2023-06-21

平和の大統領を!

元米下院議員、ロン・ポール
(2023年6月19日)

1962年のキューバ危機以来、いつになく核戦争に近づいているというのが大方の意見だ。キューバのソ連ミサイルが米ソの核戦争を引き起こしそうになった、あの運命の日よりも、今のほうが近いと主張する人さえいるだろう。
当時言われたのは、共産主義と生死をかけた戦いのさなかにあり、一歩たりとも領土を譲ることはできない。さもなければドミノ倒しで「赤〔共産主義〕」に支配されることになるということだった。

キューバをめぐる米ソ対立の最中に徴兵された私にとって、その危機は非常に現実味のあるもので、人類絶滅の危機に瀕していると誰もが感じていた。

幸い、当時のホワイトハウスには、核の瀬戸際外交の危うさを理解している大統領がいた。ケネディ大統領は、ピッグス湾事件という愚かなキューバ侵攻を中止したことを決して許さないタカ派に囲まれながらも、電話を取ってソ連のニキータ・フルシチョフ〔最高指導者〕と話し合い、その結果世界を救うことができた。

ケネディ大統領はソ連がキューバからミサイルを撤去する代わりに、トルコから米国のミサイルを撤去することに同意したと、今では歴史家が教えてくれている。外交が適切に機能することを示す典型的なケースである。

しかし現在のホワイトハウスには、ケネディ大統領のような人物がいないことは明らかである。ロシアと対立する正当な理由として、ソビエト帝国や共産主義イデオロギーに直面することはもはやないが、バイデン政権は依然として米国を核紛争に引きずり込もうとしている。なぜ、私たちを危険にさらすのだろうか。それは冷戦時代に否定された「ドミノ理論」である。もし私たちがロシアと「最後のウクライナ人」まで戦わなければ、プーチン〔ロシア大統領〕がすぐにドイツを行進することになるという。

これはバイデン氏がロシアの報復を恐れ、ウクライナには軍服と医療品しか送らないと約束したことから始まった。そこから対戦車ミサイル、多連装ロケットランチャー、パトリオットミサイル、ブラッドレー戦闘車、数百万発の弾薬に至った。バイデン政権は先週、ウクライナに劣化ウラン弾を送ることを発表したが、これは今後何千年も地球を毒するものだ。長距離地対地ミサイル「ATACMS」が近々納入されるとの噂があり、これによりロシアの奥深くまで攻撃することができる。

どうやら、F16戦闘機も届くようだ。

米国のエスカレーション(紛争激化)の根拠として言われているのは、北大西洋条約機構(NATO)がウクライナの戦争機構を直接支援したことに対してロシアがNATOに直接報復しなかったので、ロシアは決して報復しないに違いないというものだ。

それは本当に賢明な賭けなのだろうか。米国製のF16戦闘機がNATOの基地から飛び立ち、NATOの操縦士がウクライナのロシア人、あるいはロシアそのものを攻撃することがロシアに対する宣戦布告であることは、多くの人にとって明らかだ。

それは第三次世界大戦を意味する。冷戦の間、私たちが何とか避けてきたことだ。

議会は沈黙し、あるいは従順で、米国の戦略的目標がはっきりしないまま、私たちは災厄に向かって突き進んでいる。バイデン氏は、あるいは実際に事を運んでいるのが誰であれ、まっすぐに前進している。

米大統領選挙に突入した今、ひとつだけ明らかなことがある。キューバ危機の際のケネディと同じことをしてくれる、平和の大統領が必要なのである。手遅れにならないことを祈るばかりだ。

The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : We Need a Peace President [LINK]

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