2024-07-31

エリートはイノベーションを嫌う

どの社会でもエリートは、特定の生産方法とある種の神話や思想の上に権力を築く。既得権益層には、現状を揺るがすリスクのあるイノベーションを阻止するか、少なくとも統制しようとする動機がある。エリートが勝利すると変化は押しとどめられ、社会は長い停滞に逆戻りする。
What Are the Causes of Human Progress? - Human Progress [LINK]
政府が税金を取り、公共サービスに使ったり、他の人に配ったりするとき、その受益者は本当にそのお金を受け取る資格があるのだろうか。明らかにない。一方、納税者は多くの場合、自分が稼いだお金なのだから、自分で使う資格がある。課税が増えるほど、公平性から遠ざかる。
Responding to Reich, Part 3: Defending the Unfairness of Capitalism - FEE [LINK]

経済制裁を受けた政府には、以前よりも国民からしばしば大きな支持を得るという「旗下結集効果」が起こる。制裁は敵対する外国勢力の行為だと国民がみなすからだ。また制裁は対象各国を相互依存に追い込む。対象国は米国の同盟国から孤立し、必要に迫られて敵国と結びつく。
Washington Post Fails to Learn Anything About Sanctions - Antiwar.com [LINK]

トランプとハリスの政策で重要なのは、共通点だ。多くの人々を殺し、多くの生活に悪影響を与え、生態系に大きなダメージを与える、完全に一致した部分であって、取るに足らない相違点ではない。違いよりも共通点を見る方が、米国とその帝国について多くを学ぶことができる。
US Presidential Races Hide The Criminality of the US Empire - LewRockwell [LINK]

イスラエルは1948年、シオニズムを信奉する欧州系ユダヤ人によって建国された国であり、1948年以前にパレスチナ系ユダヤ人によって正当に取得された土地は、現在のわずか7%にすぎない。建国と拡張はほとんど、アラブ系住民に対する収奪、脅迫、テロ、戦争、征服の結果である。
Socialism, Israeli-style | Mises Institute [LINK]

2024-07-30

「脱成長」論者という蛮族

水道橋など古代ローマの驚くべき技術は、蛮族に脅かされ、ついに破壊された。現代の繁栄の源泉である人間の創意工夫も、同様に脅威にさらされている。今日の「脱成長」運動は、水道橋を破壊した蛮族のように、エネルギー使用を根本から削減するよう提唱している。
Degrowthers Are the New Barbarians - Human Progress [LINK]
人類の歴史の大半で、労働者や商人であるよりもエリート学者、政府官僚、宗教関係者のほうがはるかに名誉であり、商業や技術革新は蔑視された。17世紀の英国とオランダでこの文化が変わり始めた。革新を受け入れ、称賛するようになり、今日享受する質の高い生活につながった。
The Role of Culture in Innovation - Human Progress [LINK]

マルクス主義者は経済的不平等の原因を誤認している。資本家に不公平な富を与えるのは、労働者からの剰余価値の搾取ではない。マネーサプライの増加によるタダの資金の流入だ。マルクス思想は、インフレや企業救済など国家の介入で金融エリートを利し、経済格差を永続させる。
Inequality is caused by inflation | Mises Institute [LINK]

マルクス主義哲学者スラヴォイ・ジジェクの理論の欠陥は、彼が「私たちのコモンズ」と呼ぶ、集団所有の考え方にある。この考え方は、富の平和な生産者から収益を没収することを正当化するために、社会主義者、共産主義者、ファシストなど様々な集団主義者によって提唱される。
The Poverty of Slavoj Žižek’s Collectivist Vision of Property Rights [LINK]

健全な経済政策はユートピア的な願望から導かれるものではない。誰かが時給20ドル以下で働くことは「不公平」かもしれないが、その金額で働くことを禁止すべきではない。最低賃金法は失業水準を全般に引き上げ、最も不利な立場に置かれている人たちを完全に失業させてしまう。
How capitalism defeats racism | Mises Institute [LINK]

2024-07-29

保護主義の害悪

英国の自由貿易論者がよく語ったように、自由貿易の下では、同じ額の所得で多くのものが買える。つまり保護主義の下では、買えるものは少なくなる。保護主義は希少な資源を浪費し、個人の自由を制限し、幸福の追求を妨げる。これが一番のポイントだ。
TGIF: Damn Consumers! | The Libertarian Institute [LINK]
米国憲法は完璧というにはほど遠いものだが、欧州のいくつかの憲法に見られる非常に危険な規定がない。国家緊急事態が発生した場合、大統領が憲法を一時停止することを認める規定だ。かりに緊急事態に対処が必要だとしても、なぜそれを一人の人間の手に委ねる必要があるのか。
No exceptions, please! | Mises Institute [LINK]

米国人が次期大統領として最も必要としているのは、「世界を動かす」ことを望んでいない人物である。そんなことは不可能だ。何十年にもわたる見当違いで費用のかかる戦争の後、米政府は平和を選択し、米国が再び普通の国になるよう認めるべきである。
Will Americans Stop Trying to ‘Run the World’? - The American Conservative [LINK]

ベネズエラの故チャベス前大統領に始まるチャベス主義は、25年以上にわたって国の制度を解体し、大統領職に権力を集中させてきた。これは典型的な社会主義につながり、市民に深刻な影響を及ぼし、700万人以上のベネズエラ人がより良い機会を求めて国外に逃れている。
Citizens Hope to End Maduro’s Dictatorship As Venezuela Goes to the Polls - FEE [LINK]

ネタニヤフ・イスラエル首相は米議会演説で、ハマスという「怪物が女性を強姦し、男性の首をはね、赤ん坊を生きたまま焼いた」と主張した。信頼できる独立情報源によって確認されているように、それはすべて嘘であり、イスラエル政府が作り出したプロパガンダの一部である。
War Criminal Benjamin Netanyahu Addresses the US Congress - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

2024-07-28

絶対君主制と革命の流血

フランス革命が血にまみれた無数の乱行を招いたことは否定できない。だが、ここには絶対君主制の痕跡がある。結局のところ、地方自治をつぶし、近代化された大官僚体制を作り上げ、権力者の気まぐれに答える単一のフランス国家という考えを作り上げたのは、君主だったのだ。
Medievalism, Absolutism, and the French Revolution | Mises Institute [LINK]
古典的自由主義の経済学者ミーゼスはフランス革命に好意的だったが、それは革命の初期、法的特権の廃止など自由主義の信条が主張されたためだった。「我々と人類にとって救いはただ一つ、1789年(フランス革命)の思想である合理主義的な自由主義に立ち戻ることだ」と述べた。
Was the French Revolution Good or Bad? | Mises Institute [LINK]

合理主義的な啓蒙主義者たちは、立憲君主制、自由主義的な経済・法秩序、科学の進歩、有能な行政を支持していた。もしフランスのエリートが、このような改革路線に合意していたら、革命の恐怖政治、ナポレオンの専制政治、中央集権的な国家主義革命は起こらなかっただろう。
What Brought on the French Revolution? | Mises Institute [LINK]

フランス王政の破綻を招いた最大の原因は、費用のかかる戦争だった。しかし革命から3年も経たないうちに、仏新政府はオーストリアに先制宣戦布告した。その後22年間、フランスはほとんど常に戦争状態となった。共和国のために欧州大陸を安全にするという名目による。
How Nationalism and Socialism Arose from the French Revolution [LINK]

1790年3月17日、フランス革命国民議会はアシニアと呼ばれる新紙幣の発行を決議した。91年後半までにその購買力は14%低下し、93年8月には60%下落した。95年11月には発行以来99%減少した。この5年間で、革命期フランスの貨幣は、印刷された紙よりも価値が下がってしまったのだ。
Inflation, Price Controls, and Collectivism During the French Revolution [LINK]

ニクソン・ショックで失われたもの

1971年8月15日、米ドルと金の交換が停止された。当時のニクソン大統領が緊急会見で発表したため、「ニクソン・ショック」と呼ばれる。これにより、世界で米国だけがかろうじて維持していた金本位制は完全に失われた。それは健全な通貨の規律が失われた瞬間でもあった。

ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ

金本位制とは、金を本来の通貨とする制度だ。中央銀行の発行する紙幣はいわば金との引換券で、一定量の金と交換が約束されている。中央銀行は紙幣を大量に発行しすぎると、金との交換を次々に求められた場合、保有する金が底をついてしまう。米国が金ドルの交換停止に追い込まれたのは、まさにそれだった。

大戦の終結間際、米国を中心とする連合国が戦後の国際通貨秩序であるブレトンウッズ体制を策定した。その柱として米国はドルを1オンス35ドルで金と交換することを約束し、ドル供給量の拡大に制約を課した。

1950年代後半から60年代にかけ、米国は国内消費の増加に加え、東西冷戦を背景に新興独立国へ莫大な経済援助を行ったり、ベトナム戦争で軍事費が膨らんだりしたことなどから、国際収支が大幅な赤字となった。各国は獲得したドルを米中央銀行の連邦準備理事会(FRB)に提示し、金への交換を請求したため、大量の金が海外に流出した。

米国は外交圧力によって外国政府からの金の交換要求を遅らせることしかできなかった。1950年代初めから1971年の金ドル交換停止までの間に、米国は金の保有高の55%を失うことになる。

この間、米国はドルの動揺を抑えようと、さまざまな防衛策を講じた。たとえば1960年から貿易収支改善のため、政府が優先的に米国製品を購入することを定めたバイアメリカン法(米商品優先購入法)の適用を始めた。また同時期、やはり国際収支改善のために、輸送に米国船の利用を義務づけるバイシップ政策が採用されたが、どちらも大きは効果は上がらなかった。

また、米国からの長期資本流出を阻止するため、株式や社債が発行される際に臨時税を課した。金利平衡税という。しかし平衡税の対象にならない短期資本の借り換えや直接投資が増加して、ドルの流出は止まらなかった。

手持ちのドルを金に交換する各国の請求に米国が容易に応じなかったため、各国はロンドンの自由金市場で金ドルの交換を行なった。そのためロンドンの金価格はじりじり値上がりし、米国の保証する公定価格と大きな差が生まれた。米国と欧州主要国はドルの信用を回復しようと1961年から金プール機構を作り、ロンドンの金市場で金売り介入を行った。

1968年になると、金取引がさらに拡大したため、金は1オンス35ドルの公定価格以外に自由価格を認める二重価格となった。自由金市場では金1オンス600ドルにもなった。ドルは市場によって事実上切り下げられたことになる。

米国から金の流出に歯止めはかからず、ニクソン大統領は金ドルの交換停止を宣言することになった。当時は一時的な措置の予定だったが、結局、現在に至るまで金本位制を放棄したままとなっている。

ドルは商品の裏付けから完全に切り離され、純粋な不換紙幣となった。FRBは民間人、企業、外国政府、外国の中央銀行からの金との交換請求にわずらわされることなく、ドルを自由に発行できるようになった。

一見よいことのように思えるが、ひとつ問題があった。お金を自由に生み出せる「打ち出の小槌」を手にした人間は、節度のある使い方をすることが難しい。予算のばらまきに走りがちな政治家なら、なおさらだ。ドルが大量に発行されるのと並行して、政府の債務が急膨張していく。

米連邦政府の総債務は1970年末に約4000億ドルだったが、2022年1月末に初めて30兆ドル(約3450兆円)に達した。約半世紀で75倍に膨張している。約30兆ドルのうち、国債など連邦政府自身の債務が約23兆5000億ドル、社会保障基金などその他の公的機関の債務が約6兆5000億ドルとなっている。また、外国に対する債務は約7兆7000億ドルあり(2021年11月時点)、そのうち日本に対する債務が約1兆3000億ドルと最も多く、中国の約1兆1000億ドルが続く。

世界全体でも債務は膨らんでいる。とくにここ十数年は2008年のリーマン・ショックをきっかけとする世界金融危機、2020年からの新型コロナ感染症の流行に対し、各国政府が財政による対策に乗り出したため、公的債務の増大に弾みがついた。

国際通貨基金(IMF)によると、2020年に民間部門を含む世界の債務は第二次世界大戦以降、最大の年間増加額を記録し、債務残高は過去最高の226兆ドル(約2京5800兆円)に達した。対国内総生産(GDP)比は28ポイント上昇の256%となった。

債務増加額の約半分は政府が占め、残りは非金融企業と家計部門だ。公的債務は今や世界全体の40%を占め、ここ60年弱で最大となっている。世界の公的債務は対GDP比で過去最高の99%に跳ね上がった。

債務拡大はとくに先進国で顕著で、公的債務の対GDP比は2007年の約70%から、2020年には124%まで上昇した。中国を除き、新興国・途上国の割合は比較的小さい。

IMFは2022年4月に公表した論評で、世界の債務負担が「危険な水準」に達したと警鐘を鳴らした。新型コロナ対策がいまだに多くの政府予算に重くのしかかるなか、ウクライナでの戦争を受けてリスクがさらに増したためだ。「負債の透明性を改善し、債務管理の政策および枠組みを強化するために、当局者による改革が急務」と呼びかけた。

しかし米欧日諸国は債務を削るどころか、ウクライナの戦争支援や物価高対策などに支出を増やしており、財政は一段と悪化する恐れが強まっている。

そうしたなか、ロシア大統領府は2022年4月29日、通貨ルーブルと金やその他商品の交換比率を固定することを検討していると明らかにした。

ロイター通信によると、ペスコフ大統領報道官が記者団との電話会見で「この問題をプーチン大統領と話し合っている」と表明した。ロシア中央銀行のナビウリナ総裁は記者会見で「いかなる形でも議論していない」と語っているものの、実現すれば、ニクソン・ショック以来の金本位制復活となる。

半世紀にわたる債務膨張への反省から、通貨制度の枠組みが大きく転換するのか、注目される。

2024-07-27

金本位制のメリット

通貨の供給と購買力を、政府・権力者・政党・圧力団体から独立させられるのは、金本位制の際立った長所だ。金の大きなメリットは、金が希少で、量が自然界によって制限され、発見・採掘・加工にコストがかかり、政治的な不作為や気まぐれによって作り出せないことにある。
When Thoughts Turn to Gold [LINK]
オリンピックの根底には、自由な市場経済が支持する多くの特質があり、個人主義、国際協力、競争による卓越性を積極的に推進している。それなのに、なぜ五輪への無謀な公共支出の伝統が続いているのだろう。政府による無責任な五輪招致は、税金による浪費の悪循環をもたらす。
The Big Losers at the Olympics Are the Host Nations [LINK]

ベーシックインカム(UBI)の支持者は、今の福祉制度のほとんどを代替し、合理化できるという。理屈の上では名案に思えても、実現する十分な政治的意志があるかどうかは別だ。UBIのパイロットプロジェクトでは、参加者が給付金を失うことのないよう、盛んに免除を求めている。
The Real Cost of Universal Basic Income [LINK]

かりに市場が失敗したとしても、政府の介入で事態が改善されるわけではない。市場の失敗を批判する人は、同じ論理を政府には適用しない。市場が完璧を実現する機能を備えるのは不可能だが、それは政府も変わらない。実際、政府の失敗は少なくとも市場の失敗と同じくらい多い。
The Failure of Market Failure [LINK]

自由と引き換えに国外からの脅威に対する安全が高まったとしても、政府の安全保障政策が市民への脅威(監視国家や警察の軍事化など)を生み出すかもしれない。人々の結びつきの自由は、世界を平和にする結びつきを育むため、自由が拡大すれば、安全が拡大するかもしれない。
Satirizing the National Security State: An Interview with the Authors of ‘How to Run Wars’ - FEE [LINK]

