール・リーベン、ウィリアム・ハートゥング)
1967年、米国防総省はベトナム戦争の誤りを分析するよう最高の専門家に命じ、47巻もの資料が作成された。この研究はジョンソン政権の主要人物や政府機関に配布されたが、完全に無視され、忘れ去られた。政治体制は、権力闘争を弱体化させるような情報を日常的に隠蔽するのだ。(ジェームズ・ボヴァード)
2022-03-09
ウクライナ侵攻の前例
NATOのセルビアに対する78日間の空爆と、現在のロシアのウクライナに対する攻撃を法的に区別することは困難である。1999年の戦争の後、NATOがセルビアからコソボを切り離したことは、ロシアによる2014年のクリミア併合や、現在のウクライナ東部での企ての前例となった。(テッド・ガレン・カーペンター)
国際政治において犯罪を正確に測定することは容易ではないが、近年米国が犯した犯罪は、ロシアが犯したものよりも国際秩序に大きなダメージを与えていることは、認めるに忍びない事実である。ロシアは、明らかに違法な予防戦争の方針を公言したことはない。米国が行ったのだ。(アンドリュー・ベイセヴィッチ)
プーチンの侵略が正当化されるわけではないが、「いわれのない」侵略と呼ぶことは、米国自身の責任から目をそらすことになる。米国は、このまま進めば大惨事が発生しかねないという米露双方の当局者の警告を無視したのであり、最終的にそうなったとしても驚くにはあたらない。(ブライス・グリーン)
ベトナム戦争当時、NYタイムズ紙が、共産主義者のせいでベトナムがいかに危険か書いていたのを覚えている。しかし同紙で(米国の)「侵略」という言葉を目にしたことはない。(ところが今)「ロシアの侵略」という言葉は何度も何度も使われる。(映画監督オリバー ・ストーン)
2022-03-08
合理的な要求
プーチンの要求は極めて合理的である。彼はNATO加盟国の脱退を要求しているわけではない。常識的に考えれば、紛争ではなく、平和を促進することが米国の利益だ。ウクライナをロシアの影響から切り離せと、「カラー革命」を煽った人々は公言したが、愚かで危険な行為だった。(ジャック・マットロック)
米国の外交政策指導者50人(主にリアリスト派)は1997年、クリントン大統領に宛てて、NATOの東方拡大は「歴史的規模の誤り」だと書き送った。いわく、同盟国の安全保障を低下させ、欧州の安定を揺るがす。ロシアで改革派の勢力を弱め、冷戦後の和解全体を疑わせるだろう。(ジョン・シュワルツ)
ロシアの侵略は大罪だ。それでも米国民は問うべきだろう、米国はどうなのだと。弱い隣国に自国の意志を押し付けることを躊躇したことはない。キューバを貧困化させ、ベネズエラを飢えさせることに全力を注いでいる。一方で従順な独裁政権との協力を決してためらわなかった。(ダグ・バンドウ)
1兆5000億ドルのGDP(イタリアや米テキサス州より小さい)と600億ドルの軍事予算(米国の6%)しか持たないロシアが、かつてのロシア帝国やソビエト連邦を再興しようとしていると考えるのは馬鹿げている。米政府は近年、ロシアの全軍事予算を上回る軍事費を毎年増やしている。(シェルドン・リッチマン)
米国人は自分が守るべき社会的・政治的大義を自由に受け入れ、そのために戦うべきだが、それは自発的にできることだ。支配階級は今、この戦争を、ウクライナにおける彼らの事業の利益を支援するよう米国民に求めるだけでなく、このゲームに参加することを強要しているのだ。(ジョーダン・シャクテル)
2022-03-07
大きな悪、小さな悪
ロシアのウクライナ侵攻と、それをもたらした国防総省とCIAの政治的駆け引きとでは、どちらが悪だろうか。ロシアのウクライナ侵攻が悪だからといって、侵攻させた国防総省とCIAの戦略が善であるとは言えない。それはやはり悪であり、もしかしたらもっと悪であるかもしれない。(ジェイコブ・ホーンバーガー)
プーチンがウクライナに侵攻したのは間違いだった。戦争は恐怖であり、「国家の健康法」だ。どんなに注意しても、罪のない命が流される。しかし、この不幸な出来事の第一の責任はどこにあるか。明らかに米国とNATOだ。NATOは東方への絶え間ない進軍を止めなければならない。 (ウォルター・ブロック)
