2023-04-11

中国と戦争するのはやめよう

作家、シェルドン・リッチマン
(2023年4月7日)

パワーエリートを恐怖に陥れる言葉は、中国である。それは存亡の危機に対する恐怖ではなく、むしろ米国が世界政治において二の次になりつつあることへの恐怖である。その結果、中国との戦争は避けられないと信じている、あるいは信じていると言う人もいる。彼らにとって、それは好都合なことなのだ。
ここで提案したい。中国と戦争するのはやめよう。中国は米国ほどではないが、核爆弾を持っている。中国の人々にとっても、米国の人々にとっても、ほとんどすべての人にとっても、戦争は良い結果をもたらさないだろう。例外は中央集権的で権威主義的な権力を擁護する人々や軍産複合体であり、彼らは山賊や殺人者のように儲けるだろう。

中国を敵(または敵対者)とみなすか、競争相手とみなすかという狭い選択は、インチキである。どちらでもないのだ。中国はたくさんの人がいる国だ。たしかに、悪い中央集権政府があり、ある意味、国民に何をすべきか指示している。しかし「我々の」敵でも、「我々の」競争相手でもない。米国人が中国で組み立てられた商品(部品は他の多くの場所で作られるが)を買うとき、少なくとも間接的には、企業としてともに行動する中国人個人と協力している。米国の消費者は、中国の製造業者と競争することはない。米国の会社が作る製品を中国の会社も作って輸出するのであれば競争だが、それは中国の会社との競争であって、中国という国との競争ではない。

世界経済を国家間の競争と考えるのはやめなければならない。そのような態度が、関税や割当など、自由を制限することにつながっている。米政府を含む多くの政府の干渉にもかかわらず、私たちには世界市場があり、それは世界的な分業、つまり協力関係を意味する。

個人の自由を重んじる人は、中国政府の下で暮らしたいとは思わないだろう。政治的自由は存在せず、経済の自由化も制限されている。さらに、中国政府は一つまたは複数の集団を奴隷化していると報じられている。それが事実かどうか、私にはわからない。しかし戦争の理由にはならない。それが核兵器による戦争であれ、通常兵器による戦争であれ。

中国政府はもちろん、米政府と同じように近隣の安全保障に気を配っている。ただし、米政府は全世界を近隣とみなしている。米政府が台湾と戦争演習を行うことは、決して良いことではない。中国が標的なのだ。中国は米国をスパイしているのだろうが、最近の暴露からわかるように、米政府はすべての人をスパイしている。それが大国(と小国)のすることなのだ。秘密はうまく隠そう。

台湾をめぐる紛争の是非はともかく、米政府には関係ないことだ。米国の安全保障のために行動しているという政府の主張は、連邦準備理事会(FRB)が米国の銀行システムの健全性を宣言するのと同じくらいしか信じられない。台湾、香港、南シナ海の小さな島々は、私たちの関心事ではない。自分の自由と繁栄に関心があるならそうだし、世界の他の地域の自由と繁栄にも関心があるなら、なおさらだ。言うまでもなく、まともな人々は、地域のすべての人々の生命、自由、幸福を追求する自由を願うだろうが、戦争がそれらをもたらすことはない。

中国への懸念は、当然ながら他の問題にも影響を及ぼす。最新のものは、1億5000万人の米国人が利用するTikTok(ティックトック)というソーシャルネットワーキングである。ジョー・バイデン米大統領や議会の共和・民主両党(ランド・ポール上院議員のような立派な例外を除く)は、ティックトックが中国企業によって所有されており、中国政府が米国人の情報を収集するために使用している、あるいは使用する可能性があると主張し、禁止しようとしている。ティックトックの最高経営責任者(CEO)は中国人ではなく(周受資CEOはシンガポール人)、米国人パートナーもいるため、これを否定している。

皮肉なことに中国政府は、共産党が自国民に学ばせたくないことを学ばせないために、ソーシャルネットワークを禁止・制限していることで悪名高い。つまり米政府にティックトックを禁止・妨害させようとする人たちは、米政府が中国共産党のような存在になることを望んでいるのだ。意味がわからない。

周知のように米政府は、米国民に知られたくない情報や意見を禁止・制限するよう、米ソーシャルネットワークに日々圧力をかけている。この政府にさらに大きな力を与えようというのだろうか。米議員ならやりかねない。保留中の法案(RESTRICT法)は、不吉なほど広範で曖昧に定義された権限を商務長官に与え、あらゆるソーシャルネットワークを妨害し、「外国」の影響から私たちを守るとされる。それが良い考えでないことはおわかりだろう。この点に関する政府のこれまでの記録は、憂慮すべきものだ。政府と関係のある組織や個人はソーシャルネットワーク上での自由な意見交換を妨害し、意見の発信源は外国の敵対勢力だと主張してきたが、実際の発信源は米国人だった。「ハミルトン68」(訳注・ロシアの工作員が暗躍しているという偽情報を流してきたシンクタンク)に関するツイッター文書が明らかにしたとおりだ。

最後に、中国はイランとサウジアラビアの外交関係の再開を促し、皆を驚かせた。これはいくつかの理由から好ましい。 まず、米国が世界の守護神を自任する役割が弱まることを示唆する。イエメンの人々に対するサウジアラビアの残虐な戦争が正式に終結することも期待したい。また、米・イスラエル政府によるイランとの戦争やイランの屈服という野望を阻止し、米国の武器商人であるドナルド・トランプの下で始まったアブラハム合意(イランに対する統一戦線とパレスチナのさらなる疎外を目的とする協定)の追求を弱体化させるはずだ。イスラエルと米政府は、サウジがこのような協定に署名することを望んできた(バイデン米大統領はなぜ、昔の上司であるオバマ元大統領が署名したイランとの核合意を復活させ、イラン国民に対する残酷な制裁を終わらせないのだろうか)。

中国がサウジやイランの石油を買い、両国との商業関係を途切れさせないよう望んでいるため、中国の中東外交を露骨な利己心とみなす論客がいると聞いたことがある。しかし、もし中国の利己心が戦争の代わりに外交を行うことにあるのなら、何が悪いのだろうか。合理的な利己心は欠陥ではなく、利点である。中国がウクライナとロシアに対して同じようなこと(和平調停)をするかもしれない兆候はある(バイデン氏でなく、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は興味があると言っている)。停戦はもっと早く準備されていたはずだ。

米国という国家は長い間、世界の混乱、悲惨、戦争を引き起こす力となってきた。経済制裁、体制転換、ひそかなあるいは露骨な戦争など、その度重なるいじめは、「例外的な国家」の支配にうんざりしている世界の多くの人々をますますうんざりさせている。遅かれ早かれ、そうならざるをえなかった。米政府は世界秩序を設計することはできない。帝国を清算して帰国するときが来たのだ。帝国は外国人に害を及ぼすだけでなく、米国人を不自由で貧しくしてしまう。

TGIF: Let's NOT Go to War with China | The Libertarian Institute [LINK]

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