2024-07-26

インフレは最悪の税

アルゼンチンのインフレとの戦いは終わっていない。インフレは政府の「隠れた」収入であり、下層階級に最も悪影響を及ぼすことから、ミレイ大統領自身、最悪の税金と認識し、これを抑制する決意を固めているようだ。今のところ、彼は勝利している。しかし喜ぶのはまだ早い。
How Javier Milei Is Battling the Worst Tax of All—Inflation - FEE [LINK]
保護主義者は国際貿易をボクシングの試合のように考える。貿易はむしろ駅伝に近い。走って他国にバトンを渡す。結果は全員のスピードと技術にかかっている。バトンをもらった国が走るのを渋ると、他国のスピード(成長)は落ちる。すべての国の経済発展は相互依存関係にある。
Why Trade in the US Remains an Important Force for Development - FEE [LINK]

米国には昔から中央銀行があったわけではない。 実際、連邦準備理事会(FRB)の前身である北米銀行、第一合衆国銀行、第二合衆国銀行の3行は、18世紀から19世紀にかけてすべて廃止された。 それは当時起こったし、これからも起こりうることなのだ。
The American tradition of abolishing central banks | Mises Institute [LINK]

トランプ、バイデン両大統領は外国に多額の援助をし続けた。一極世界を維持する最後の努力のようだ。米国の負債が制御不能になり、中国がアフリカや中東で有効な外交を展開する今、多極化世界の現実を受け入れ、抑制されたアメリカ・ファーストの外交政策をとるべきだ。
Trump and Biden can't wait to send more assistance to Ukraine | Mises Institute [LINK]

ハリス氏は2020年の大統領選中と副大統領就直後、アフガン戦争を終結させる超党派の努力を支持しなかった。バイデン大統領とそのチームが指揮した撤退はお粗末だったが、撤退は正しい行動だった。ハリス氏はあの失敗した国家建設計画に米国民の税金を注ぎ続けようとした。
Kamala Harris is awful | Mises Institute [LINK]

2024-07-25

政府を信じる革命、信じない革命

ルソーとは対照的に、米建国の父たちは衆愚政治の弊害を痛感していた。ルソーの教義に従ったフランス革命は、民衆は無謬であり、民主政府は自ずから共通善を追求するという妄想に基づいていた。アメリカ革命は政府に対する不信感に基づき、フランス革命は政府の形が変われば社会が変わるという期待に基づいていた。
Biden's Blather and American Democracy Gone Awry | The Libertarian Institute [LINK]
米民主党はわずか数分で、予備選の過程を完全に消し去ってしまった。 つまり、「民主」を掲げる党が、候補者選びから一般有権者を完全に排除したのだ。 シカゴで「開かれた大会」を開くというが、いずれにせよ、候補者は代議員とヒラリー、オバマのような裕福な党エリートによって、密室で選ばれる。
The party of "democracy" will now choose your candidate for you | Mises Institute [LINK]

バイデン大統領が事実上機能していないホワイトハウスが実際には、目に見えない、選挙で選ばれたわけでもない、影で働く人々に運営されていることは否定できない。これをディープステートと呼ぶ者もいる。 いずれにせよ、米国はテクノクラシー(専門家支配)であり、民主制でも共和制でもない。
Unelected technocrats are now the nation's chief executives | Mises Institute [LINK]

南アフリカでアパルトヘイトは撤廃されることなく、「黒人経済力強化政策」という合法的な人種差別の新たな形態に変容しただけだった。かつての合法的差別は黒人が最も少ない権利しか持たず、すべての人種集団に特権を与えていたのに対し、現在は白人を除くすべての人種集団に特権を与えている。
Legal discrimination in apartheid and equity | Mises Institute [LINK]

フィリピン国民の一部は、政府が米国の反中政策を受け入れることに街頭で抗議している。近い将来、マルコス政権の政策を覆すことに成功する可能性は低いものの、フィリピンは米国の軍国主義と距離を置いたことがある。たとえば、1990年代初頭にスービック湾海軍基地から米軍を追い出した。
A Temporary Calm in the South China Sea | The Libertarian Institute [LINK]

2024-07-24

共和党で小さな政府?

共和党は2024年の綱領で、連邦支出で最大の項目の1つ(国防)の支出を増やす一方で、他の2項目(社会保障と医療保険)の削減に反対しようとしている。もう1つの支出項目である国債の利子は、共和党政権下でも増え続けるだろう。共和党が小さな政府の擁護者に見えるのは、民主党と比較した場合だけだ。
Republican Platform Ignores Real Causes of Inflation - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]
トランプ氏銃撃で結局、Xは真実のすべてを見つけることができる唯一の場所となった。その間、旧来メディアは想像を絶する馬鹿げた見出しを垂れ流していた。何時間もの間、暗殺未遂事件だとは言わなかった。CNNの見出しは最悪だった。「シークレットサービス、集会で倒れたトランプ氏を舞台裏に搬送」
During the Crisis, Free Speech Worked Brilliantly - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

何百万人もの人々がバイデン氏に投票し、何千万ドルもの資金がその選挙運動に寄付された。バイデン氏は今、指名を受ける数週間前に辞退しようとしている。この前代未聞の決断だけでも、バイデン氏が大統領職を来年1月まで続けられるかどうか、議会による調査が必要だろう。
Succession by Defenestration: How Biden’s Withdrawal Could Trigger a 25th Amendment Fight - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

北大西洋を防衛するための同盟が、遠く離れたアジアの国家(中国)を標的にするのは奇妙に思えるが、NATOは防衛が目的でもなければ、北大西洋だけに関与するわけでもない。アフガニスタンとリビアにおける最近の戦争は、NATOが米主導の世界支配を可能にする道具であることを示している。
The True Purpose of NATO Remains US Hegemony - Antiwar.com [LINK]

欧州における親パレスチナ、少なくとも親イスラエルを強調しない立場への政治的シフトは、予想よりもはるかに速いスピードで起こっている。スペイン、ノルウェー、アイルランドの政府は、パレスチナの国家承認によって国民の願いに応えている。米国など他の国もそれにならうべきだ。
When Supporting Israel Is a Liability: Is Gaza Changing the West? - Antiwar.com [LINK]

2024-07-23

再生エネは環境にやさしくない

天然ガスや炭化水素を燃料とする発電所に比べ、太陽光や風力発電を建設する場合、必要な材料の総トン数は約10倍になる。再生可能技術を構築するための鉱物は、環境的に問題のある採掘方法によって得られる。自然エネルギーは汚染を伴うだけでなく、高価で安定性に欠け、補助金なしでは競争に勝てない。
The degrowth movement is antihuman, and its advocates are fine with that | Mises Institute [LINK]
温暖化ガス排出実質ゼロ(ネットゼロ)を達成する唯一の方法は、技術を開花させ、自由競争に任せ、安価でクリーンな商品・サービスによって多数の人に役立つ移行を生み出すことだ。政府が公的資金を使って決定を下すと、マイナスの結果を招く。気候社会主義は悲惨な失敗に終わり、貧困を増大させる。
'Net zero' and Keynesian 'stimulus' are making us poorer | Mises Institute [LINK]

国家が主導した社会工学の悲劇にはいくつか前提がある。国家による市民の追跡・分類。これには永続的な姓の創設、人口登録、言語の標準化などが含まれる。啓蒙的な技術者によって社会が実際に運営されるという信念。その信念を強制する権威主義国家。その計画に抵抗する能力のない、服従する市民社会。
Seeing Like a State: How Certain Schemes to Improve the Human Condition Have Failed [LINK]

定住生活と文明化の間に実際の関係はない。人類は何千年もの間、国家にとらわれることを避けるために、一カ所に住むことに抵抗してきた。ただ自由でありたかったのだ。しかも狩猟採集民はかなり楽だった。良い食事、豊富な運動、余暇。それに比べ農耕生活は全般にかなりひどいもので、健康は低下した。
Why Doesn’t James Scott Want to Talk about Property? [LINK]

自国通貨のドル化によって政府の貨幣創造能力をなくしたからといって、財政赤字がなくなる保証はない。そもそも取り組むべきは財政赤字であり、それを解決すればインフレがなくなるため、ドル化は不要になる可能性が高い。ドルそのものはアルゼンチンの問題を解決するものではない。
Can Dollarization Fix Argentina’s Inflation Problems? [LINK]