ロシアの侵攻には様々な意見があるだろうが、誰も警告されていなかったとは言えない。ロシアには自国の安全保障に懸念があり、行動を正当化する理由になったという議論が可能だ。しかし米国とNATOが過去20年間に行った好戦的な行動については、同じことを言うのは難しい。(ロバート・ブリッジ)
ある戦略思想家によれば、米政府の外交戦略は単純で、「金の流れを止めるな、増やせ」というもの。この予算最大化戦略は米政治経済の国防費への依存度を高めた。ウクライナ戦争に対し国防総省、防衛産業、議会、シンクタンク、情報機関、報道機関が大喜びするのはそのためだ。(フランクリン・スピニー)
2022-03-05
消えた平和の配当
冷戦が終わっても平和の配当はなかった。北大西洋条約機構(NATO)の拡大は、冷戦で儲けた企業に大金をもたらした。もしロシアが再び敵になることを認めないなら、敵になるよう圧力をかけられるだろう。そして今。戦争産業だけが利益を得て、子供たちが街で死んでいく、新たな冷戦の瀬戸際にいる。(クリス・ヘッジズ)
ロシアのウクライナでの行動は非難に値する。だが米国が支援したサダム・フセインによるイランとの戦争がもたらした人的被害と比べれば、犯罪と呼ぶに値しない。重要なのは、現在進行中のウクライナの出来事は悲劇的かもしれないが、それほど珍しいことではないということだ。(アンドリュー・ベイセヴィッチ)
NATOによるコソボ戦争は国連の承認なしに行われ、国際法に著しく違反するものだった。重大な人権侵害があれば、「国際社会」は世界のあらゆる地域に軍事介入することが正当化されるという考えに基づく。二十年以上経った今でもコソボはNATOの影に隠れ、統治が行き届かない。(サラン・シャイドル)
冷戦時代、ソ連は中東欧で完全な傀儡政権を築いたが、フィンランドへの政策は異なっていた。内政を任せ、干渉は最小限にとどめた。外交の制限は厳しかったが、フィンランドは活気に満ちた資本主義的な民主主義国家であり続けた。ウクライナにとって検討の余地のある選択肢だ。(テッド・ガレン・カーペンター)
2022-03-04
体制転換という愚策
外交問題評議会のハース会長は「ロシアにおける望ましい体制転換(レジーム・チェンジ)の可能性」に言及した。この方針が実行されれば、戦争収束の希望を事実上失わせることになる。紛争を拡大させる最も確実な方法は、ロシアの指導者に「追い詰められ、他に選択肢がない」と思わせることだからだ。(ダニエル・ラリソン)
戦争地域に武器とカネを送り込むことは、長い間、米政府の常套手段であり、その結果、無数の悲劇的な問題が引き起こされた。イラン・イラク戦争でイラクに大量の武器を提供したことで、サダム・フセインはイランに侵攻。この戦争は二十年間で百万人を殺害した可能性がある。(アンドリュー・コーブリー)
いつも底流にあるのは、「狂人」を止めるために何かしなければならないという考えだ。プーチンは非合理で誇大妄想だから、決して譲歩や妥協は許されないという。しかし同じく「狂人」とされたイラクのサダム・フセインは、決して狂人ではなく、冷徹で計算高い独裁者だった。(ジョナサン・クック)
ロシアによるウクライナ侵攻の責任はプーチンにあるが、その中で起きている新冷戦は、主に過去三十年の米政府とその指導者の責任だ。具体的にはNATOの拡大、重要な核条約の破棄、東欧へのミサイル配備、十年で二度のウクライナを含む、ロシアに友好的な政府の転覆などだ。(スコット・ホートン)
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア語圏である南東部の出身。370年間もロシア領だった地域で育ったのである。テレビ俳優として、偶然ウクライナの大統領になった学校教師を演じたことで有名だ。この番組は実は当初ロシア語で放送され、ウクライナ語に吹き替えられた。(デビッド・ストックマン)
2022-03-03
悪の撲滅は政府の仕事か
米国がロシアの侵攻を傍観するのは無慈悲で臆病とも言われる。しかし世界は不正義に満ち、米政府には世界から悪を撲滅する手段も能力もない。それは米政府の仕事ではない。むしろ軍隊を含む米国民を守ることこそ政府の最大の責任だ。この戦争は米国が戦うべきものではない。(ダグ・バンドウ)
