2021-04-22

マネーの起源④お金の価値は税金のおかげ?


お金は市場の交換から生まれたのではなく、国家が生んだというMMTの貨幣理論は、社会主義のお金の仕組みには当てはまる。しかし、世界の主流である市場経済のお金の仕組みを説明することはできない。

MMT論者は、お金は国家が定めるから通用するという貨幣国制説をアレンジし、お金が価値を持つのは、納税手段として需要があるからだと主張する。中野剛志氏の言葉によれば、「人々がお札という単なる紙切れに通貨としての価値を見出すのは、その紙切れで税金が払えるから」だという。

私たちがお金という便利なものを使えるのは、政府が税金をかけてくれるからというわけだ。もしそれが本当なら、毎朝、国税庁の方角に向かって感謝の祈りくらい捧げなければならないだろう。

けれども、考えるとおかしい。もしMMT論者が正しければ、税金の軽い国ほどお金の需要は減り、その価値は下がる。つまりインフレになるはずだ。中野氏自身、もし無税国家にしたら、お金は価値を失い、ハイパーインフレになると話す。

だが歴史上、事実上の無税国家や税金のきわめて軽い国は存在したが、いずれもハイパーインフレにはなっていない。それどころか大いに繁栄している。8〜13世紀のイスラム黄金時代、17世紀のオランダ黄金時代、ビクトリア朝時代の英国、19世紀後半「金ぴか時代」の米国などだ。

お金の価値を税金に求めるMMT理論の矛盾は、これだけではない。(この項つづく)

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