2024-07-22

行政府の魔の手

米大統領は行政府というタコの上に座っており、そのタコは米国人の生活の隅々にまで巻き付いている。目的を達するために、国税庁は8万7000人の税務署員(キリストがしばしば罪人として言及した職業)を雇い、国の経済活動を規制している。ちなみにこの数は、米陸軍の年間募集総数よりも数万人多い。
Why the Cult of the Presidency Must End [LINK]
かりに有用な経済モデルが構築され、そこから有益な政策結論が導き出されたとしても、政治家と役人がそのとおり実行すると考えるのは、あまりに非現実的で滑稽だ。連中は選挙で当選したり公職に任命されたりする方法を知っているだけで、それ以外のことはほとんど知らない。
Optimality Is the Mainstream Economist's Holy Grail [LINK]

『1984年』の著者オーウェルは、左翼対右翼という二分法はもはや現代世界では通用しないと指摘し、こう述べた。「真の分断は、保守派と革命派の間ではなく、権威主義者と自由主義者の間にある」
Is Individualism vs. Collectivism the New Left vs. Right? [LINK]

米国人が持つお金の量が増えたからといって、裕福になったとは限らない。 たしかに需要は大きく伸びているが、それは米国人の実質的な富の増加ではなく、空前の金融緩和のおかげで、手にできるお金の量が増えたことを表しているのだ。
How Money Printing Made Supply Chain Disruptions Even Worse [LINK]

石炭は英国での生産が1913年にピークを迎え、その後主要エネルギー源として石油やガスに追い抜かれたため、生産量は150分の1に減った。石油やガスよりも温暖化ガスの排出量がはるかに多いため、エネルギー生産量に比して排出量が減少した。経済成長を続けながら、同時に大気質も改善してきたのである。
Does Economic Growth Increase Air Pollution? - FEE [LINK]

2024-07-21

「戦争で経済繁栄」の嘘

「戦争は経済に利益をもたらす」という主張をよく耳にする。戦時には武器や弾薬、兵士の食糧などが大量に必要になり、それらを扱う企業が儲かる。さまざまな技術が戦争をきっかけに開発される。戦争が終わると、戦時中に破壊された多くの住宅やビルが建て直され、経済活動を刺激する――。だから戦争は悲惨であっても、国を経済的に豊かにする、というのだ。しかし、これは本当だろうか。

学校で教えない大恐慌・ニューディール

戦争が繁栄をもたらすという根拠の一つとしてしばしば持ち出されるのは、 第二次世界大戦中の米国だ。たしかに当時、米国の各種経済統計は改善を示しているように見える。しかし、そこには落とし穴がある。

最初に、失業率を見てみよう。1940年の14.6%から1944年にはわずか1.2%まで低下している。表面上は、戦時中に失業がほとんどなくなったように見える。しかし数字の背景にある現実を考慮すれば、額面どおりに受け取ることはできない。失業者が減った大きな要因は、徴兵などによって軍隊に入る国民が増えたことにある。

エコノミスト、ロバート・ヒッグス氏の著書(Depression, War, and Cold War)によれば、この期間、失業者は745 万人(公式統計)または462万人(民間統計)減少したが、軍隊の人員は1087万人増加した。民間の失業をなくすことが繁栄をもたらすと考えるとしても、民間人の失業を100人減らすために146人または235人を軍隊に入れるとは、異様なやり方だ。

しかも兵役は、民間の仕事とはまったく性質が異なる。しばしば肉体的・精神的傷害の危険にさらされるし、過酷な環境にもかかわらず報酬はわずかで、戦争が続く限り、やめたくてもやめられない。大戦中、米国人の死者は約40万人、負傷者は67万人に上った。兵役が民間の仕事をどれだけ補ったか、単純な比較はとてもできないだろう。

次に、経済成長である。米政府の公式統計によれば、実質国内総生産(GDP)は戦時中の1941年から43年にかけて、年率およそ20%という驚くべき勢いで増加した。44年も8.4%と高い伸びだった。

しかし、そもそも戦時に限らず、国内総生産やその前身の国民総生産(GNP)は定義上、政府が財政支出を増やせば増加につながる。それが経済を豊かにするかどうかは別問題だ。政府の公共事業が政治力に左右され、非生産的な用途に回されがちであることはよく知られる。

戦争中はとくにその傾向が強まる。第二次大戦中に増加した米政府の支出は、大半が兵器の購入と徴兵で急増した兵士への給与支払いに充てられた。しかし戦争関係の政府支出を統計に含めることには、経済学者の間に異論があった。とくに注目したいのは、GNP統計の生みの親である、ノーベル賞経済学者サイモン・クズネッツの意見だ。

クズネッツはつねづね、GNPは「平時の概念」であると強調していた。それによれば、政府支出をGNPに含めてよいのは、それが消費者向けの財購入か資本の形成に充てられる場合だけであり、軍事支出は原則除外しなければならない。その根拠をクズネッツは「(外敵から)生命や身体を守ることを、個人への経済的サービスとして語ることには無理がある。それは経済的サービスの前提条件であり、サービスそのものではない」と述べている。

クズネッツはこの考えに基づき、戦中・戦後の経済成長の修正値を試算した。1939年のGNPを100とすると、政府の公式統計(1990年作成の推計値)では戦時中の1944年に192.7のピークに達し、終戦直後の1946年に153.1に急低下している。これに対し、クズネッツの修正値は1942年に118.2(公式統計では150.8)、43年に117.6(同178.1)と公式統計を大きく下回り、一方で終戦後には1946年に146.5と前年比17%上昇している。公式統計とは対照的な推移だ。この違いはおもに、クズネッツが一部軍需品の高すぎる購入費を修正し、兵士への給与支払いを統計から除いたことによる。

戦時中、生活必需品が不足して国民が不自由で貧しい生活を強いられたことや、終戦とともに社会が繁栄を取り戻したことを考えあわせれば、軍事支出で水増しされた政府の公式統計より、クズネッツの修正値のほうが経済の実態をより適切に反映していることは明らかだろう。

最後に、個人消費だ。同じく1939年の実質個人消費支出額を100とすると、政府の公式統計(1990年推計値)では41年の110.5から44年の115.9まで上昇基調をたどっており、これをもとに「戦時中は個人消費が盛んだった」と主張する論者がある。

これらの論者が見落としているのは、公式統計が戦時中の物価上昇を過小に見積もっていることだ。戦時中、政府は物価統制を行い、商品の値段を人為的に抑え込んだ。軍事費を賄うため連邦準備銀行を通じて通貨供給量を増やした影響で物価に上昇圧力がかかり、国民の不満が強まったためだ。

闇市場では公定価格より高い値段で商品が売買されたが、政府が算出する消費者物価統計には反映されない。この結果、物価上昇分を差し引いた個人消費額は過大に計算されてしまう。

経済学者ミルトン・フリードマンとアンナ・シュワルツの試算によると、公式統計による物価上昇率は1943年で3.7%、44年で7.7%、45年で8.9%、それぞれ過小に見積もられているという。これに基づき1人あたり実質個人消費を算定すると、39年の100から41年に108.7のピークに上昇した後は42年に104.2、43年に101.9と低下し、44年も102.0にとどまる。これが戦時中の個人消費の実態に近いだろう。

以上が「戦争の経済効果」の実像である。大戦に経済効果があったとすれば、米軍需産業の輸出を増やしたことだろう。欧州の連合国は戦火にさらされ、生産能力が落ちたためである。米国政府はレンドリース法(武器貸与法)に基づき、総額501億ドルの兵器・武器、軍需物資を他の連合国に売却や貸与の名目で提供した。

代金と引き換えではなかったため、ルーズベルトは国民の同意を得るため、これは火事を消すために隣人にホースを貸すようなものであると説明した。しかし代金の支払いや物資の返却は結局ほとんど行われず、コストを実質負担したのは米国の納税者だった(ロバート・マーフィー『学校で教えない大恐慌・ニューディール』)。

