2021-09-10

ビスマルクの反自由主義

Wilson's War: How Woodrow Wilson's Great Blunder Led to Hitler, Lenin, Stalin, and World War I I (English Edition)

ドイツ帝国の首相ビスマルクは他の誰よりも、世界を自由放任、自由貿易、平和の原則から遠ざけ始めるうえで大きな役割を果たした。彼は保守派とされるが、社会主義が政府の力を強化し、実在・仮想の敵を破るために役立つと考えた。彼が加速した潮流は世界大戦の勃発を招く。(歴史家、ジム・パウエル)

独歴史家トライチケは政府支配下のベルリン大学の教授で、強い政府の使命は領土の拡大だと宣言。プロイセンの領土獲得に向け運動した。1884年、ビスマルクは海外への帝国拡大に乗り出し、南西アフリカを保護国とする。イタリア、ベルギーその他諸国が領土の奪い合いに参加した。(同)

帝国主義の支持者が引用した保護主義の経済学者フリードリヒ・リストはこう述べた。「企業はドイツの港町で設立し、外国の土地を買い、ドイツの植民地にしなければならない」「植民地は最善の手段だ。製造業にとっても、輸出・輸入の貿易にとっても、立派な海軍にとっても」(同)

社会主義者は帝国主義を資本主義のせいにする。だが征服者たちが世界を略奪してきたのは、市場経済の誕生より何百年も前からだ。ノルウェー、スウェーデン、デンマークが高い生活水準を記録したとき、帝国ではなかった。ドイツが資本を輸出したのは海外に帝国を獲得した後だ。(同)

経済的にいえば、植民地の多くは敗者だった。貿易が少なく、防衛とインフラ建設のコストが高かったからだ。帝国主義が競争で求めたのは権力と威信であり、富ではなかった。英国、フランス、ドイツ各帝国の野望は中東、アフリカ、アジアでぶつかり、ロシアは日本とぶつかった。(同)

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