2023-06-07

ザポロジエ原発に給水のダム爆破

ウクライナとロシア、互いを非難

アンチウォー・ドット・コム
(2023年6月6日)

ウクライナ南部ドニエプル川沿いにあるノバ・カホフカ・ダムが6日、破壊された。ウクライナとロシアは攻撃について互いを非難しているが、ロシアはダムの破壊によってより多くの影響を被ることになる。
ダムは1950年代にソ連によって建設され、1年以上にわたってウクライナ戦争の最前線に置かれてきた。高さは100フィート近く、幅は1万フィート以上ある。水力発電所として建設され、2000平方キロメートルを超えるカホフカ貯水池を作り出した。欧州最大の原子力発電所であるザポロジエ原発(ZNPP)とクリミア半島は、この貯水池から給水されている。

6日朝、爆発がダムを切り裂き、下流で洪水が始まったと伝えられている。攻撃が意図的なものであったかどうかは不明。英BBCは、ダムは先週中に破損していたと指摘した。

ダム破壊の最も直接の影響は周辺地域の洪水で、少なくとも1万6000人が避難すると予想されている。ウクライナ政府関係者によると、すでに8つの町が一部または完全に浸水しているという。ロシアが支配する地域では、洪水はさらにひどくなると予想されている。

また、この地域では、洪水による環境破壊や、水力発電所で使用されている多量の工業用潤滑剤も問題になりそうだ。

もう一つの懸念は、ロシア軍が支配しているザポロジエ原発だ。カホフカ貯水池は、この巨大な発電所に冷却水を供給していた。国連の核監視団体である国際原子力機関(IAEA)は「状況を注意深く監視している」が、「直ちに核安全上のリスクはない」と述べている。

うウクライナは直ちにロシアを非難し「テロ攻撃と戦争犯罪」と呼んだ。ウクライナ国防省は、ロシアがこの地域の戦術的防衛としてダムを破壊したことを示唆した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナ人によるダムの破壊の実行は不可能だと主張した。「ロシアは1年以上にわたってダムとカホフカ水力発電所全体を支配してきた。外部から砲撃でどうにかして爆破することは物理的に不可能だ」とし、「ロシア占領軍が機雷を仕掛け、爆破したのだ」と述べた。

しかしウクライナのアンドリー・コバルチュク少将が昨年、米紙ワシントン・ポストに語ったところによれば、昨年のウクライナの反攻の際、ダムへの攻撃を検討したという。ポスト紙によれば、「コバルチュク氏は川を氾濫させようと考えた。ウクライナ側はノバ・カホフカ・ダムの金属製の水門の1つにHIMARS(高機動ロケット砲システム)で試験攻撃を行い、3つの穴を開け、ドニエプル川の水を十分に上げてロシアの横断を妨げつつ、近くの村を水浸しにしないかどうかを確認したという。試験は成功したとコバルチュク氏は語った」

ロシアのペスコフ大統領報道官は、ダム破壊の背後にはウクライナ勢力がいると述べた。「〔プーチン〕大統領は、国防省や他の機関を通じて、カホフカ水力発電所の周辺で起きていることについて報告を受けている。現時点ですでに、ウクライナ側による意図的な妨害行為だと明確に言うことができる」と述べた。

ダムへの攻撃は、ウクライナにおけるロシアの関心の核心に影響を与えることになる。カホフカ貯水池は、全長250マイルの北クリミア運河を通じ、ロシアが2014年に併合したクリミア半島に水を供給している。ウクライナ侵攻前、ロシアはウクライナに対し、クリミアに水を供給する灌漑システムを開放したままにするよう定期的に要求を出していた。

ペスコフ報道官は、ウクライナの攻撃の動機の一部はクリミアから水を奪うことだと述べた。「貯水池の水位が下がっているため、(北クリミア)運河への水の供給が激減している」とし、「この妨害行為は明らかに、2日前に大規模な攻撃作戦を開始したウクライナ軍が、その目的を達成できないことにも起因している。彼らの作戦は停滞している」と付け加えた。

Critical Dam in Southern Ukraine that Provides Water to Crimea Destroyed - News From Antiwar.com [LINK]

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