2021-08-27

相互扶助の社会福祉

From Mutual Aid to the Welfare State: Fraternal Societies and Social Services, 1890-1967 (English Edition)

19世紀後半から20世紀前半にかけて、数百万人の米国人が友愛組合(共済組合)から社会福祉給付を受け取っていた。友愛組合の特徴は、支部の自治制度、民主的な内部統治、儀式、会員とその家族への相互扶助の備えである。(歴史学者、デビッド・ベイト)

19世紀後半、米国には主に三種類の友愛組織があった。秘密結社、疾病葬儀給付組合、生命保険組合だ。秘密結社は儀式を重視し、画一的な支払方式を避けた。他の二組織は手厚い健康・生命保険を売りに広く加入者を募った。どの組織も相互扶助と互恵主義を強調した。(同)

1920年の米国では労働階級の多くを含め、成人男性の三人に一人が友愛組合に加入していた。組合の支部は黒人や東・南欧からの移民の間で圧倒的な存在感を示した。当時、友愛組合を中心とする民族系福祉団体は、官民のいかなる組織よりも大きな助けとなった。(同)

19世紀後半から20世紀前半の米国で政府や慈善団体から施される援助は、少額でしかも大きな恥辱の種だった。政府・民間の慈善が上下関係を伴うのに対し、共済組合の援助は相互関係の倫理原則に基づく。助ける人と助けられる人は近所に住み、明日は立場が逆転するかもしれない。(同)

戦前の米国で友愛組合が政府や慈善団体に頼らず成し遂げた相互扶助の成果は政治家、公共政策の専門家、社会改革家、慈善家には理解できない。友愛組合は貧しい人々の間に巨大な社会・相互扶助のネットワーク構築に成功した。今の孤立した都市生活にはないものだ。(同)

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