2023-02-10

パイプラインを破壊した米政府

ジャーナリスト、カート・ニモ
(2023年2月9日)

昨年9月、選挙で選ばれたわけでもない欧州連合(EU)の役人、ウルスラ・フォンデアライエン氏(欧州委員長)は、ノルドストリーム・パイプラインの破壊におけるロシアの関与を示唆した。
欧州委員会のボスは、表に出てきて直接ロシアを非難したわけではない。しかし英国の戦争プロパガンダ機関であるBBCによれば、フォンデアライエン氏の発言は、ロシアが「ウクライナへの支援をめぐって西側に対する武器としてガス供給を利用している」というEUによるこれまでの言いがかりを助長した。

今月初め、第4代ロザミア子爵〔ジョナサン・ハームズワース氏〕が所有する英デイリー・メール紙は、ロシアが自国のパイプライン(その費用は95億~100億ユーロと推定される)を爆破した責任があると主張する、「情報機関」の言葉を引用した。

西側の情報機関は、パイプラインを破損させたのは、冬の間、欧州のエネルギー価格を上昇させ、西側諸国民にウクライナへの支援を見直すよう促すための戦術の一部だと主張し、ロシアに責任を負わせることにした。

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、ロシアが自国のパイプラインを爆破したという非難に対し「予測可能で、愚かで、ばかげた話だ」と反論した。

事実上ドイツに対して行われた経済戦争であるテロ攻撃に米政府が共謀した証拠は、数カ月間無視された。

その間、プロパガンダと心理戦争のメディアは、ロシアがやったと主張するために、信用できない米中央情報局(CIA)の〔ロシアがパイプラインを攻撃する可能性があるという〕調査結果を持ち出した。

バイデン米大統領が、ロシアがネオナチや国家安全保障への脅威に対処するためにウクライナに攻め入ると決めたら、欧州の人々を寒さで震え上がらせるだろうと発表したことを思い出してほしい。

さらに、ビクトリア・ヌーランド米国務次官(政治担当)が1月に「ノルドストリーム2が破壊されたことを知り、政権は非常に喜んでいる」と発言したことを思い出してほしい。

ヌーランド氏は、絶望したドイツ人が公園や森林で木を切り倒して家を暖める可能性についてコメントしなかった。1990年代のロシアで、米政府が国際通貨基金(IMF)と「ハーバード・ボーイズ」と共謀して同国を破壊し、数え切れないほどのロシア人を死に追いやる「ショック療法」を行った際、同様のことが起こったものだ。

ウクライナでロシア系民族の保護に踏み切ったプーチン露大統領をテッド・クルーズ米上院議員が批判した後、ヌーランド氏が行った発言を考えてみよう。当然ながらクルーズ氏は、議会の公聴会を党派的なものにせずにはいられなかった。まるで米国の一党二派閥〔民主党と共和党〕の間に違いがあるかのようにである。

2月8日、米国の著名な調査ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が事実を明らかにした。

作戦計画を直接知る関係者によれば、昨年6月、広く知られた真夏の北大西洋条約機構(NATO)演習(BALTOPS22)を隠れ蓑にして、海軍の潜水士が遠隔操作による爆発物を仕掛け、3カ月後に4本のノルドストリーム・パイプラインのうち3本を破壊したという。

ハーシュ氏は、ホワイトハウスの報道官エイドリアン・ワトソン氏、CIAの報道官タミー・ソープ氏にそれぞれ、自らの暴露記事についてコメントを求めている。「これは虚偽であり、完全なフィクションだ」とワトソン氏は答えた。嘘、破壊工作、暗殺、選挙で選ばれた政府の転覆などの長い歴史で知られるCIAは、「この主張はまったくもって虚偽である」と言い添えた。

バイデン大統領とその外交チーム(ジェイク・サリバン大統領補佐官、トニー・ブリンケン国務長官、ビクトリア・ヌーランド国務次官)は二つのパイプラインに対し、一貫して声高に敵意を示していた。このパイプラインはロシア北東部、エストニア国境近くの二つの異なる港からバルト海底750マイルを並走し、デンマーク領ボーンホルム島の近くを通ってドイツ北部で終了する。(強調は引用者)

ジャーナリストのペペ・エスコバール氏は、ハーシュ氏の記事は「必読」だとツイートする一方で、地政学的には「子供じみている」と評した。「ヤンキー〔米国〕がやった」ことは、爆発当日に多くの人が知っていたからだ。

予想どおり、ハーシュ氏の記事は、戦争プロパガンダの企業メディアによって無視されている。

(次を全訳)
Biden’s Navy Sabotaged Nordstream Pipeline [LINK]

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