2022-10-18

ネオコンと「目覚めた」左翼が結託し、第3次世界大戦へ

ベンチャーキャピタリスト、デビッド・サックス
(2022年10月4日)

起業家イーロン・マスクが和平を提案し、ツイッターでまたぞろ炎上した。10月17日、マスクはウクライナの戦争を終わらせる和平交渉を提案したが、ウクライナに関するあらゆる言説を取り締まろうと結成されたツイッターの群衆から、親プーチン(露大統領)の操り人形と非難を浴びた。

この話で重要なのは、ツイッターの集団が、米国の対ウクライナ政策を形成するために、国内の政治問題に関する議論を封じるのと同じ、不寛容なキャンセル(排斥)戦術を使っていることだ。そのやり口は、反対意見を悪魔化し、反対者を中傷し、平和への道や紛争緩和さえもイデオロギー上容認できないとして閉め出すことである。

ウクライナの味方につくツイッター暴徒がユニークなのは、かつて互いに宿敵だった二つの勢力、左派のウォーク(社会正義に目覚めた者)と右派のネオコン(新保守主義者)を結びつけている点だ。この両勢力は忌まわしいイデオロギー的、人格的特徴を共有しており、政治運動に対する「切捨御免」のやり口も似ていることがわかった。これは新手の政治的結婚である。


ネオコンがトランプ(前大統領)をめぐって共和党から離脱し、国内政策に関する保守的な意見をすべて捨てて以来、左派は介入主義の外交政策に新たな愛着を抱くようになった。それが「民主主義」に貢献し、「独裁」に反対する限りは、である。独裁という言葉は日増しに融通無碍になって、今やウォークもネオコンも、プーチンばかりかハンガリーのビクトル・オルバン、イタリアのジョルジア・メロニ、米国のドナルド・トランプといった民主的に選ばれた指導者を定義するのに使っている。

オバマ(元大統領)がネオコンの外交政策と決別すると約束したから投票したにもかかわらず、左派は今やネオコンとともに、ウクライナにおけるオバマの節度ある外交政策に反対している。

この変化は迷走しているようだが、純粋な戦術レベルでは一定の意味がある。ネオコンはツイッターができる前から、排斥の手法を発明していた。相手の主張が不誠実で、考慮する価値がないと傲慢に断じ、自分の大義に疑問を呈する者に異端者、裏切り者とレッテルを貼る。

(ネオコンのコラムニスト)デビッド・フラムは、イラク戦争に反対する少数の右派の識者を「愛国心なき保守主義者」と決めつけ、ネオコンの排斥戦術の基準を打ち立てた。今や、北大西洋条約機構(NATO)の拡大が現在のウクライナ危機の一因となった可能性を示唆する者、ロシアに課せられた制裁が機能しておらず、裏目に出た欧州はまもなく寒さで震え上がるだろうと指摘する者、米国は核武装したロシアとの世界大戦の回避を優先しなければならないとする者は、プーチンの手先として非難される。

このように議論を歪めることで、妄想や矛盾した考えがまかり通る。こうして、プーチンは目的達成のために無差別殺人を行う狂人だが、核兵器の使用については何らかの形で間違いなくハッタリである、という議論が成り立つ。戦争に負けているからこそのハッタリのはずだが、プーチンをウクライナで止めなければ、欧州の他の地域まで征服してしまうだろう、という。プーチンはリベラルな改革派を皆殺しにするか投獄し、強硬な極右と結託しているので、政権は崩壊しなければならない。しかし、政権が崩壊すれば、なぜかリベラルな改革派に取って代わられるのだ。

これはナンセンスであり、まともに議論すれば、この考え方の中にある妄想をいくつか暴くことができるだろう。しかし、そのような議論をすることは許されない。

このウォーク・ネオコン同盟に議論の条件設定を許している限り、ウクライナ紛争を拡大させ、さらに危険な激化へと導く一方通行の展開を見続けることになる。

米国が少なくとも交渉に参加しない限り、この紛争の平和的解決はありえない。米国はその努力を導かなければならない。ところが実際は、ウクライナの最大限の要求に応じ、プーチンが西側に対し批判を口にすると、ロシアへの制裁を強化している。ドイツのような重要な国が万が一、交渉のテーブルに就こうと考える場合に備え、誰かがノルドストリーム・パイプラインを爆破した。

地域紛争が第一次世界大戦に発展したのは、すべての当事者が目一杯の要求をし、他者がハッタリをかけていると思い込んだからである。メディア、ソーシャルメディア、外交政策のエリートが結集し、代替案に関する議論を排除しようとウォーク流の排斥戦術を用いれば、同じ轍を踏む恐れがある。今、私たちは紛争激化の道を進んでおり、その先にあるのは第三次世界大戦である。

(次より抄訳)
The Neocons and the Woke Left Are Joining Hands and Leading Us to Woke War III | Opinion [LINK]

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