2022-12-27

戦争福祉国家の巨大予算

元米下院議員、ロン・ポール
(2022年12月26日)

クリスマスに政府機関の閉鎖を望んでいた人々は、議会が4000ページ、1兆7000億ドルの一括予算法案を可決したとき、再び失望させられた。共和党の指導者はこの肥大化した怪物を称賛した。なぜなら戦争に8580億ドルを費やす一方で、福祉には7725億ドルしか使わないからである。

共和党が福祉よりも戦争に力を入れるからといって、民主党が戦争国家に反対しているとは誰も思わないはずだ。バイデン大統領と民主党が支配する議会の下で、「防衛」支出は過去2年間で4.3%増加している。同様に、近年のすべての共和党大統領(少なくとも任期の一部で共和党が議会を支配していた2人を含む)は、福祉国家への支出を大幅に増やすことを支持している。それぞれの党の支持者層をなだめるために、ほとんどの民主党員は戦争に反対するふりをし、ほとんどの共和党員は福祉に反対するふりをするだけである。

一括法案では、ウクライナに445億ドルもの予算を計上している。これはウクライナの軍事費に対する米国の総支出を1000億ドル以上にするもので、ロシアの軍事費全体の約50%以上にあたる。この資金は、米国の安全保障に影響を与えない紛争に費やされているが、この紛争は米国が以前この地域に干渉していなければ、おそらく発生しなかっただろう。

一括法案は連邦捜査局(FBI)に113億ドルを提供し、5億6960万ドルの増加、大統領の要請を5億2400万億ドル上回った。民主党指導部によると、この資金増額は、FBIが「過激派の暴力や国内のテロリスト」とよりよく闘えるようにするためのものだという。

最近、ツイッター関係者とFBIの間で交わされた電子メールが公開され、FBIが「過激派」と戦う適切な方法と考えていることが一般に知られるようになった。これらのメモによると、FBIはツイッターと、そしてほぼ間違いなく他のソーシャルメディア企業と協力して、(大統領の息子)ハンター・バイデン氏のノートパソコンのような特定のストーリーや、マスク着用、ロックダウン(都市封鎖)、ワクチンの義務付けに関する懐疑的な意見などを抑圧していた。このような「要請」を実行する費用をツイッター社に返済するために、納税者の資金を使用することさえあった。政府当局が民間企業と協力して米国市民を黙らせることは、明らかに合衆国憲法修正第1条(言論の自由)に違反する。

FBIが米国市民の憲法上の権利を侵害するのは、今回が初めてではない。実際、FBIは創設以来、マーティン・ルーサー・キング牧師のような政治活動家や指導者を標的にしてきた。活動家らの主張がFBIの腐敗した指導者によって「極端」または「危険」とみなされたからだ。政治信条を理由に米国人を標的にする権力のある国家警察という考えは、憲法の起草者たちを恐怖に陥れたことだろう。連邦政府は海賊行為、通貨偽造、反逆の場合を除き、刑法に関する憲法上の権限を持たない。リバタリアン(自由主義者)、護憲派、市民の自由を重視する左派の人々は、FBIの資金を削減するために協力するべきだ。

2022会計年度の一括予算法案は、政府を拡大し、自由を削減し、政府の負債を増やし、連邦準備理事会(FRB)にさらなる財政ファイナンスを強要し、さらなる物価高騰を引き起こす。米国の政治エリートは、FRBの破壊的な金融政策のような米国民が直面する問題への対処よりも、海外での軍国主義や国内での権威主義を優先している。これは政治体制に対する不満の増大に拍車をかけるだろう。経済が悪化し続け、世界を動かそうとする試みが失敗し続けるなかで、この不満は、福祉戦争体制が崩壊し、うまくいけば自由と平和と繁栄の新たな時代が幕を開けるまで、高まるだろう。

(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Omnibus shows Congress’s Priorities: Authoritarianism and War [LINK]

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