2021-06-16

安全保障という嘘


自衛隊基地や原子力発電所の周辺、国境離島などの土地の利用を規制する法(土地規制法)が16日未明の参院本会議で、自民、公明、日本維新の会、国民民主各党の賛成多数で可決し、成立した。

この法律はもともと、防衛施設の周辺の土地が中国などの外国人や外国法人に買い占められており、安全保障に脅威だという理由から発案された。だがすでに各種報道で指摘されるとおり、そのような事実は存在しない。

政府が外国資本による土地買収の具体例として挙げたのは、航空自衛隊千歳基地(北海道千歳市)と海上自衛隊対馬防備隊(長崎県対馬市)周辺の土地だ。

国会審議で、小此木八郎領土問題担当相はこの二地域の買収事案に触れ、「全国の地方公共団体から、安全保障の観点から土地の管理を求める意見書も提出されている」と説明。「地域住民の不安」が広がっていると強調した。

ところが実際は、自治体からの意見書はわずか16件で、千歳、対馬の両市からは出されていなかった。意見書の内容も、リゾート地への外国資本進出などが多かった。これではそもそも、立法事実(法律制定の前提となる事実)が存在しない。

それにもかかわらず、この法律によって政府は、自らが「重要」とする施設周辺の土地所有者や市民を監視できる。重要施設の具体的内容は政令で定めるため、国会の承認が必要ない。

政府が軍事的脅威を煽り、安全保障の名の下に国民の権利を奪っていく。これは新型コロナの恐怖を煽り、社会福祉の名の下に国民の自由を奪っていくのと同じやり口だ。本質は暴力団と変わらない政府が、本気で国民の生命や財産を守るという幻想を信じている人は、政府の嘘を見抜くことができない。

今回の法律を支持する評論家の有本香は、中国系資本が北海道旭川市にあるスキー場周辺の数十ヘクタールの土地を買い占めており、商業開発に見えるが、実際は有事の際、近くにある陸上自衛隊の電波塔を攻撃するためだと主張する

遠くからでも可能な電波塔攻撃のために、近くにわざわざ広大な土地を買い、商業開発のふりまでするとは、なんとも非効率な作戦だ。実際はただのリゾート開発だと思うけれども、かりに有本の主張が事実だとすれば、中国軍はどうしようもなく愚かであり、全然脅威ではない。

国防の最善の手段は、経済関係の強化だ。もし中国から日本を守りたいのなら、土地をどんどん買わせればいい。せっかく買った土地やそこに建てた商業施設を自分から戦争でダメにする者はいない。

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2 件のコメント:

  1. 日本は平和で豊かで格差も無いからこそ、完全に自由な社会を生きているようで、
    所詮檻の中の自由だということに高学歴の人間でさえ気付いていなかったりします。
    「井の中の蛙大海を知らず」とは言いますが日本は大海だからこそ
    柵の存在に非常に気付きにくいと言えますね。
    「大海の中の蛙宇宙を知らず」とでも言うべきでしょうか。
    国家はますます個人の自由を制限し柵がみえた時にはもはや後の祭りという訳ですね。
    私もグローバル資本主義は悪者と思い込んで(込まされて)いましたが、このサイトと
    出会い、ハイエク、フリードマン等の思想に触れることですっかり呪縛から解放されました。ですので、このサイトに非常に感謝しております、またできるだけ多くの人に見てもらいたいと思っております。

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    1. ありがとうございます。これからも微力を尽くしていきます。

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