2026-03-22

無謀な島占領計画

Seizing Iran’s ‘crown jewel’ would be a suicide mission | Responsible Statecraft [LINK]

【海外記事紹介】この記事は、トランプ大統領が検討しているとされるイランのカーグ島占領計画を、極めて危険な「自殺的任務」であると断じています。カーグ島はイランの原油輸出の約90%を担う、まさに同盟国の強硬派が「王冠の宝石」と呼ぶ戦略的要衝です。リンゼー・グラム上院議員らは、この島を奪取すれば戦争は終わると主張し、地域へ向かっている海兵隊遠征部隊(MEU)の投入を煽っています。しかし、この計画には軍事的な合理性が欠如しており、成功の公算は極めて低いのが実情です。

戦略的な視点から見ると、石油施設を人質に取ってイランを降伏させるという計算は、すでに生存をかけた「存亡の危機」にあるイラン指導部には通用しません。彼らは自国の主権を、どうせトランプ政権の傀儡に支配されることになる石油収入と引き換えに差し出すことはないでしょう。また、石油収入を断って兵士への給与支払いを止めれば軍が崩壊するという考えも、あまりに楽観的です。家族が爆撃されている状況で、給与の遅れを理由に配置を離れる兵士は考えにくく、さらにイランは長年の制裁下で軍需産業の自給自足を進めており、中国からの部品供給も期待できるため、即座に戦闘不能に陥ることはありません。

戦術的な側面はさらに深刻です。カーグ島はホルムズ海峡から500マイルも奥まった場所にあり、イラン本土からはわずか15マイルしか離れていません。上陸作戦を試みる艦隊は、対艦ミサイルや自爆ドローンの射程内にさらされ、海峡に敷設された機雷の脅威にも直面します。ヘリコプターによる空挺作戦も、着陸した瞬間からドローンや火砲の格好の標的となります。さらに島には2万人もの市民が居住しており、占領すれば米軍は敵意に満ちた住民に囲まれ、泥沼の対ゲリラ戦を強いられることになります。

著者は、この作戦が成功したとしても、米軍は島という狭い「殺傷圏」に閉じ込められ、撤退時には映画「ブラックホーク・ダウン」や「ダンケルク」のような凄惨な光景が繰り返される可能性が高いと警告しています。イラン側にとっては、米軍に大損害を与えて米国内の厭戦気分を煽る絶好の機会となり、米軍部隊そのものが事実上の「人質」にされる恐れもあります。この無謀な計画は、さらなる増援と泥沼化を招き、アメリカを破滅的な地上戦へと引きずり込む引き金になりかねません。

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