2023-12-23

米国防長官、非介入主義者を非難

元米下院議員、ロン・ポール
(2023年12月5日)

オースティン米国防長官は週末、米国民に向けて、米国の外交政策の何が本当に間違っているのかを説明した。その結論を意外に思う人もいるかもしれない。
世界における米国の地位が損なわれているのは、9・11テロとは無関係のアフガニスタン政府と20年間も戦ったからではない。イラクの大量破壊兵器に関するネオコン(新保守主義者)の嘘が、またしても失敗した「民主化」作戦で数え切れないほどの民間人の死を招いたからでもない。過去約2年間、米政府がウクライナを通じてロシアとの代理戦争を戦うために、米国民から1500億ドル以上を巻き上げてきたからでもない。

軍産複合体や、議会、シンクタンク、メディアを通じて広がる、その巨大なロビー活動の力のせいでもない。

オースティン長官は、カリフォルニア州シミバレーで開催されたレーガン国防フォーラムで、米国の世界軍事帝国に対する真の危機をついに説明した。

それは私たちである。

オースティン長官によれば、世界を不安定にしているのは「米国の責任からの後退」を主張する非介入主義者たちであり、ネオコンによる終わりのない戦争ではないという。

オースティン長官は、米国は世界の警察官という軍事覇権の役割を果たし続けなければならないと述べた。なぜなら「暴君やテロリストが、大規模な侵略や大量殺戮から逃れられると信じれば、世界はより危険になるだけだからだ」。

理性と論理に照らしたらどうだろう。オースティン氏と介入主義エリートたちは、30年にわたる外交政策の失敗を事実検証し、「非介入主義者が主導権を握っていたら、もっとひどいことになっていただろう」と結論づけた。

これがネオコンの最大の問題点の一つである。彼らは自らを省みることができない。米政府が彼らの助言に従って別の大惨事を引き起こすたびに、いつも誰かのせいにする。今回の場合、オースティン氏が語っているように、米国の外交政策の失敗の責任は、「やるな」と言った人々にある。

シリアの世俗指導者アサド大統領を打倒するために〔国際テロ組織〕アルカイダを支援するというオバマ大統領(当時)の決断を、「やるな」と言った人々が担当していたらどうなっていただろうか。ネオコンがリビアを破壊するために「人権」を口実にでっち上げたとき、「やるな」と言った人々が責任者だったらどうだろう。オバマ氏のネオコンが、ウクライナの民主的に選ばれた政府を転覆させるのはすばらしいアイデアだと考えたとき、「やるな」と言った人々が責任者だったらどうだろう。

もし米政府が関与しなければ、暴君やテロリストが権力を得ていただろうか。いや、米政府がこれらの危機に介入したからこそ、暴君やテロリストが優勢になったのだ。

オースティン長官がさらに説明したように、米国の問題の一部は民主主義そのものにある。「我々の競争相手は絶え間ない決議の下で活動する必要はない」と同長官は訴えた。国民がその代表者を通じて戦争支出を管理することは、同長官にとって何という重荷であることか。

議会では、保守派の間で「米国第一」の外交政策が台頭しており、オースティン長官とその一派を激怒させている。同長官は、ウクライナとイスラエルでの戦争にさらに数十億ドルを今すぐ使いたいと考えている!

経済問題はどうか。それも私たちの責任だ。「跳ね橋を引き上げようとする〔軍事支出を止めようとする〕」人々は、数十年の繁栄をもたらした安全保障を台無しにする、とオースティン長官は言う。繁栄? 彼は国の借金を見たことがあるのか? インフレは? ドルの破壊は?

ここには明るい兆しもある。オースティン長官とネオコンが私たち非介入主義者を攻撃するということは、私たちが地歩を固めつつあるということだ。彼らは私たちを気にかけている。これは、私たちが本当に声を上げるチャンスなのだ!

Lloyd Austin: Non-Interventionists Are the Real Enemy - Antiwar.com [LINK]

【訳者コメント】他国の紛争に手出しをしない不介入主義は、リバタリアンの外交政策の基本だ。それに対し、米国の外交政策を牛耳るネオコンは、世界のあちこちで軍事介入を繰り返し、それが原因で自国の安全保障が揺らいでいる。あげくの果てに、介入を批判してきた不介入主義者のせいにするとは、リバタリアンのロン・ポール氏でなくても、あまりの厚顔無恥にあきれるばかりだ。日本はいつまで米国に追随し続けるのだろうか。

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