2022-05-30

政府支出が真の税金

エコノミスト、フランク・ショスタック
(2022年5月26日)

財政赤字を目標として強調する政策は、赤字を増やすにせよ、完全になくすにせよ、間違っている。経済にとって重要なのは、財政赤字の大きさではなく、政府の支出(政府が自らの活動のために流用する資源)の大きさなのである。

政府は富を生み出さない。むしろ政府が支出すればするほど、富を生み出す者から多くの資源を奪わなければならない。これは逆に、富を生み出す営みを損なう。つまり課税の実質的な大きさを示すのは政府の支出額である。

例えば、政府が3兆ドルの支出を計画し、2兆ドルの税金でその支出をまかなうとすると、1兆ドルの不足、つまり赤字ということになる。政府は不足を補うために、借り入れ、紙幣の印刷、増税など富の創造者から資源を得る他の様々な手段を用いる。

重要なのは、政府の支出が3兆ドルあることであって、赤字が1兆ドルあることではない。例えば、政府が3兆ドルへの増税を行い、その結果財政が均衡しても、富の創造者から3兆ドルの資源を得ていることに変わりがあるだろうか。

政府支出が増えると、富を創造する活動から富を創造しない活動へと、富の移転が増え、経済を貧しくする。したがって総需要を高めようとして政府支出を増やせば、富を創造する営みと経済全体の両方に悪い影響を及ぼす。

税金によって、生産者は不要な政府事業と引き換えに、富の提供を強要される。それは明らかに生産者の幸福を損なう。政府の事業が増えれば増えるほど、富の生産者からより多くの富が奪われる。したがって、民間部門から取り上げられる富の規模は、政府の活動の大きさによって決まるといえる。

政府は富の消費者であって生産者ではないため、富を蓄えることに貢献できない。もし政府の活動が富を生み出せるなら、自己資金でまかなえるはずで、他の富の創造者から支援を必要としないはずだ。もしそうなら、税金は必要ないだろう。

財政が黒字でも、自動的に減税の余地は生じない。政府の支出を抑える、つまりピラミッド(予算の無駄遣い)の建設数を減らすことによってのみ、実質減税が可能となる。政府支出が増加し続ければ、実質減税は不可能であり、逆に富の生産者が自由に使える富の蓄えの割合が、減少することになる。

政府は富を生み出す存在ではなく、その財源を民間企業に頼っている。つまり政府が支出すればするほど、富を生み出す民間部門が利用できる、富の蓄えは少なくなる。これは明らかに富の創造を妨げ、経済全体を貧しくする。

(次より抄訳)
Government Spending Is the Real Tax; Deficits Are a Sideshow | Mises Wire [LINK]

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