2023-05-12

米の干渉、ウクライナ戦争招く

ジャーナリスト、スコット・ホートン
(2023年5月9日)

米国はロシア・ウクライナ戦争への関与をやめ、停戦を呼びかけ、ただちに交渉を始めるべきである。

ロシアのプーチン大統領がソビエト連邦やロシア帝国の復活を望んでいるとされることについて、戦争党(米民主・共和両党の好戦派)がどのような主張をしようとも、この戦争は米国、そして(驚くなかれ)とくにネオコン(新保守主義者)によって引き起こされたというのが事実である。
ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ両米大統領は、ウクライナの人々が間違った人物(親露派)に投票し続けたため、2004年のオレンジ革命、2014年のマイダン革命と、人工芝を施したような偽りの「革命」で、10年間に2度もウクライナ政府を転覆させた。

ブッシュ大統領は2008年のブカレストで、どちらもロシアと国境を接するウクライナ、旧ソ連のグルジア(ジョージア)を北大西洋条約機構(NATO)に加えるという米国の決意を表明した。ちょうどバルト3国(ラトビア、リトアニア、エストニア)の加盟を監督したようにである。その数カ月後、グルジアで戦争が起こった。米国の据えた政権が、ソ連崩壊時に失った2つの州を奪還しようとしたのである。

ブッシュ大統領はまた、ルーマニアとポーランドに対弾道ミサイルシステムを設置し始めたが、これは水爆を搭載できるトマホーク巡航ミサイルも装備できる発射機「MK41」から発射されるため、少なくともロナルド・レーガン大統領による1987年の偉大な中距離核戦力(INF)廃棄条約の精神には反していた。同条約は2019年、ドナルド・トランプ大統領が破棄した。

オバマ政権(政治評論家ロバート・ケーガン氏の妻でチェイニー元副大統領の元顧問ビクトリア・ヌーランド氏が率いる)は、2014年にウクライナの選挙で選ばれた政権の転覆を支援し、ネオナチや極右団体がその転覆に密接に関与していた。新政権はまもなく、クリミア半島のセバストポリにある唯一の不凍港からロシア人を追い出すと脅した。その結果、ウクライナはクリミア半島全体を失い、最東部のドンバス地方で戦争が勃発する。同地方では多数派のロシア系民族が追放されたばかりの(ヤヌコビッチ)大統領を支持していた。

フランスとドイツが2014、2015年にウクライナとロシアの間でミンスク和平協定を結ばせた後、オバマ、トランプ両大統領はウクライナに数億ドル相当の武器を売り、和平協定に違反し続ける誘因を与えた。

東部でのいわゆる「低レベル」の代理戦争を8年間続けた後、プーチン露大統領はミンスク協定の完全実施と、ウクライナをNATOに統合させず、ミサイルを配備しないよう約束する米国との新条約を要求した。

バイデン米政権は誠実に交渉する代わりに、1980年代のアフガニスタンにおけるムジャヒディン(聖戦士)に対する米国の支援を再現することを楽しみにしていると言った。ロシアを泥沼に引き込み、破産させるつもりだったのだ。ちょうどソ連がベトナムで米国をそうさせ、米政府が中東で過去20年間、ウサマ・ビンラディンの(国際テロ組織)アルカイダを助け、米国自身をそうしたように。

米国は、ウクライナ軍が崩壊し、今ごろは反乱軍を支援しているだろうと考えていた。ところが、かろうじてではあるがウクライナ軍はまだ持ちこたえている。だからサウスカロライナ州のグラム上院議員が言うように「最後の一人まで」戦うために、オースティン国防長官の言葉を借りれば「ロシアの弱体化」のために、ウクライナを利用するという方針は、予想以上にうまくいき、続いている。

しかしベトナムもアフガンも、モスクワからわずか300マイルのロシア国境にあるわけではなかった。米国の安全保障部隊は、このインチキな地政学的ゲームのために、故意に核戦争のリスクを高めている。結局のところ、それは米国民に対する反逆であり、敵は両陣営の水爆である。

もしロシアがカナダの政府を2度にわたって転覆させ、その際に暴力的なネオナチを使い、アラスカの海軍基地から米国を追い出すと脅し、それを拒否したバンクーバーの人々に宣戦布告し、武器と訓練兵を投入して最初の1年で1万人以上を殺害したとしたら、どうなるだろう。

そもそもそのような問い自体が馬鹿げている。なぜなら、米国はすぐさまカナダに侵攻し、親ロシア派の新政権を潰し、念のためモスクワを核攻撃するとわかっているからだ。

中国がメキシコで同じようなことをやって、その結果どうなるかを想像してみるといい。

米国は世界帝国を放棄し、ウクライナでの代理戦争から撤退し、ロシアとの新たな冷戦をただちに終わらせるべきである。

Scott Horton: U.S. meddling contributed to the Russia-Ukraine war, it’s time we stop meddling around the world – Orange County Register [LINK]

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