2022-11-01

北朝鮮市民にナパーム弾を浴びせた米軍

シカゴ大学歴史学教授、ブルース・カミングス
(「デモクラシー・ナウ!」インタビュー、2018年6月12日)

トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩委員長との歴史的な会談は、わずか数週間前に行われた金委員長と韓国の文在寅大統領との、朝鮮戦争を正式に終わらせるため努力することに合意した別の歴史的な会談に続くものである。2018年6月12日、シンガポールで開いた首脳会談の後、トランプ氏は朝鮮戦争を「きわめて血なまぐさい紛争」と呼び、戦争がまもなく正式に終結することへの希望を表明した。朝鮮半島に関し複数の著書のあるシカゴ大学の歴史学者、ブルース・カミングス氏に話を聞く。

エイミー・グッドマン 「デモクラシー・ナウ!」です。エイミー・グッドマンがフアン・ゴンサレスとお送りします。シカゴ大学の歴史学教授、ブルース・カミングス氏をお招きしました。『朝鮮半島現代史』『朝鮮戦争論』など朝鮮半島に関する多くの著書をお持ちです。

何十年にもわたって韓国を追ってこられたわけですね。本日署名された声明について、最も驚かれたことをお聞かせください。また、これは過去の延長線上にあるのか、それとも過去との最初の決別なのでしょうか、カミングス教授。

ブルース・カミングス 北朝鮮と米国の新たな関係に関する最初の原則は、非常に重要だと思います。それは北朝鮮を認めるということです。米国は72年前、1946年2月に金日成(北朝鮮最高指導者)が権力を握ったことを認めなかった。それは金日成が実質的に中央の権力者になったということです。米国はそれをソ連の策略と糾弾した。それ以来、米国は北朝鮮を認めないようになった。北朝鮮は自国の尊厳を誇示し、他国から尊敬されたいというイデオロギーを持っています。だから、共同声明の第一項(「米国と北朝鮮は、両国民が平和と繁栄を切望していることに応じ、新たな米朝関係を確立すると約束する」)は、実行されれば非常に重要なものになると思います。

次に、ドナルド・トランプはこういう無邪気さを持っていますよね。トランプ氏は無邪気な目で韓国問題を見ています。1953年に戦争が終わった直後、あるいはこの60年の間に、平和条約が結ばれていないのは馬鹿げていると言っています。そして、そのことは正しいのです。

しかし、私はティム・ショーロック氏(ジャーナリスト)と同意見で、最も衝撃的だったのは、トランプ氏が軍事演習は挑発的だと話したことです。演習の中止や、少なくとも中断することに関する発言については言うまでもありません。バラク・オバマが大統領だった頃、北朝鮮のミサイルや爆弾の実験に関し何か危機が起こると、オバマは核兵器を搭載した爆撃機を送り込み、韓国の島々にテスト用の原爆を投下したものです。ショーロック氏が言ったように、演習ではしばしば北朝鮮の政権を倒そうとしたり、戦争の初期段階で(北朝鮮の)元山港に海兵隊を送り込んで平壌に進撃させたり、朝鮮半島で核兵器を使用したりする計画もありました。ですから、もし演習が中止されれば非常に重要なことだと思います。しかし、状況をよく知らない人物、つまりドナルド・トランプがこの状況を見て、「ちょっと待てよ、これは金がかかるだけでなく、非常に挑発的だ」と言ったことも、きわめて重大です。

アメリカ国旗のすぐ隣に北朝鮮の国旗があること、ドナルド・トランプが北朝鮮の指導者を賢い男、偉大な男と表現すること、これらすべてが首脳会談の演出として非常に重要だったという点にも、クリスティンさん(平和活動家クリスティン・アーンか)と同意見です。米国では、トランプ氏のあのような発言に対して、さまざまな非難があることは承知しています。しかし、トランプ氏は明らかに、実地の、お互いを理解できる関係を信じる人物です。これはうまくいっているように見えます。

フアン・ゴンサレス 米朝関係の歴史を知らない多くの視聴者やリスナーのためにお聞きしたいのですが、朝鮮戦争で米国が北朝鮮にもたらした損害の規模について、また、米国がアジアで起きたすべての変化(中国との関係正常化、ベトナムとの関係正常化)に直面して、ある意味で冷戦を続けた地域として韓国が残っているのはなぜか、お話しいただけないでしょうか。

ブルース・カミングス 韓国政府が北との関係改善、米朝政府の関係改善を望んでいなければならないのです。ここ九年間はそうではありませんでした。しかし、文在寅大統領は就任すると、すぐに北朝鮮と関わりを持つと言いました。クリスティーンが言ったように、文氏は米国と北朝鮮を結びつける重要な役割を担っています。 このような背景から、韓国の大統領が協力的であることが重要であり、そのような大統領がいないこともよくあります。今に始まったことではありませんが、事態は前進しています。90年代に金大中が政権を握ったときも、北朝鮮との関係を深めていましたから。しかし、文在寅は非常に経験豊富です。彼は盧武鉉大統領の首席補佐官を務めていました。自分が何をしているのか、わかっている。それが、米国が今、北朝鮮と関わりを持つようになった最大の理由だと思います。

北朝鮮の誰もが知っていますが、朝鮮戦争中、家族の誰かが殺されています。たいていは、米国が際限なく行った焼夷弾の爆撃によるものです。第二次世界大戦中にドイツや日本の都市を破壊するために使われた焼夷弾の装置は、ほぼ北朝鮮に転用されました。北朝鮮にはそれなりの規模の都市が15か16ありましたが、それらはすべて地球上から消し去られたのです。米空軍の公式統計によると、北朝鮮の都市の破壊率はときに100%に達し、第二次大戦中のドイツや日本より平均して高いものでした。しかもナパームがそこらじゅうに飛び散っていました。チャーチル(英首相)が1953年、アイゼンハワー(米大統領)に電報を送り、「ナパーム弾が発明された当時、それが一般市民にばら撒かれるとは思ってもみなかった」という意味のことを言わざるをえなかったほどです。歴史家の推定によれば、朝鮮戦争の死傷者の約70%が民間人であり、ベトナム戦争の約40%を大きく上回っています。つまりトランプ大統領が言ったように、きわめて破壊的な戦争だったのです。北朝鮮の人々は誰もがそのすべてを知っています。

(次を全訳)
US Bombing in Korea More Destructive Than Damage to Germany, Japan in WWII [LINK]

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