2024-11-06

大統領職は自由の最大の脅威

ミーゼス研究所創設者・会長、ルーウェリン・ロックウェル
(2024年8月30日)

大統領職は打ち壊さなければならない。根本の悪であり、ほとんどすべての苦難の原因である。国富を浪費し、何の害も及ぼさない外国人に対して不当な戦争を始める。家族を崩壊させ、権利を踏みにじり、地域社会を侵略し、銀行口座をスパイする。文化を退廃とゴミにゆがめる。
大統領職、つまり行政府は米国の専制政治の総体である。大統領に任命された最高裁判所を含む他の政府機関は、単なる付属物にすぎない。大統領職は我々の労働生産物を奪い、経済的破滅に追い込む一方で、自らの命令に完全に献身し、謙虚に服従することを主張する。

米大統領職は世界一の悪である。アフガニスタン、イラク、セルビア、リビア、シリアを見れば、その引き起こした弊害がわかるだろう。これらは無意味な戦争で罪のない人々の命が奪われた場所であり、爆撃が民間インフラを破壊し、病気を引き起こすように計画された場所である。

今日、米大統領は世界で唯一の超大国、「世界になくてはならない国」の指導者と呼ばれる。しかしこの称号を持ち出すことで、政府は我々の関心を外交問題に集中させようとしている。それは、ここ米国で圧政を敷いていることに気づかせないための陽動作戦なのだ。

大統領職は大きな権力を持つようになるにつれ、説明責任を果たさなくなり、専制的になっていく。最近我々が「連邦政府」と言うとき、本当に意味しているのは大統領府である。「国家の優先事項」と言うとき、本当に意味しているのは大統領府の望みである。

大統領職はルソーの一般意志を体現したものであり、前近代社会の君主や国家元首よりもはるかに大きな権力を持つとみなされている。米大統領職は世界最大かつ最強の政府の頂点であり、そのため自由の対極にある。古来からの権利を取り戻すという我々の目標の前に立ちはだかる。

ホワイトハウスの特定の住人のことを言っているのではない。ホワイトハウスという組織そのものと、その従者である、選挙で選ばれたわけでもない多数の官僚について言っているのだ。我々が連邦と考えるものは、議会図書館を除けば、実質すべて行政府の庇護の下で運営されている。

統治エリート、とりわけ外交エリートは、大統領職に対する国民の尊敬を維持しようと躍起になり、神聖なオーラを与えようとする。ウォーターゲート事件の後、彼らは自分たちがやり過ぎて、民主的独裁政治の信用を失墜させてしまったのではと心配した。ある程度はそうなった。

しかしエリートたちは愚かではなかった。ウォーターゲート事件は大統領職に関するものではなく、ニクソンという人間に関するものだと慎重に主張した。二つを切り離すために、ニクソンに焦点を当て続け、悪魔に仕立て上げ、私生活の詳細や母親との問題などに興じた。

トランプにも同様の戦術が用いられている。トランプ大統領がまた誕生すれば、民主主義が終わり、自由が破壊されるという。もし本当なら、大統領の権限が強すぎるということだ。しかし統治エリートは決してそれを認めようとしない。問題はトランプという男にあると主張する。

この戦術はかつてのようには通用しない。今では大統領に正直さや誠実さ、良識を期待する有権者はほとんどいない。支持する候補者が他よりもひどくないよう期待して投票する。行政権が野放しの現体制で、それ以上のことは期待できないことを知っている。これは公民科の初歩だ。

(次を抄訳)
The Presidency Is the Greatest Threat to Our Freedoms | Mises Institute [LINK]

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