2022-10-29

米国防総省が招いた核の危機

自由の未来財団(FFF)創設者・代表、ジェイコブ・ホーンバーガー
(2022年10月27日)

十分承知しているが、ウクライナに関しては、ロシアの侵攻だけに焦点を合わせ、米国防総省(ペンタゴン)がこの危機を作り出した事実に触れてはいけないことになっている。世界を破滅させかねないロシアとの核戦争に危険なほど近づいた、この危機である。

それでも、この危機における国防総省の役割は、何度も何度も強調されなければならない。ちょうどキューバ・ミサイル危機を引き起こした国防総省の役割もまた、何度も何度も強調されなければならないように。

そう、私が強調しているのは、ロシアとの核戦争寸前まで近づいた、これら二つの危機を引き起こした国防総省の役割である。

冷戦時代の終わり、北大西洋条約機構(NATO)が存在し続ける理由はまったくなくなっていた。ソ連(ロシア)の攻撃から欧州を守るというNATOの使命は果たされた。冷戦は終わったはずだった。

ただ問題は、国防総省と中央情報局(CIA)にとっては、冷戦が終わっていなかったということだ。もし連中に思い通りのことができたなら、冷戦騒ぎは永遠に続いたことだろう。結局のところ、連邦政府機構の中で予算と権力を拡大させ続けるために、冷戦以上の理由があるだろうか。

だからNATOを存続させたのだ。中東に介入してテロとの戦いに発展させる一方で、NATOを利用してロシアを刺激し、冷戦の再来を狙ったのである。冷戦時代の恐竜を解体する代わりに、ワルシャワ条約機構の旧メンバーを吸収するためにNATOを利用した。それによって国防総省とCIAは、ロシアの猛烈な反対にもかかわらず、核ミサイルと軍事力をロシアの国境に容赦なく近づけることができるようになった。

しまいに国防総省とCIAは、ウクライナをNATOに吸収すると脅した。ロシアがおよそ25年前から、そうなったらウクライナに侵攻して阻止すると宣言していることを知りながらである。連中の計画は成功した。ロシアがウクライナに侵攻すると、国防総省とCIAの忠実な手下どもは、侵攻だけに注目し、侵攻を誘発したNATOの陰謀には目を向けなかった。

キューバ・ミサイル危機の時も同じだった。ソ連がキューバに核ミサイルを設置したのは、CIAと国防総省によるキューバへの再度の侵攻を抑止するためだった。忘れてならないのは、CIAはすでにピッグス湾事件でキューバに侵攻し、惨敗していたことだ。その後、国防総省はケネディ大統領に全面的な軍事侵攻を行うよう絶えず働きかけていた。国防総省の偽旗作戦は「ノースウッズ作戦」(テロリストに見せかけた攻撃を米国内で起こし、米国民の対キューバ感情を悪化させる作戦)として知られているが、ケネディ大統領はこれを即座に拒否し、その功績を不朽のものにした。

国防総省とCIAがキューバを侵略する法的な正当性はあったのだろうか。何もない。キューバに共産主義政権があることは、決して侵略を正当化するものではなかった(さらに言えば、キューバのフィデル・カストロ議長に対する度重なる暗殺未遂も正当化できない)。キューバが米国を攻撃したことはなかったし、攻撃すると脅したことさえなかったことを忘れてはならない。共産主義キューバと米国との長い関係においては、つねに米政府が侵略者であった。キューバで政権交代を起こす手段として、冷戦時代の古い経済封鎖をやめず、キューバ国民を死と貧困の標的にし続けていることも含めてである。

キューバとソ連が十分承知していたように、CIAと国防総省はカストロ政権をそれ以前のような別の親米独裁政権に取って代えるため、再びキューバを侵略しようと固く決意していた。だからこそ、核ミサイルをキューバに設置したのだ。米国の再度の不法侵攻を阻止するために。

米国の国家安全保障体制の忠実な侍者たちは、なぜこれらすべてを理解できないのか。なぜなら、彼らにとって国防総省、CIA、国家安全保障局(NSA)は三位一体の神だからだ。誰が神を疑ったり批判したりするだろう。

しかし、もし米国民が国を正しい道、つまり自由、平和、繁栄、世界の人々との調和への道に戻そうとするなら、この偽りの神に疑問を呈するだけでなく、この神とその邪悪な組織を歴史のゴミ箱に投げ入れ、小さな政府の共和国というアメリカ建国時の政治制度を取り戻さなければならない。

(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : The Pentagon Brought on Both Nuclear Crises [LINK]

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