2022-06-07

資本主義は人種差別ではない。資本主義は人種差別を弱める

研究者、リプトン・マシューズ
(2022年5月31日)

反資本主義の知識人は、人種差別が資本主義のDNAに染みついていると考える。資本主義がマイノリティーに罰を与えるという物語を補強するために、専門職における人種格差を持ち出す。格差が人種差別だという主張は一般的になっているが、問題はもっと複雑だ。

人種差別は資本主義に染みついているわけではないが、企業は競争力を維持するために差別をしなければならない。正しい能力に報いることができなければ、競争は維持できない。差別は正当な政策であり、非市場的な理由で行われる場合にのみ、不愉快になるのである。消費者だって日常的に差別をしている。

親が自分の子供を優秀な教育者のいる学校に通わせたいというのは、劣った学校を拒否していることになるので、一種の差別と言える。独学で学んだ労働者よりも正規の教育を受けた労働者を雇うことを好むのも差別だ。このような差別をしなければ、代償として自分のビジネスと幸福を損ねることになる。

ウェルズ・ファーゴのチャールズ・シャーフCEOは最近、マイノリティーの有能な人材が不足しているため、多様性目標を達成できないかもしれないと見解を示し、非難された。あるマイノリティー集団の知的業績が貧弱で、エリートの仲間入りができないとしたら、それはその集団が解決すべき問題だ。

人種資本主義を否定する最も鋭い証拠は、人種差別が激しかった時代に、黒人労働者が好まれたことである。資本主義が人種で人を判断するのであれば、人種差別が許される環境では、人種差別主義者は黒人との取引を控えるはずである。しかし奴隷制の歴史を調べてみると、そうはなっていない。

起業家の原動力は金銭である。たとえ人種差別主義者でも、富を蓄積しなければならないという圧力から、黒人を雇う。奴隷農園の管理人は下級職員を監督し、奴隷を訓練し、農園主に報告した。管理人はプランテーション経営に精通した人材でなければ成功しないため、農園主は高い知性を持つ人材を選んだ。

無能な白人に農園の管理を任せれば、農園主は損をする。そこで積極的に黒人を雇った。18世紀には農園経営以外でも、奴隷労働者は白人をしのぐ高い能力を発揮した。バルバドスのブリッジタウンでは、自由労働者である黒人が熟練労働者の市場を支配し、白人の職人が割を食うほどだった。

イデオロギー的な立場とは関係なく、雇用主は劣った代替品よりも質の高い労働力を好むものだ。人種差別が容認された時代でさえ、人種差別主義者の農園主は無能な白人より有能な黒人を選び、競争相手を悔しがらせた。人種差別が批判される現代の雇用主が、人種を理由に従業員を差別するはずがない。

問題は単純で、一部のマイノリティー集団は人的資本のレベルが低いために、白人と同等になることができないのだ。学力格差を是正できるのは、遅れているグループとその指導者だけである。人種資本主義の怪しげな理論に固執すれば、価値ある目標の達成から目をそらすことになる。

(次より抄訳)
Capitalism Is Not Racist; Capitalism Undermines Racism | Mises Wire [LINK]

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