2026-03-23

リンカーンの本当の顔

Rothbard on Lincoln - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ史において「偉大なる解放者」と称えられるエイブラハム・リンカーンについて、経済学者マレー・ロスバードの分析をもとに、その実像を問い直す論考をリュー・ロックウェル氏が紹介しています。一般に、リンカーンは奴隷制から国家を救った英雄と見なされていますが、ロスバードによれば、彼の真の姿は冷徹な「国家主義者」であり、奴隷解放そのものよりも南部の連邦引き留めを優先していました。

ロスバードの分析では、当時の共和党は、反カトリック的な宗教観、高関税を柱とする国家主義的経済政策、そして南部の制度を根底から変えようとする廃止論が統合された「専制的な世界観」を持っていました。リンカーンはこの中で、特に経済的な国家主権を重視する立場をとっていました。彼はイリノイ・セントラル鉄道などの大企業を代表する弁護士であり、大統領候補としての指名も、鉄道事業者との腐敗した取引によって得たものでした。その見返りとして、南北戦争の初期には連邦軍を動員して先住民を排除し、多額の補助金を投じた大陸横断鉄道の建設を強行したのです。

また、リンカーンにとって関税は奴隷制の廃止よりもはるかに重要な問題でした。大統領就任演説で彼は、奴隷制の維持には妥協的でしたが、南部における関税の徴収については強硬な姿勢を崩しませんでした。サムター要塞の守備隊も、実際には関税徴収を強制するために配置されていたのです。ロスバードは、リンカーンが南部を巧妙に操って先に発砲させ、南部を「侵略者」に見せかけることで戦争を正当化したと指摘しています。これは後の真珠湾攻撃にも通じる政治的なマニピュレーションであったと論じています。

戦争が始まると、リンカーン政権は南部がいなくなった議会を利用して、10回にも及ぶ増税案に署名し、史上初の所得税を導入し、銀行システムを事実上国有化するなど、経済プログラムを次々と押し進めました。同時に、北部においても徴兵制を敷き、和平派を投獄し、人身保護令状を停止するなど、前例のない強権を発動しました。ロスバードは、リンカーンを「ギロチンを持った人道主義者」の典型と評しています。彼は抽象的な「連邦」という概念を家族に例えて神聖化する一方で、実際の自身の家族や周囲の人々には冷淡であり、欺瞞に満ちた政治手法で多くの犠牲を強いたと結論付けています。

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