2022-06-16

海抜の低い島々は海面上昇に無力なのか?

ライター、ヨアキム・ブック
(2022年6月2日)

気候変動に関する議論で繰り返し懸念され、政治的な関心を集めているのが、小規模な島嶼国の窮状だ。国連の気候変動サミットでは、海抜数メートルの島や環礁からなるこれらの国々が、迫り来る海の犠牲者に仕立て上げられる。

ここ数十年、現実は大手報道機関や気候変動会議の絶望的な主張とまったく異なる。世界は海に飲み込まれる以上の土地を海から取り戻している。オランダやベトナムのような国々は、海面が上昇している世界でも、海から陸地を手に入れることが可能なことを示している。

1980年以降、世界の海面は約100mm上昇したが、南太平洋の島国ツバルはその面積を拡大した。太平洋に浮かぶ数百の島々は、海面上昇がこの地域を脅かしているにもかかわらず、陸地面積が増加するほどの土砂を蓄積している。マーシャル諸島の一つ、ジェイ島は過去80年間で13%大きくなった。

モルディブは1990年代、海底から砂を汲み上げ、2平方kmのフルマレ島の建設を始めた。その後、島の面積は倍増し、人口5万人の同国で4番目に大きな島となった。この20年間のモルディブの島々の変化は驚くべきもので、海面上昇で浸水されるがままにせず、人間の創意工夫で海から土地を取り戻した。

太平洋とインド洋に浮かぶ海抜の低い島々を対象にしたある学術調査によれば、過去数十年間、環礁の島々は、海面上昇に直面して物理的に不安定になる兆候を広く示すことはなかった。30の環礁(709の島々を含む)のデータを再分析した結果、どの環礁も陸地面積を失っていないことが明らかになった。

BBCの番組では、手に負えない海に面する地球上の他の場所(オランダなど)と同様に、「モルディブで干拓は生活の一部となった」と報じている。人間は気候変動を受け身で眺めるだけの存在ではなく、進んで守りを強化し、環境をつくり、本来は優しくない自然を手なずける。

静的なモデルでは、海抜の低い島々は海面上昇の影響を受けやすいため、気候変動の脅威に最もさらされる地域と言えるかもしれない。しかしその分、そこに住む人々は現実を直視し、自分たちの生活や住まいに対する予測可能な脅威に対し、現実的に対処しようとする。

解決策は完璧ではない。干拓は海の生態系を破壊するかもしれないし、環礁の島々は大きくなっても、海面上昇で淡水資源や衛生環境が脅かされている。しかし、これらの問題は解決可能であり、盛んに喧伝される滅亡シナリオほど悲惨なものではない。

(次より抄訳)
Are Low-Lying Islands Helpless in the Face of Sea Level Rise? - HumanProgress [LINK]

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