2022-07-13

グレート・リセット——テクノクラート・エリートの計画

元ニューヨーク大学教授、マイケル・レクテンワルド
(2021年2月11日)

世界経済フォーラム(WEF)の創設者兼会長であるクラウス・シュワブによれば、「第四次産業革命」は第一次、二次、三次産業革命(それぞれ機械、電気、デジタル)に続くものだ。デジタル革命を基盤とし、ビッグデータ、人工知能、機械学習、量子コンピューター、遺伝学、ナノテクノロジー、ロボティクスなど既存の分野と新しい分野が爆発的に拡大し統合される。その結果、物理的、デジタル、生物学的各領域が融合する。これらのカテゴリーが曖昧になることは最終的に、「人間であることの意味」を含め、自分自身や世界を理解するための存在論そのものに疑問を投げかけることになる。

シュワブやWEFは第四次産業革命に関する特定のビジョンを推進しているが、シュワブが表明した発展は彼の発案ではないし、彼の定式化には何の独創性もない。シュワブやWEFが新たな技術革命を取り上げた意義は、それを特定の目的、おそらくは「より公平で環境に優しい未来」に役立てようとしたことにある。

しかし現実の第四次産業革命には、以下のようなものが含まれる。ユーザーに所定のニュースや広告を与え、禁止されたコンテンツを格下げし排除するインターネットのアルゴリズム。ソーシャルメディアのコンテンツを検閲し、「危険」な個人や組織をデジタル収容所に追い込むアルゴリズム。コロナ感染の疑いのある者を追跡し、違反者を警察に通報するアプリ。QRコードスキャナーで反対者を識別し検挙するロボット警察。居住者全員を監視・記録し、デジタル個人認証(ID)と社会信用スコアに付加するスマートシティー。

第四次産業革命のテクノロジーは、当局による以前の監視が子供の遊びに見えるような管理に人間を従わせる。シュワブは、脳を直接クラウドに接続し、思考と記憶の「データマイニング」を可能にする将来の開発を称賛する。この技術による経験の支配は、個人の自律を脅かし、自由意志を侵食する。オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』が思い起こされる。

第四次産業革命からは多くの好ましい発展が生まれるかもしれないが、企業と結託し、社会主義を信奉するテクノクラート(技術官僚)の手から離れない限り、事実上の監獄を築くことになる。

グレート・リセットの企業統治モデルでは、政府とその親密企業が「官民パートナーシップ」を形成する。この組織は、政府のメンバーに対しほとんど責任を負わない、企業と政府の混成体を生み出す。

新型コロナへの対応は、独占企業の経済支配を強化し、社会主義を前進させた。大手テクノロジー企業、大手製薬会社、旧式メディア、内外の保健機関、従順な人々と連携し、これまで「民主的」だった西側諸国はほとんど一夜にして、中国を手本とした全体主義体制に変貌を遂げようとしている。

グレート・リセットは単なる陰謀論ではなく、公然の計画であり、すでに十分進行中である。しかし企業と結託した社会主義には、自由な市場経済がなく、自由意志や個人の自由の否定を前提にするため、皮肉にも「持続不可能」であり、破綻する運命にある。問題は実際に破綻するまでに、どれだけの苦しみとひずみに耐えられるかである。

(次より抄訳)
The Great Reset, Part VI: Plans of a Technocratic Elite | Mises Wire [LINK]

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