元駐ロシア米国大使で現CIA長官のウィリアム・バーンズは2009年の覚書で、ロシアはNATOの東方拡大が軍事的脅威になりうると見ており、「この問題がウクライナを二分して暴力や内戦に発展し、介入の判断を迫られるかもしれない」と懸念していると指摘した。彼は無視された。(スコット・リッター)
ロシアのウクライナ侵攻が犯罪なら(実際そうだが)、米国のイラク侵攻は何だったのか。プーチンは暴力で体制転換をもたらし、自らの好む指導者を据えようと考えているようだ。バイデン政権は怒るが、国際法を無視した強権的な体制転換はここ数十年、米国の主流の政策だった。(アンドリュー・ベイセヴィッチ)
この戦争は、欧州のNATO諸国と米国に拡大する前に終結させなければならない。そのためにバイデン米大統領は、NATOの拡張は永久に終わり、ウクライナ、グルジア、モルドバは加わらないと言明するべきだ。またウクライナの永世中立に向けた国際平和会議を呼びかけるべきだ。(デイブ・リンドーフ)
2022-03-02
主権侵害という欺瞞
国連、EU、NATOは「ウクライナの主権の侵害」に憤る。過去25年間、セルビア、アフガン、イラク、リビア、シリアなどの主権を軍で侵害してきたことを思えば、虚しく響く。彼らが決めたルールに従ってプーチンは行動している。問題はルール違反ではなく、目的の相反にすぎない。(トーマス・ナップ)
米国のソ連封じ込め政策の父とされるジョージ・ケナンは1998年、NATOの東方拡大に鋭く警告した。「これは新しい冷戦の始まりだと思う」とケナンは述べている。「これは悲劇的な間違いだ。これには何の理由もなかった。誰も他の誰かを脅かしていたわけではないのだから」(テッド・ガレン・カーペンター)
NATOははるか以前から、本来の役割というレールから外れていた。北大西洋条約が調印された1949年4月4日のわずか一年後に朝鮮戦争が始まるまで、NATOは欧州ではなく、アジアでの軍事作戦に深く関与した。「加盟国の安全と自由を保証する」という仕事もうまくいっていない。(ロン・ポール)
ウクライナはロシア語圏のドンバス地方を自治権付きで分離したり、本来起源とするロシアに加盟させたりできたはずだ。1919年のベルサイユ会議でできた人口国家チェコスロバキは数年前、平和理にチェコとスロバキアに分離したし、ユーゴスラビアも今は7つの国に分かれている。(デビッド・ストックマン)
ロシアが戦争終結の条件として、ウクライナの中立と軍縮を挙げていることを、世界は真摯に受け止めるべきだろう。中立はウクライナにとって長期の選択肢となりうる。ベトナムは中国との冷戦に巻き込もうとする米国の動きに抵抗し、軍事同盟を結ばないなどの方針を守っている。(メディア・ベンジャミン、ニコラス・デイビス)
2022-03-01
経済制裁の不道徳
ロシアがウクライナを支配しようがしまいが、米国民には関係ない。特に経済制裁は道徳に反する。モスクワに水爆を落とすのと同じ理由で間違っている。罪のない人々を標的にするからだ。サダム・フセインが告発されたとき、イラクを攻撃したのが誤りだったのと同じく間違いだ。(ルー・ロックウェル)
戦争で政府は嘘をつく。ルーズベルト大統領は第二次大戦への参戦を望んでいることを隠し、英政府と結託して世論を誘導した。ベトナム戦争は虚偽によって始まり、欺瞞に浸された。イラク戦争はすべて嘘の上に成り立ち、アフガン戦争で米政府は20年間、あらゆる面で嘘をついた。(ブランダン・バック)
キンジンガー米下院議員(共和党)は、米軍をウクライナに派遣し「飛行禁止区域」を設定せよと求めた。つまりロシアに対しウクライナ領空に入るなと命令するのだ。ロシアが合理的な計算で米の命令に従うという空想は、プーチンが今や正気を失ったという物語と完全に矛盾する。(グレン・グリーンウォルド)
北大西洋条約機構(NATO)の崩壊は、米国の地政学的優位の終わりの始まりを意味する。これは長い間待ち望まれていた。米国の膨大な軍事力は、米中間層の利益を守るのにほとんど役に立たない一方、防衛産業の私腹を肥やし、自称外交専門家の多くをワシントンのシンクタンクで雇用し続けている。(ホセ・ニーニョ)
誰もロシアが天使だとは言っていない。ポーランドやバルト諸国は、かつて帝国として支配したロシアに当然不満を持つ。だがロシアが東欧に電撃的に攻め込む兆しはほとんどない。もしバルト三国とポーランドが侵略を心配するなら、NATOに頼らず独自の安全保障を構築するだろう。(ホセ・ニーニョ)