2023-03-02

戦争と合衆国憲法

元米ニュージャージー州判事、アンドリュー・ナポリターノ
(2023年2月23日)

大統領は好きな戦争をすることができるのか。議会はどのような戦争にも資金を提供することができるのか。戦争が始まる前に、まず満たさなければならない憲法上および法律上の要件があるか。米国は合法的に同盟国を攻撃することができるのか。
これらの疑問は、米国のウクライナへの関与をめぐる議論において、正面かつ中心をなすものであるべきだ。しかし悲しいかな、これといった議論は行われていない。メディアは米中央情報局(CIA)の言うことを鵜呑みにし、政府の無謀で非道徳的、違法かつ違憲な戦争に異議を唱えるウェブサイトやポッドキャストは、私のサイトやユーチューブの「自由を裁く」などごくわずかでしかない。

米連邦政府のすべての権力は、合衆国憲法に由来するものであり、それ以外のものではありえない。しかし議会は国内では憲法の枠を超えて、規制できない分野で金を使い、賄賂によって州から法令遵守を買い取ることで、なんとかその範囲を広げているのである。

たとえば、飲酒運転撲滅のための血中アルコール濃度の数値規制や、最高速度規制などである。いずれの場合も、議会は両数値を下げることを条件に高速道路の舗装費を各州に提供し、資金繰りに困った各州は議会のひも付きでその資金を受け入れた。これらは賄賂だが、議会は自らの刑事責任を免除している。

同じことが外交政策でも行われている。軍事的な根拠がないため、議会は合法的にロシアに宣戦布告することができない。ロシアは米国の国家安全保障や米国人、財産に対して脅威を与えていないからだ。さらに米国はウクライナとの間で、米国の軍事防衛を発動させるような条約を結んでいない。しかし議会はそれにもかかわらず、戦争に金を費やしている。

憲法のもとでは、議会だけが国家や集団に対して宣戦布告できる。議会が最後に宣戦布告したのは、第二次世界大戦に米国人が参戦するためだった。しかし議会は大統領に限定的な権限を与え、宣言されていない戦争を行うことを許可してきた。その例として、ジョージ・W・ブッシュ大統領によるアフガニスタンとイラクへの悲惨で犯罪的な侵略、そして1973年の「戦争権限に関する両院合同決議」が挙げられる。

議会はロシアに宣戦布告していないだけでなく、ロシアに対する米軍の使用も認めていない。しかし議会はジョー・バイデン大統領に1000億ドルの白紙委任状を渡し、ウクライナの軍備に好きなように使うことを許可したのである。

バイデン大統領は、ウクライナに必要なものは何でも「必要な限り」与え続けると約束した。何をするために必要なのか。バイデン氏は答えられない。明確な軍事目標がないからだ。ウクライナとクリミアからロシア軍を排除することや、ロシアのプーチン大統領を失脚させることは、現実に達成可能な軍事目標ではない。

議会が許可したのは武器と現金をウクライナに送ることだけだが、バイデン大統領は軍隊も送っている。ベトナムへの米国の関与も同じように始まった。宣戦布告もなく、軍事力行使の許可もなく、しかし顧問や指導者として徐々に米軍を増強した。そして議会が支持する戦争で50万人の米軍兵士が配置され、そのうち10%は遺体袋で帰還した。

ウクライナに何人の米国人兵士がいるのか、私たちは知らない。バイデン大統領が送り込んだ兵器には、運用や維持に米国人のノウハウが必要なものが多いため、敵対行為に関与していることはわかっている。そしていくつかの兵器は、米国人が実際にロシア軍を標的にして引き金を引いている。

米軍兵士がロシア軍兵士を殺しているのか。そうだ。議会は承認していないが、その費用を借金で賄っている。

さて、憲法の話に戻ろう。戦争権限に関する両院合同決議とは、米軍の武力行使について大統領から議会への通告を義務づけるもので、違憲である。議会がその中核機能である宣戦布告を放棄しているからだ。最高裁は、中核機能の委譲は三権分立に反すると位置づけている。

それにもかかわらず、バイデン大統領は米軍を暴力的に使用する意図を議会に伝えていない。しかしバイデン氏は海軍とCIAを使ってドイツ〔のノルドストリーム・パイプライン〕を攻撃した。これは戦争犯罪であり、北大西洋条約違反である。そしてバイデン氏はウクライナに軍服を着ていない兵士を送り込み、軍が現地にいないかのようなごまかしを永続させようとしている。

バイデン氏が「ギャング・オブ・エイト(8人組)」にこっそり戦争権限の通達を出しても驚かないことだ。8人組とは議会の中の議会である。上下両院の情報委員会の委員長と有力メンバー、共和・民主両党の院内総務で構成され、大統領が合法に機密を共有する。

議会が戦争遂行権限を大統領に委譲できないのと同じく、8人組に委譲することもできない。8人組の概念は民主主義の価値観に反する。大統領がどんな暴挙に出ようと、それを8人組に知らせることは秘密保持の宣誓のもとに行われる。秘密裏に活動し、殺人を犯す民主主義などありえない。

米国が締結している各種の条約は、戦争行為を防衛的、比例的、合理的なものに限定している。つまり、外国勢力が攻撃しようとしている場合、たとえば〔2001年〕9月11日のように政府が眠っている間に、大統領は米国を守るために先制攻撃できる。差し迫った攻撃を超えて、戦争の根拠は現実でなければならず、敵の反米軍事行動は重大でなければならず、戦争の目的は明確で達成可能でなければならず、手段は脅威と釣り合いが取れていなければならない。

ロシアは米国を脅したのか。脅していない。ロシア軍が米国に対して行った重大な行為とは何か。何もない。バイデン大統領の目的は何か。大統領は言わない。

議会は憲法を守っているか。大統領はどうか。答えは明白だ。私たちは、憲法を無視する人々の手に憲法を預けている。その結果は、死と借金、個人の自由の喪失である。

War and the Constitution - LewRockwell [LINK]

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