2024-11-08

ロスバードとイスラエル・パレスチナ紛争

音楽家、オスカー・グラウ
(2024年10月26日)

リバタリアン思想家ロスバードの考えでは、国家とは国民の私有財産という正当な権利を侵す犯罪組織である。物理的強制力(課税)によって収入を獲得し、一定の領土に対する強制力を独占し最終意思決定権を握る。ゆえにロスバードのリバタリアニズムに公正な国家は存在しない。
イスラエルは、パレスチナ難民は武力によってではなく、アラブの指導者が引き起こした混乱によって追い出されたと主張したが、ロスバードが指摘したように、イスラエルが難民を帰還させ、奪われた財産を取り戻すことを断固として拒否していることは誰もが認めるところだ。

現在、イスラエル国家は国境を定めず、領土の独占を拡大し、国土のほぼすべての所有権を維持している。この征服の背後にあり、今も続いている政治運動がシオニズムである。

自由主義者は、戦争におけるいかなる側をも免責すべきではないし、犯罪に関与したどちらの側の個人も免責すべきではない。しかし戦争とその結果に対する非難でさえ、平等に分かち合うことはできないというのが真実である。イスラエルとパレスチナの紛争も例外ではない。

ロスバードがいうように、事実上すべての戦争において、一方は他方よりはるかに罪が重く、侵略や征服への意欲などの基本的な責任は一方にある。しかし、どの戦争でも、どちらの側に罪があるのかを知るためには、その紛争の歴史について深く知る必要がある。

侵略の基本的な責任はイスラエル側にある。ロスバードが書いたように、イスラエルは中東における侵略者である。イスラエルは1948年以来、中東で行われてきた破壊と数え切れないほどの不正義のほとんどを犯している。

さらに、イスラエルとパレスチナの紛争は、近隣のアラブ諸国がイスラエルに対する戦争に巻き込まれたことを除けば、国家間の紛争ではなかった。この事実がすべての責任の所在を明確にしている。

イスラエル国家は、単純だがいくつかの特殊な要因のおかげで、その罪をぼやかすことに成功した。その第一の要因は、宗教的な国家としての地位に関係している。多くの人々が国家という制度に反対しているわけではないし、宗教的な合理化に惹かれる人々も多いからだ。

リバタリアニズムは、イスラエルに抵抗するパレスチナ人の正義を認める。真の平和が訪れるのは、イスラエルがパレスチナ人を再び流入させ、正当な財産を取り戻すことを許可したときだけだろう。イスラエルは排他主義的なシオニストの理想を放棄しなければならない。

国境を接する国家の存在は膨張主義を打ち消す。課税と最終意思決定権を同じ領土で独占する2つの国家は存在しえないからだ。イスラエルは無防備な民族を追放・消滅させ続けることができる以上、拡大主義を制限するパレスチナ国家の創設(ニ国家解決)を許すはずがない。

国家ができるだけ公正であろうとするならば、公正なイスラエルとは、シオニズムのない国家でなければならない。シオニズムはいまだにイスラエルを牛耳っており、ロスバードがシオニズム国家によって起こると警告したような虐殺と恐怖は、間違いなく続いているからである。

(次を抄訳)
Rothbard and the Israeli-Palestinian Conflict | Mises Institute [LINK]

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