クズネッツの修正GNPが示すように、米国経済が繁栄を取り戻したのは戦争が終わってからだった。終戦が近づいた頃、ケインズ経済学の影響を受けた多くの経済学者は、膨大な軍事支出がなくなる結果、米国経済はふたたび大不況に突入すると予想した。しかしその予想はみごとに外れ、戦後経済は力強く復活への道を歩み始めたのだった。

2024-07-20

CIAの本当の使命

米中央情報局(CIA)の基本的な使命は、米政府のために情報を収集・生成することではない。秘密活動、とりわけ他国の内政への秘密介入である。CIA長官は、自らが率いることになっている組織の方針や管理を支配しておらず、関心もない。むしろ最大の関心事は、CIAの秘密活動を監督することにある。
The CIA’s assassination plots | Mises Institute [LINK]
米国の歴史は建国以来、相反する2つの伝統によって形作られてきた。1つはハミルトンに始まる、中央集権的な政府を支持するものであり、もう1つはジェファーソンに代表される、分権的な政府と州・地域社会の権利を支持するものだ。
Alexander Hamilton's poisoned legacy | Mises Institute [LINK]

トランプ前大統領のもとで国家安全保障担当補佐官を務めたロバート・オブライエン氏は、中国を封じ込め、台湾を脅かすことを抑止するよう求めている。イスラエルへの傾倒ぶりは、最もタカ派的なネオコンに匹敵する。第2次トランプ政権はイランに対して「最大限の圧力」をかけるべきだと考えている。
Neoconservatism by Another Name - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

ウクライナ国内の世論調査は、外交解決に向けた潮目の変化を示唆している。同国のメディアによると、妥協してロシアとの戦争を終わらせる交渉を支持するウクライナ人が増えている。新たな世論調査によれば、国民の44%がロシアと交渉する時期だと答えている。1年前の5月には、この数字は23%だった。
Could a Change in Tone Lead to Peace Talks in Ukraine? - Antiwar.com [LINK]

米高等教育認定委員会(CHEA)とその加盟単位認定機関はジョージ・フロイド氏の死後、「社会正義」を求める声に応え、DEI(多様・公平・包摂)方針を認証の必須条件とした。反発もある。テキサス、フロリダ州の大学を認定する機関は、内部からの圧力にもかかわらず、DEI基準を採用しなかった。
A historical lesson in higher-education self-governance | Mises Institute [LINK]

2024-07-19

暗号通貨がFRBを揺るがす

個人の自由と経済の繁栄に関心があるなら、ポピュリズムは避けたい。経済音痴だし、リバタリアニズムの代わりにはならない。ナショナリズムと結びつくのもよくない。個人ではなく、国家を基本単位としている。ポピュリストが個人、家族、地域社会を称賛しても無視しよう。彼らに重要なのは国家なのだ。
TGIF: The Populist Trap | The Libertarian Institute  [LINK]

中央銀行デジタル通貨(CBDC)によって可能になるのは、あらゆる人の取引を調査する能力を、中央銀行という単一の組織に合理化することだ。捜査の機能が複数の機関にまたがっていても、政府は取引を監視したり、口座を凍結したり、給料を直接差し押さえたりすることができるようになる。
CBDC currency: Creating shortages with full shelves | Mises Institute [LINK]

バンス副大統領候補は上院議員として暗号通貨を支持し、ビットコインを所有している。ビットコインが米連邦準備理事会(FRB)や政治と癒着した銀行業界への不信から生まれたことを考えると、暗号通貨業界が強力な圧力団体として台頭することで、FRBによる経済支配に打撃を及ぼすような法案が生まれるかもしれない。
Does J.D. Vance threaten the regime? | Mises Institute [LINK]

政府が独占企業を規制して競争を促進できるという考えは誤りだ。そのような介入は市場競争を阻害し、生活水準を低下させる。自由市場では有害な独占企業は生まれない。むしろ政府が産業を厳しく規制し、生産に関与したり、企業や個人の職業に認可を与えたりすることで、独占が生まれる。
Government regulation of competitive firms creates monopolies | Mises Institute [LINK]

政党の代弁者

軍隊に入らず、米国の戦争に参加しないことを選んだ人々の中にも、米国の利益のために働こうとしている人はたくさんいる。実際、そのかなりの部分は、イラク戦争など米軍の行為の多くが、米国を助けるのではなく、害を与えることに気づいたからこそ、軍に入隊せず、戦争に参戦しないことを選んだのだ。
Tulsi Gabbard’s Dumb Defense of J.D. Vance and Criticism of Kamala Harris - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

権利とは特権ではない。権利とは、全世界を相手にした、譲れない個人の主張である。権利には政府の許可は必要ない。理性以外の前提条件も必要ない。家族や隣人の承認も必要ない。
Taking Rights Seriously - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

今日主流メディアは国民を代表する番犬ではなく、利己的な政党や党員の代弁者であることがあまりにも多い。調査報道ジャーナリストはどこに行ってしまったのだろうか。その不在によって、メディアは明らかにトランプ大統領の狙撃を回避する機会を逸したように思える。我々の未来はどうなるのだろうか。
Media Flubs Chance to Avert Trump Shooting - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

米海軍の水上艦建造能力は、修復不可能なほど損なわれている。適切な計画の欠如、膨大なメンテナンスの滞り、世界的な「コミットメント」(軍事介入)のために、残存する水上艦隊が、限られた寿命の船体で、際限なく周回航行しているためだ。
US Surface Navy is No Longer a Global Force | The Libertarian Institute [LINK]

2024-07-18

欧州エリートの自滅

貿易とは、人々が日常生活をどのように送るかという問題だ。着るもの、食べるもの、使うもののすべてを自分で作ることは事実上不可能であるため、人間の生活水準や人生の機会は、労働の産物を他者と取引する機会に大きく左右される。貿易障壁は、政治家が市場をコントロールしようとする試みである。
Tariffs Are Bipartisan Enemies of Freedom | The Libertarian Institute [LINK]

米国は、イランとの交渉の機会をとらえて誘いに応じ、不安定な関係を静める代わりに、改革派の大統領の信用を失墜させ、核合意交渉の申し出を拒否し、孤立させ、敵対関係を維持しようとする無益な政策に固執しているようだ。またしても米国は平和を遠ざけ、イランにおける自国の利益を損なっている。
The U.S. Continues to Undermine Its Own Interests in Iran | The Libertarian Institute [LINK]

欧州の体制派は破綻した思想を握りしめ、手放す気配を見せない。これは自由の大義にとって信じられないほど有利である。体制派が有害な経済政策で自滅するか、不人気で信じられないほど狂った文化政策で自滅するかは、私たちリバタリアンには関係ない。重要なのは、彼らが自滅しつつあるということだ。
European Elites Commit to Their Self-Destruction | The Libertarian Institute [LINK]

デプラットフォーム、焚書、ブラックリストは、言論の自由という価値観からは長い間、忌み嫌われてきた。それらは反対意見に対してその是非を問うのではなく、反対意見が聞かれないようにする活動である。イーロン・マスク氏がこれを 「ゆすり」と表現したのは正しい。
Elon Musk is Right: End the Online Censorship Racket - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

ヒトラー独りを、世界を恐怖に陥れた超悪玉に仕立て上げることで、歴史家はヒトラーの共犯者(ドイツ政府、自由よりも安全と秩序を選んだ市民、悪に対して声を上げなかった宗教団体、同胞市民の死刑を意味しても命令に従った個人)を不問に付した。こうして専制政治が台頭し、自由が崩壊するのだ。
A Time of Shame and Sorrow: When It Comes to Political Violence, We All Lose - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

失策は政府の養分

政治エリートが政治的暴力を非難するのはいらいらする。結局、政治とは暴力だ。政治指導者は喜んで、何百万人を殺すような戦争を起こしたり、言うことを聞かせるために暴力をちらつかせたりする。暴力の行使がお上品なやり方で扇動され、自分が正当とみなす手段で実行されることを望んでいるだけだ。
The Trump assassination attempt exposes the establishment’s deceitfulness | Mises Institute [LINK]

