2021-07-02

陰謀論は魔法の言葉


1960年代初めまで、米国で陰謀論は話題にならなかった。国民の75%が政府を信頼していたからだ。それはケネディ大統領の暗殺で終わった。1963年11月22日の暗殺の7日後、ケネディの死で大統領に昇格したジョンソンは調査委員会(のちにウォーレン委員会と呼ばれる)を設立し、ケネディ殺害に関する論争を抑え込んだ。

ジョンソン政権はベトナム戦争の批判者を狂った陰謀論者に見せようとした。戦争の口実になったトンキン湾事件は米側の自作自演ではとの説に対し、当時のマクナマラ国防長官は「米政府の仕組み上、陰謀はありえない」と反論した。3年後、ペンタゴン文書で政府の嘘が暴かれた。

陰謀論への非難は、バイデンの大統領当選を助けた。最近リンゼー・グラム上院議員が述べたように、もし米国民がコロナウイルスは中国政府の研究所で作られたと信じていたら、対中国で強硬な大統領を求め、トランプが勝っただろう。しかし中国起源説は親トランプとレッテルを貼られた。

陰謀論とは、政府の不正を消し去る魔法の言葉だ。この言葉を使う左翼の多くは、元共産主義者リチャード・ホフスタッターの1965年の本『アメリカ政治におけるパラノイド・スタイル』を決まって引用する。ホフスタッターによれば、政府に対する不信感は一種の精神疾患だという。

陰謀論を信じるとは、それが本当でも嘘でも、エリートが動かす体制の存在を信じることだ。そのエリートをディープステート(影の国家)、スワンプ(沼)と呼んでもいいし、イルミナティ、オプス・デイ、ユダヤ人と呼んでもいい。単に大銀行と連邦準備理事会(FRB)と呼んでもいい。要するに、陰謀の本質は反民主的な勢力ということだ。(内部告発者、エドワード・スノーデン)

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