2022-11-08

マスク氏対国家主義者

元ニューヨーク大学教授、マイケル・レクテンワルド
(2022年10月31日)

イーロン・マスク氏がツイッターを買収し、ただちに上層部を解雇した事実が示すのは、「社会正義に目覚めた」ハイテク大手カルテルが弱体化する可能性だ。このカルテルは情報を管理し、コンテンツを検閲し、ユーザーを非難・追放し、左翼全体国家主義者のプロパガンダ機関として機能している。左翼国家主義への協力と推進を考えると、ツイッター、フェイスブック、グーグルなどが、私が「統治性」と呼ぶ国家機関として機能してきたことは十二分に明らかである。マスク氏の買収は、「目覚めた」カルテルだけでなく、カルテルが熱心に仕えるグローバリスト国家主義者らにも打撃を与える可能性があることを意味する。

マスク氏のツイッター社での作戦が、「目覚めた」カルテルにとって重要なテストケースになると論じてきた。「世界一の富豪」を国家の代理人に対抗させるものだからだ。マスク氏の買収は、このカルテルとその支持する国家主義者が、マスク氏が自身の財産を使った行動を統制することによって、財産権をどれだけ侵害することができるかを実証することになるだろう。

すでに欧州連合(EU)は、ツイッターのコンテンツを管理するようマスク氏を脅している。マスク氏が「鳥(ツイッター)は解放された」とツイートした後、EUの産業責任者ティエリー・ブルトン氏は「欧州では、鳥はわれわれEUのルールに従い飛ぶだろう」とツイートした。ブルトン氏は、欧州全域で「違法・有害コンテンツ」の禁止を目指すEUの「デジタルサービス法」に間接的に言及したのである。

しかしデジタルサービス法は、ソーシャルメディアや検索エンジンによるコンテンツ管理を共通化し、米国では(まだ)法的に認められていない「偽情報」や「ヘイトスピーチ」に対するEUの厳格で反言論の法律が適用される恐れがある。EU圏のユーザーに対してはEUで施行されたコンテンツ規制の遵守を強いられることになるため、ツイッター社がEU発の投稿とそれ以外からの投稿を区別できるアルゴリズムを構築しない限り、デジタルサービス法の規則をすべてのコンテンツに単純適用するおそれがある。

マスク氏がツイッター買収に動いた直後、米国やEUを含む数十の国や国際統治機関が、「偽情報や誤報に対する耐性を強化し、民主的プロセスへの参加を増やす」ことなどを目的とした「インターネットの未来に関する宣言」の批准を発表した。マスク氏がツイッター買収を発表した二日後、バイデン政権は「偽情報統制委員会」の設立を発表したが、その後、少なくとも現時点では廃止された。

「目覚めた」カルテルとその支持する左翼全体主義的国家主義が、主要ソーシャルメディアの所有権に対するマスク氏の侵攻をただ黙って受け入れるとは思えない。この戦いは、「権力者一派」にとって情報統制がいかに重要であるかを示すことになるだろう。

マスク氏は決して自由市場リバタリアン(自由主義者)の模範ではないが、ツイッターの買収と再編は、目覚めたカルテルとそのが支持する国家に対する自由の闘いにおいて、重要な出来事であることに変わりはない。ツイッターで起こることは、マスク氏の誠意と決意を試すだけでなく、国家の命令と物語を強制する「目覚めた」カルテル体制の力をも試すことになるだろう。

私は最近、ツイッターによる反体制的意見の排斥の犠牲者となった。トランスジェンダー運動は新マルサス主義による人口減少政策の一環である(同時に家族を解体する手段でもある)と主張したために、追放されたのだと思う。マスク氏が指揮を執る今、アカウント回復(と認証)を願っている。しかし、期待はしていない。

(次を全訳)
Changing of the Guard: Can Musk Deliver on His Promises for Free Speech and Information? | Mises Wire [LINK]

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