ベネズエラは、事業を国有化し続けることで経済がいかに悪化するかを示す典型例だ。鉄鋼、農業、銀行、石油を国有化し、繁栄の可能性が消えた。社会主義者が農業を集団化した後のベトナムも同様の災難に見舞われた。大幅な規制緩和と市場改革があって初めて、経済成長への道をはい上がることができた。
Though popular, nationalizations ruin economies | Mises Institute [LINK]

政府の失策につきもののシナリオに従うなら、トランプ氏護衛に失敗した機関の予算は増えるだろう。9.11テロの阻止に失敗したCIAとFBIには、多くの税金が投入された。誰も職を失わず、説明責任もなかった。シークレットサービス長官を除けば、国防総省や州警察の誰かが公式な懲戒を受ける可能性は低い。
Choose one: Law enforcement at Trump shooting was either incompetent or complicit | Mises Institute [LINK]

バイデン大統領とトランプ前大統領の討論における最大の敗者は、バイデン自身ではない。メディア、特にNYタイムズのようなホワイトハウス番の記者団を擁するエリート報道機関だ。これらの記者団は何かの理由でバイデンの急激な認知機能低下を見逃したか、あるいはもっと悪いことに、あえて隠蔽した。
Media Now Embarrassed For Covering Up Biden’s Weakness - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

トランプ氏は米国にとって重大な危険人物となるため、再選を阻止せよと反トランプ派はいう。しかし、たとえ大統領になるのがトランプ氏(またはバイデン氏)でなかったとしても、やはり誰かが全能の権力を振りかざし、私たちの自由、プライバシー、幸福を破壊する巨大な国家主義のねじを締め続ける。
Assassination Accomplishes Nothing - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

2024-07-17

アメリカファースト対ネオコン

トランプは、ニッキー・ヘイリーのような「ちゃんとした」新保守主義者(ネオコン)ではなく、J・D・バンスを副大統領候補とし、大きな過ちを避けた。バンスの経済観は懸念すべきものもあるが、彼は共和党の最悪の勢力(ネオコン)の忌み嫌うポピュリスト的アメリカ・ファーストの理念をよく補完する。
The hope for national unity in the shadow of a failing state | Mises Institute [LINK]

恐怖に駆られて安全を求めれば、良い人生は送れない。良い人生は実りある仕事からなる。その原動力は理性と努力による価値観の実現であり、真の自尊心をもたらす。安全よりも能力を求めよう。真の安全とは、人生の試練を単に避けるのではなく、対処するのに必要なスキルを身につけることにある。
Fear is the mind killer: America's dangerous obsession with 'safety' | Mises Institute [LINK]

社会全体の利益の追求は、特別な集団を増やし、その利益を守るために集団の権力を拡大しても達成できない。全体の利益を追求する唯一の道は、生産と分業だ。経済学者ミーゼスがいうように、人間同士の友好関係を可能にするのは、分業による生産性の向上である。それは生来の利害の対立を取り除く。
Group interests and the 'good of the whole' | Mises Institute [LINK]

主流メディアは、トランプはヒトラーの再来で、当選すれば独裁体制を敷くだろうと報じている。だがトランプはすでに4年間大統領を務めたが、独裁体制を敷くこともなく、民主党や共和党の議員を殺害するために決死隊を送り出すこともなかった。
Propaganda: How the media handles Biden's rapid decline and the Trump shooting | Mises Institute [LINK]

トランプ氏が狙われた理由

米国が第一次世界大戦に参戦した際、当時のウィルソン大統領が団結を求めたのは驚くにはあたらない。戦時中の反対意見の弾圧や、ドイツ系米国人やドイツ文化への迫害はよく知られるが、公民権法制の強化を要求した黒人も扇動罪に問われた。
Woodrow Wilson and Freedom | Mises Institute [LINK]

誰と付き合うか付き合わないかは自由だという考え方は、左翼にすれば自由主義の弱点である。左翼は、すべての人を「より良くする」方向に導くことが重要だと考える。不平等を根絶し、国家による強制によってすべての人にとって有意義な生活を実現するための見識を、社会主義の理想に求めているのだ。
The Limitations of Economic Laws | Mises Institute [LINK]

メディアや政治家がトランプをファシスト、独裁者、ナチス、ヒトラーだと中傷すれば、彼を国の根本的な脅威とみなす者がいても不思議ではない。政治家が対立候補に対する暴力を推奨すれば(トランプ自身は米議会乱入事件の際に暴力を推奨してはいない)、おかしな者が暴力を振るうのも不思議ではない。
The Trump Assassination Attempt and Opposition Rhetoric Encouraging Political Violence | Mises Institute [LINK]

政府の不良債権救済措置は、一時的な資金を恒久的な資金に変える。債務不履行になるはずだった融資を買い取り、その消失を防ぐ。銀行が債務不履行のおそれのあるローンを抱えている場合、償却しなければならない。救済措置は、消滅する融資を恒久的な資金に変え、事実上、銀行にタダの資金を与える。
How Corporate Bailouts Inflate the Money Supply | Mises Institute [LINK]

現代の政府はすべて偽金作りだ。何の商品の裏付けもなくお金を刷っている。物をタダで手に入れているに等しい。こんなことができるかどうか、政府はあなたに尋ねただろうか? もちろん、そんなことはしない。窃盗だからだ。しかし政府はそれを金融政策と呼んでいる。現代の金融政策は偽金作りだ。
The commencement speech someone needs to give | Mises Institute [LINK]

2024-07-16

民主主義の茶番

米シークレットサービスの現長官はインタビューで、エージェントの雇用で「多様性」を大切にすると表明している。もし彼女がDEI (多様性、公平性、包括性)の目標を大切にした結果、「多様性」豊かな機関になったとしても、肝心の使命を果たせなかったとしたら、メディアはその事実を報じるだろうか?
Why We’ll Never Know What Really Happened in Butler, PA - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

現代最大の茶番は、民主主義や人権を声高に叫ぶ人々が、事あるごとに国際規範を侵害するのと同じ人々だということだ。今日の「民主主義」が主に軍産複合体の利益に仕えていることを考えれば、企業メディアでトランプ氏が米国存亡の危機と評されるのも当然だ。平和ほど米政府の関心の薄いものはない。
Trump, Orban, Putin: Why are all the ‘dictators’ hellbent on peace? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

コロンビア大学の幹部3人が、大学における反ユダヤ主義の「急増」という主張を嘲笑するコメントや私的なメールを書いたために解任された。ニューヨークの大手法律事務所は、反イスラエル・デモを行った法科大学院生を特定する目録を作り、卒業後に採用しないための「不採用」リストを作成している。
Supporting Israel Is Big Business in the United States - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

バイデン米政権が4月に発表した教育省の新ルールでは、性に基づく差別を禁じた条項を、「性的指向」と「性自認」に基づく差別を禁止すると解釈している。 新ルールは、生物学上の男性が女子スポーツでプレーすることを各州に強制する可能性がある。各州が発効するかどうかは論争の的になっている。
States Declare Independence from the Biden Administration’s ‘Sexual Orientation’ and ‘Gender Identity’ Regulations - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

イスラエル政府はこの9カ月、死者の責任をすべてハマスに押し付けようとしてきた。同政府がその間、ガザとその住民を壊滅させようとし、それが10月7日の攻撃への対応として正当化されると主張してきたのは偶然ではない。プロパガンダは軍事作戦の重要な一部だ。戦争において真実は最初の犠牲者である。
The Israel Government’s October 7 ‘Mass Hannibal’ - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

2024-07-15

不換紙幣が格差を生む

西洋を復活させるには、中央集権の国民国家を縮小し、家族、共同体、教会といった制限的で保護的な制度を、競合する多数の支配権と多層的な権威からなる自然秩序の一部として、本来の位置に戻す必要がある。
Reviving the West - LewRockwell [LINK]

