2022-11-11

バイデン家の口利き稼業

ジョージ・ワシントン大学法学教授、ジョナサン・ターリー
(2022年11月10日)

以下は、フォックスニュースのウェブサイトに掲載された私のコラムで、〔米中間選挙後の〕共和党の下院支配が〔ジョー・バイデン大統領の次男〕ハンター・バイデン氏のスキャンダルに及ぼす影響についてである。ハンター氏のノートパソコンは、米政府にとってパンドラの箱だ。そのパソコンを公に精査することで、バイデン家による優越的地位の濫用が暴かれる可能性がある。

以下がそのコラムだ。

〔ギリシャ神話の〕パンドラの箱の伝説では、パンドラは不運にも、多くの悪を世界に放つ。彼女が箱か瓶に閉じ込めることができた唯一のものは、今週ワシントンで最も高価になりそうなもの、つまり希望であった。

共和党が下院を占拠することで、今後数カ月で多くの調査が行われる可能性がある。米政府はスキャンダルを管理することで有名だ。実際、政界でスキャンダル管理は事実上、芸術の域に達している。しかし政界の有力者らにとって、パンドラの箱に最も近い捜査が一つある。ハンター・バイデン氏のスキャンダルを真剣に調査すれば、政治家やメディアのエリートは存亡の危機に陥るかもしれない。

ここで、ハンター氏に関し完全に調査が行われた場合、初めて詳細に調べられる可能性のある、おなじみの面々を紹介しよう。

バイデン家


バイデン家は、利権への扉を開く鍵のマークを家紋に付けることができるほど、長い間、優越的地位の濫用に関係してきた。バイデン家は他の一族よりも大胆かもしれないが、地位の濫用は長い間、政界のお家芸だった。何十年もの間、私はこの贈収賄法の抜け穴について書き続けてきた。影響力を得るために議員や大統領に百ドルでも渡せば違法だ。しかし議員や大統領の配偶者や子息には、棚ぼたの契約やおいしい仕事という形で、文字どおり何百万ドルも渡すことができる。

〔バイデン大統領の弟〕ジェームズ・バイデン氏は兄への口利きについて、驚くほど(さわやかでさえある)オープンにしている。〔病院運営会社〕アメリコ・ヘルス社の元幹部トム・プリチャード氏らは、ジェームズ氏が顧客への売り込みで、兄やその家族への口利きにおおっぴらに言及したと主張している。ジェームズ氏は、アメリコ社が破産する前に同社を通じて取得した個人ローンなど、不正行為の疑いでさまざまな訴訟に直面している。

ハンター氏は叔父のもとで働いたが、家業の中で独自の道を歩んできた。父親は最近、息子はどうしようもない依存症だと強調したが、その主張は、ハンター氏が数百万ドル規模の口利きの仕組みを構築していた事実と明らかに矛盾する。問題は、なぜ外国の人物(外国情報機関の関係者を含む)がハンター氏をせっつき、ロシア、ウクライナ、中国などで何百万ドルもの国際送金と複雑な取引を行わせたかである。

しかし一番心配しているのは大統領自身かもしれない。大統領は、自分がハンター氏の仲間と会っていることを示す数多くのメールや写真にもかかわらず、ハンター氏のビジネスとのかかわりに関する情報を繰り返し否定している。それには2009〜2015年、ハンター氏の相棒エリック・シュウェリン氏だけで少なくとも19回、ホワイトハウスを訪問していることも含まれる。

一方、ハンター氏のノートパソコンにある電子メールは、口利きで得たカネを受け取った可能性のある父親について、繰り返し言及している。実際、ある電子メールでは、当時ハンター氏の事業仲間だったトニー・ボブリンスキー氏が、ハンター氏の同僚ジェームズ・ギリアー氏から、バイデン家はそうした言及を避けたがっていると指示を受けている。「ジョーが関与しているとは言うな。顔を合わせたときだけだ。そんなことは承知しているのに、連中はビビっているんだ」

これら取引について議論する際、バイデン大統領は 「ケルト族」「大物」などのコードネームで言及される。その中で、「大物」は中国のエネルギー企業との取引で10%の分け前を受け取る可能性があると議論されている。また、ハンター氏が父親の経費を共有の口座から支払っているという記述もある。ハンター氏は役員報酬、ベンチャー企業取引、弁護料、美術品取引など、政界で行われたとされる汚職の手口の数々をみごとに網羅する。画家や弁護士としての手腕は疑問視されているものの、口利きの卓越した手腕は、近いうちに政界で焦点になるかもしれない。

政界の無法者たち


有力者たちにとって一番の心配の種は、これらの電子メールによって、優越的地位の濫用というお家芸が暴露されることだ。電子メールには、民主・共和両党の有力者とつながりのある子息がずらりと並ぶ。たとえば、ハンター氏の親しい仲間の一人は、ジョン・ケリー氏[元国務長官]の連れ子であるクリス・ハインツ氏だった。ジョー・バイデン大統領同様、ケリー氏もまた、息子のビジネスに関する情報を偽って否定したと訴えられている。マフィアの故ジェームズ・バルジャーの甥、ジム・バルジャー氏もハンター氏の仕事仲間だった。バルジャー家はマサチューセッツ州の有力な民主党一家だった。

コネに恵まれた子息らの周りには、民主・共和両党の上層部と結びついたインサイダーがずらりと並ぶ。これら有力者の周辺には、弁護士や政治家の一団がただちに形成され、外国との取引でカネを得ていた。捜査でハンター氏の行為を明らかにするためは、口利き産業を支えるすべての人々に光を当てなければならない。

メディア


メディアは、どのような捜査においても巻き添えを食いかねない最後の集団である。この優越的地位の濫用は、メディアがバイデン家の後ろ盾になっているという保証がなければ起こりえなかった。もし外国の政治家や有力者とのこれら取引の一つでも、トランプ氏〔前大統領〕の子供が受取人だったら、メディアがどうしたか想像してほしい。バイデン家の口利き作戦の真骨頂は、メディアを早くから活発に参加させることだった。メディアとソーシャルメディア企業は2020年の大統領選前、ほぼ例外なくハンター氏のスキャンダルを葬り去った。二年間にわたり、この話を軽んじ、否定することに没頭したのである。

バイデン家に関する汚職が明るみに出れば、メディアはわずかに残る信用を損なうことになる。ボブリンスキー氏のような人物たちとその背景にある電子メールは、2020年の選挙前にメディアに公開されていた。しかしメディアは口利きの事実を追及することに驚くほど関心を示さなかった。ボブリンスキー氏らは今後、おそらく意見を聴かれる機会があるだろう。

言うまでもなく、このスキャンダルで何が暴露されるか気をもんでいる組織・人物はこれだけではない。バイデン家の取引の捜査が始まりかけた際、それを頓挫させたか遅らせたと思われる連邦捜査局(FBI)も含まれる。また、特別検察官の任命が多数から支持されたにもかかわらず、任命を断固拒否したメリック・ガーランド司法長官もその一人である。

もちろん、ハンター氏のノートパソコンを開けるのと、パンドラの箱を開けるのとでは違いがある。政界では、パソコンの分類された中身に希望を見出す者はほとんどいないだろう。

(次を全訳)
Washington’s Pandora’s Box: The Opening of the Hunter Biden Laptop Could Expose the Cottage Industry of Influence Peddling – JONATHAN TURLEY [LINK]

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