Is Everything Contained in the Private Credit Market? | Economic Prism [LINK]
【海外記事より】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は先日、プライベート・クレジット市場の問題について、銀行システムとの関連性は見られず、他の市場へ混乱が波及する恐れはないとの見解を示しました。しかし、この記事の著者であるMNゴードン氏は、その楽観的な見方に疑問を投げかけています。プライベート・クレジットとは、銀行を介さずに企業へ直接融資を行う非公開の債権市場のことですが、長らく低金利が続いた時期に、富裕層や機関投資家が少しでも高い利回りを求めて資金を投じてきました。ところが現在、この市場の出口が事実上閉ざされるという事態が起きています。
大手運用会社であるモルガン・スタンレーやブラックロック、アポロ、ブルー・アウルといった企業のファンドでは、投資家からの解約請求が相次いでいますが、多くのファンドが償還に制限をかける「ゲート」を設けています。投資家が資産の10%以上の払い戻しを求めても、実際に支払われるのはその半分以下であったり、中には払い戻し自体を一時停止したりするケースも出ています。世界最大のオルタナティブ資産運用会社であるブラックストーンにいたっては、取り付け騒ぎを防ぐために4億ドルの自己資金を注入せざるを得ない状況に陥りました。これは、かつて「リスクが低く、利回りが高い」と宣伝されていたこの市場の流動性が、一夜にして蒸発してしまったことを物語っています。
苦境の原因は、過剰なレバレッジと金利の上昇にあります。2025年のデータによれば、米国のプライベート・クレジットのデフォルト率は9.2%に達しました。これは歴史的な平均値である2%から3.5%を大幅に上回り、1998年の通貨危機や2020年のパンデミック時の水準さえ超えています。特に変動金利で融資を受けていた中堅企業は、金利上昇によって利払い負担が倍増し、経営を圧迫されています。さらに、AIによる技術革新が特定のソフトウェア企業の価値を損なわせていることも、融資側にとっては大きな打撃となっています。
懸念されるのは、この問題が投資家以外にも及ぶ可能性です。格付け会社のムーディーズによれば、米国の銀行によるプライベート・クレジットへの融資露出は約3000億ドルに上ります。また、著名な投資家であるスティーブ・アイスマン氏は、保険業界がこの市場に深く関与していることを指摘し、不透明なオフショア子会社を利用した債務の付け替えが行われている可能性を警告しています。パウエル議長は「限定的である」と述べていますが、2007年に当時のバーナンキ議長がサブプライムローン問題を「限定的」と評した直後にリーマン・ショックが起きた歴史を忘れてはなりません。現実にJPモルガンなどの大手銀行は、プライベート・クレジットの担保評価を引き下げ始めており、当局の言葉とは裏腹に、金融システムへの火種は確実にくすぶり続けていると言えるでしょう。
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