ウクライナのゼレンスキー一味は、隣のロシアのプーチン一味をわざと挑発し続けてきた。その挑発を盛んに後押してきたのは、世界最大、遠く離れていながらプーチン一味を「敵」とみなす、米バイデン一味(欧州の手下、NATO一味が支援)だ。プーチン一味は、世界制覇の邪魔になる二つの石の一つなのだ。
The War in the Ukraine in Libertarian Perspective - LewRockwell [LINK]

自己所有という事実は、論証の人間行為学的な前提条件である。何かを証明したり反証したりしようとする者は、自己所有者でなければならない。 この事実に対してさらなる正当性を求めるのは、自己矛盾に満ちた不条理である。
The Economics and Ethics of Private Property | Mises Institute [LINK]

「インフレ」になるお金よりも、「安定」したお金のほうが望ましいのは明らかである。しかし、1単位あたりの購買力が増加するお金、つまり「デフレ」になるお金は、「安定」したマネーよりも望ましいに違いない。
How is Fiat Money Possible? or, The Devolution of Money and Credit | Mises Institute [LINK]

新たに紙幣が印刷されるたびに、社会の富は再分配される。貨幣印刷業者(中央銀行とその関係者)は自分たちを富ませ、社会の富に対する取り分を増やす。
Hoppe is the only hope - An interview with Hans-Hermann Hoppe - Mises Brasil [LINK]

2024-07-14

ニューディール政策は成功したか

秋の米大統領戦で返り咲きを狙うトランプ前大統領の1期目、その経済政策を「トランプ流ニューディール」と評する声が聞かれた。道路や橋、空港、トンネル、鉄道などのインフラ整備に意欲を示したし、メキシコ国境での壁建設も一種の巨大な公共工事といえる。1930年代米国を襲った大恐慌に対し、積極的な経済対策で立ち向かったフランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策を思わせる、というわけだ。

ビジネスマンなら知っておきたい 教養としての近代経済史 狂気と陰謀の世界大恐慌

しかし今でも広く信じられている、「ニューディールのおかげで米国は大恐慌を脱した」という説はそもそも正しいのだろうか。米経済は1940年代に入っても、ひどく低迷していた。これはルーズベルトが大統領に就任しニューディール政策を始めた1933年から10年近くが過ぎても、成功しなかったことを意味する。

当時の米経済の低迷を顕著に示すのは、失業率である。ニューディールを擁護する専門家は、1937~38年を除けば、失業率は毎年低下したと称賛する。

しかしその見方には無理がある。まず、失業率の水準が高すぎる。1933年から米国が第二次世界大戦に参戦する1941年まで9年間の平均は17.6%で、黄金の20年代と呼ばれた1923~29年の平均(3.3%)の5倍以上である。繁栄を取り戻したとはとてもいえない。

米国史上、大恐慌以前の不況はたいてい2年以内、最長でも5年以内に終わっている。開始以来10年近くたっても不況が終わらなかったとすれば、ニューディールは成功例というよりむしろ失敗例にふさわしい。

また、ニューディールが始まって以来、失業率が毎年下がったというだけでは、それがニューディールの成果によるものなのか、それとも市場経済の自律的回復によるものなのか、判断できない。ここで参考になるのは、第一次世界大戦(1914~1918年)終結直後の厳しい不況とそこからの立ち直りである。

自由放任主義のハーディング政権のもとで、失業率は1921年に11.7%まで上昇し、2年後の1923年にはわずか2.4%まで低下した。年平均4.5ポイント強の低下である。

ニューディールの成否は、過去との比較だけでなく、同時代の他国との比較でもわかる。

ニューディールのような介入政策が行われなかった隣国カナダでは、失業率は1930~33年に大きく上昇したものの、その後改善に向かっている。注目すべきは、米国でニューディールが始まって以来、米国よりむしろ改善の度合いが大きいことである。

ルーズベルト政権に先立つフーバー政権時代(1930〜33年)に米国の失業率はカナダを3.9ポイント上回るだけだったが、ニューディール時代(1934〜41年)にはその差が5.9ポイントに広がった。

欧州諸国の回復も米国より早かった。たとえば英国では1937年には失業率が10.3%まで低下した。同時期の米国より4ポイント低い。

失業率以外の指標を見ても、ニューディール政策の成果は芳しくない。一人あたり国民総生産(GNP)が大恐慌開始時の1929年の水準をかろうじて回復したのは、1940年のことである。本格的な成長は戦後まで訪れなかった。個人消費支出は1940年になっても719億ドルと、1929年の水準(789億ドル)を8%下回っていた。

ケインズ経済学の影響力が増した戦後の経済学会では、ニューディールは政府の介入政策の成功例として長らく称賛されてきた。しかし近年はその風潮にも変化がみられる。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の経済学者リー・オハニアンとハロルド・コールは2004年8月、権威ある学術誌ジャーナル・オブ・ポリティカル・エコノミーに「ニューディール政策と大恐慌の持続」と題する論文を掲載した。それによると、一人あたり実質国内総生産(GDP)は、大恐慌が頂点に達した1933年にはそれ以前の傾向から導いた理論値を39%下回ったが、1939年になっても27%下回っていた。同様に民間労働時間は1933年に理論値より27%少なかったが、1939年になっても21%少ないままだった。

オハニアンとコールは「ニューディール政策は経済を大恐慌から脱出させなかった」と結論づける。むしろ市場経済に介入したせいで米経済の回復は7年遅れてしまったとみる。

ニューディールが思ったほどの成果をあげていないことは、当時から当事者が誰よりも痛感していた。ルーズベルト政権が2期目の終わりに近づいた1939年5月、モーゲンソー財務長官はこう嘆いている。「我々はカネを使おうとしてきた。かつてない規模で使っているのに、効き目がない。〔略〕多数の失業者は当初と変わらない。おまけに、積み上がった膨大な債務。ただ座して時間を浪費するばかりで、くたびれ果ててうんざりだ。なぜだ。まったく光明が見えない」

不成功の教訓は重い。政府が経済をテコ入れしようとさまざまに介入すれば、かえって経済の活力を弱めてしまう。この事実を次の大統領には忘れないでもらいたい。

2024-07-13

選ばれる文化、消える文化

文化とは、単に「アイデンティティ」の目印として存在するのではない。人間生活の必要を満たし、目的を達成するために存在するのだ。他の文化に追い越されたとき、それらは消え去るか、あるいは(アラビア数字に取って代わられた)今日のローマ数字のように、わずかな珍品としてのみ生き残る。
TGIF: Culture without Romance | The Libertarian Institute [LINK]

市場の失敗を批判する人々の主張に反して、ほとんどの独占は国家主義的な法律によって起こる。もし自由市場で独占企業が生まれても、その価格政策に消費者が不満を感じれば、(低価格で勝負する)新興企業と競争しなければならないため、勝手に高い価格を設定することはできない。
The Myth of Market Failure | Mises Institute [LINK]

米欧の政府、NGO、左派は移民政策によって社会を傷つけようとしている。政府は傷を負った社会から利益を得る。社会は政府権力に対抗する力を失う。現在の移民危機は、国境を越えた「人的資本の無制限な移動」の結果ではなく、人為的に引き起こされた社会への攻撃である。
The Immigration Crisis: Crossing the Border to Insanity | Mises Institute [LINK]

2024-07-12

経済制裁は役立たず

イスラエル紙ハアレツによれば、イスラエル軍は昨年10月7日のハマスの攻撃時に、悪名高いハンニバル指令をたびたび発動したようだ。ハンニバル指令とは、イスラエル国防軍に対し、自国民が捕虜になるのを防ぐため、殺害するよう求めるものである。
Kyle Anzalone on Judge Nap: The Hannibal Directive | The Libertarian Institute [LINK]

政治権力は昔から、人々に国家は正しいと心から信じ込ませるため、知識人を頼りにしてきた。 知識人は自分たちの知的サービスに対する対価があまりに少ないことに不満を抱きがちだが、政府に認められ、出入りを許され、税金を与えられるのと引き換えに、国家の利益に奉仕するよう簡単に誘い込まれる。
If Joe Biden Isn't Running the Government, Who Is? | The Libertarian Institute [LINK]

経済制裁は実際の交戦の代わりにはならず、財産権の侵害であるうえ、制限対象品を中国に持ち込む闇市場産業を生み出している。制裁が機能したことがあっただろうか。長年制裁を受けているイラン、ベネズエラ、キューバ、北朝鮮の政権には何の変化もない。
Washington Takes Another 'L' in China Policy | The Libertarian Institute [LINK]

地方政府はひどいもので、容赦なくチェックしなければならないが、中央政府の脅威には及ばない。地方政府は、中央政府ほど傲慢ではないし、自分たちの無謬性と必要不可欠性を確信しているわけでもない。政府の通貨製造機として機能するのは(中央政府傘下の)中央銀行だけである。
War and Inflation | Mises Institute [LINK]

2024-07-07

ナチス経済は資本主義だったか?

第一次世界大戦に敗れたドイツでは、過大な賠償金支払いなどを求めるベルサイユ体制に対して国民が強い不満を抱き、新興政党であるナチス(国民社会主義ドイツ労働者党)や共産党が勢力を伸ばした。

ヒトラーの率いるナチスは、1923年のミュンヘン一揆に失敗した後、合法路線に転じ、ベルサイユ条約の破棄・大ドイツ国家の建設・反ユダヤ主義・不労所得の廃止などを唱え、大衆宣伝や突撃隊(SA)の行動力によって、既成政党に絶望した農民や中間層の支持を集めた。

ナチス 破壊の経済 上

1932年の総選挙で第一党に躍進したナチスは、1933年1月にヒトラー内閣を樹立した。

ナチスは国会議事堂放火事件を利用して共産党を弾圧したほか、3月には政府に立法権を与える全権委任法を成立させ、ナチス以外の政党や団体を解散させて、わずか半年で一党独裁体制を確立した。1934年にヒンデンブルク大統領が死去すると、ヒトラーは首相と大統領を兼ねて総統となった。

ナチスの独裁体制と思想をナチズムといい、イタリアで起こったファシズムの一種とみられている。ファシズムは自由主義・共産主義に反対し、独裁的な指導者や暴力による政治の謳歌などを特徴とする。

このナチズムについて、しばしばある誤解が見受けられる。共産主義に反対したことから、経済体制としては資本主義に分類されるという見方がそれだ。

しかし、資本主義が政府の介入を排した自由な市場経済に基づく体制だとすると、ナチズムがそれに当てはまるとは考えにくい。実態を見ていこう。

1933年2月20日、25人ほどの実業家の一団が、秘密会議のために当時の帝国議会議長ヘルマン・ゲーリング邸に召集された。招かれた中にはドイツ産業界のリーダーたちがいた。やがてヒトラー首相が現れ、演説を始めた。「左翼との闘争の次の局面は3月5日の選挙後に始まる。ナチスが国会で33議会追加できれば、反共産党法案を合憲手段で可決できる」という内容だった。これに対しドイツ実業界の大半は、喜んで十分な準備資金を用意した。

英歴史学者アダム・トゥーズ氏は、この秘密会合とその結果について「ドイツ実業界がヒトラーの独裁体制樹立をどれほど積極的に支援したかを示す最も悪名高い例だ」と述べる。それだけでなく「実際あらゆる状況で、抵抗が予想されそうな局面においてさえ、政権の政治的代表者たちはドイツ実業界に積極的協力者を見出した。専制計画、再軍備、そして多くの新たな規制機関でさえ、すべてドイツ産業界が好意で提供した経営専門知識による支援を受けていた」と指摘する。

ナチスの支配するドイツでは、企業が政府の介入に抵抗するどころか、進んで協力し、ほとんど一体化していた。このような体制を自由な資本主義とは呼びにくい。

ナチス経済の実情をさらに詳しく見ていこう。

巨大化学企業IGファルベン社はドイツのみならず、世界最大の民間企業の一つだった。 もともと他国間貿易を重視し、ドイツ産業界の自由主義派に属していた。それがある事業をきっかけに、ナチス政権と親密な関係を結ぶ。

1926年、同社はドイツ中部のロイナ工場で、石炭をガソリンに変える錬金術じみた製法、人造石油の設備建設に世界で初めて着手した。この計画は、いつの日か石油は枯渇するという見通しが動機になっていた。

ところがその見通しは見事に裏目に出る。石油不足の予測が探査ブームを巻き起こし、1920年代末にはベネズエラ、米カリフォルニア、オクラホマ、テキサス各州での開発により、世界の原油市場は供給過剰になった。追い打ちをかけるように、1930年10月、ブラック・ジャイアントの異名をとる東テキサス油田が発見された。数カ月のうちに世界の原油価格は暴落し、IGファルベン社による人造石油への投資は経済的根拠を失った。事業に未練のある同社は、自給自足経済を目指すナチスに接近する。

その年末には航空省と陸軍両方の後押しで、財務省がいわゆるガソリン契約の条項を固めた。国が資本投資の最低5%の収益をIGに保障する代わりに、IGは人造石油の設備を年間生産量35万トンにまで拡大する責務を負った。たとえ市場価格が安価な輸入品によって下がっても、国が補助金でIGの収益を保障した。その一方で、5%を超える収益はすべて国に納めた。第二次世界大戦終結後に開かれたニュルンベルク国際軍事裁判で、IGファルベン社とナチス政権との親密な関係はドイツ産業界のナチスとの「野合の象徴」とされた。

1934年秋から1935年春にかけて、政府によって業界組織の新たな枠組みが強制された。各産業部門で多数存在した自主的な業界団体がまとめられ、国家集団(商業、銀行、保険など)、経済集団(工業、製鉄、機械など)、専門集団の各階層組織に組み入れられた。当初、経済集団の主な役割は国家経済省と個々の企業との連絡係だったが、1936年以降、加入企業の経営内部にまで立ち入る権限を与えられた(トゥーズ『ナチス 破壊の経済』)。まさに官民一体の体制といえよう。

これに先立つ1933年2月、ナチス政府は政令で、私有財産を保障するワイマール憲法153条を無効とした。これにより、資本主義の基礎である私有財産制度が根底から揺らぐことになった。

私有財産の権利があれば、事業主は自分の製品・サービスを自由に売れるはずだ。しかしナチス政権の下でそれはできなかった。販売店が価格を上げるには、価格委員会の特別な許可を得なければならない。値上げの要請は、まずグループのリーダーの認証を受けなければならない。値上げの必要性の詳細な説明と、生産コストや流通コストなどの関連データも添えなければならなかった。

またナチスの官僚たちは、財界や金融界の有力者たちに、危険で採算が合わないと思われる事業を強要できた。

エコノミストのギュンター・ライマンは当時の経済界のムードを描写し、「ファシズムのもとでの資本家は、単に法律を守る市民であるだけでなく、国家の代表者に従順でなければならないのだ。彼は、権利を主張してはならないし、私有財産権がまだ神聖であるかのように振る舞ってはならない。私有財産をまだ持っていることを総統に感謝しなければならない」と書いている。

またライマンによると、あるドイツの事業家は米国の知人に宛てた手紙で、「公式には我々はまだ独立したビジネスマンであるという事実にもかかわらず、ロシア(ソ連)の制度との違いは、あなたが考えているよりもずっと小さいのです」と述べた(『吸血鬼経済』)。

経済学者ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスは「社会主義実現には、二つの類型がある」と指摘する。第一はロシア型で、工場・商店・農場といった生産手段は形式上、国有化され、公務員によって経営される政府の部局である。第二はドイツ型で、生産手段の私有を名目上、保持しているものの、企業経営者は政府の命令に無条件で服従しなければならない。ミーゼスは「これは資本主義の名目で偽装した社会主義である」と強調する(『ヒューマン・アクション』)。

ナチス経済の実態に照らせば、ミーゼスが言うようにそれは資本主義ではなく、「偽装した社会主義」と呼ぶのがふさわしいだろう。このナチスドイツの経済体制は、同時代の日本の政策構想にも大きな影響を及ぼしていく。