2022-10-31

戦争屋の圧力に屈した民主党左派

ジャーナリスト、ケイトリン・ジョンストン
(2022年10月26日)

米議会進歩派議員連盟は、バイデン大統領に宛てた、きわめておとなしく歯切れの悪い書簡を撤回した。ウクライナ紛争を終わらせるために、ちょっとした外交活動を検討するよう丁重に求めたものだ。公認の帝国主義路線からわずかに外れたため公の場で怒りが殺到し、撤回されたのである。

アレクサンドリア・オカシオコルテス、イルハン・オマル、アヤンナ・プレスリー、ラシダ・タリーブ、ジャマール・ボウマン、ロー・カンナら下院の左派議員が署名した元の手紙を実際読んでみると、言葉は並んでいるものの、どんな声明よりも無害で無節操であることがすぐにわかる。冒頭でバイデンのウクライナ介入政策を絶賛し、ロシア政府を終始あからさまに非難し、提案内容はすこぶる控えめだ。「米国がウクライナに提供してきた軍事・経済支援と前向きな外交支援を組み合わせ、停戦の現実的枠組みを模索する努力を倍加する」という。明確に支持されているのは、そのような外交があらゆる段階でウクライナにとって納得のいくものであることだ。

この役立たずな代物は、バイデンに「ウクライナ戦争の戦略を劇的に変える」よう求めていると、ワシントン・ポスト紙によって奇怪にも喧伝された。本文のどこにも、「劇的」と解釈されるようなものはないにもかかわらずだ。手紙はナンシー・ペロシ下院議長ら両党の戦争屋から反感を買った。米国左翼の法王バーニー・サンダースは個人的に手紙を非難した。ネット荒らしや戦争屋は、公式の場でこの手紙を掲載したすべてのソーシャルメディアの通知に群がり、「宥和」や「チェンバレン」(ヒトラーに妥協し宥和外交を行ったと批判された英首相)という言葉を考えもなしに一斉に叫んだのである。

進歩派議連のプラミラ・ジャヤパル会長は、手紙の撤回に関する声明の中で、和平をあおる書簡の公表という問題行為の責任を認めると同時に、公表をスタッフのせいにした。

「この手紙は数カ月前に起草されたが、残念ながら審査なしでスタッフによって発表された。議連の会長として、この責任を負う」とジャヤパル氏は述べた。

「あらゆる戦争を終わらせるのは外交であり、この戦争もウクライナの勝利の後に終わるだろう」と声明にはあり、米当局がこの戦争でウクライナが完全に勝利する見込みはないとひそかに考えているという主流の報道を無視した。「昨日送られた書簡は、その基本原則を再確認するものではあるが、ウクライナによる国家主権の正当な防衛を支援することに対する共和党の反対と混同されてしまっている。この時期に混乱を招くものであり、書簡を撤回する」

アメリカ帝国を批判する人々は、撤回が卑屈なものだとただちに強調した。

「左派にとって、米国が挑発し、長引かせ、その過程で武器メーカーに何十億ドルも手渡した悲惨な代理戦争に賛成票を投じるより哀れなことはない。外交を求める生ぬるい呼びかけを撤回し、それをスタッフのせいにすることで、彼らはなんとかその場をしのいだ」とアーロン・マテ(ジャーナリスト)はツイートした。

「間違いなくワシントンの非常識なタカ派の雰囲気を物語っている。核兵器による破滅にエスカレートする危険のある紛争で、まったく合理的で責任ある必要な外交の呼びかけを撤回するよう、進歩派議員連盟に圧力をかけたのだから」とラニア・カレック(同)はツイートしている。

「体制に挑戦するという公約に基づいて議員に選ばれたのに、超党派のワシントンの権力者からの怒りにおびえ、表明して24時間もしないうちに、ほんの温和な反対意見をおとなしく撤回するとは」とグレン・グリーンウォルド(同)のツイート。

もう少し外交的にという弱々しい主張を進歩派議連が撤回したのは、どんな圧力が決め手になったのか、その圧力のどれだけが、中央政界の沼に住む大きな政治的怪物によって舞台裏でもたらされたのかはわからない、結局それはどうでもいい。この教訓から得られる重要なことは、繰り返すが、民主党左派は寡頭政治と帝国の仕組みに反対するうえで無価値に等しいということだ。

実際彼らの行動を見れば、党の他の集団と意味のある違いがある派閥であるかのように「民主党左派」と表現するのは、正確でない。医療や債務免除に関し時折発する空疎な声明は別として、彼らは米国人の生活をより良くする左派の課題を解決するために何もしていないし、米国の戦争機構の拡大を防ぐために何もしていないのも間違いない。

民主党左派とは、善良な億万長者や米国の正義の戦争と同じく、神話である。「スクワッド(分隊)」(民主党左派の小派閥)は、民主党政権のソーシャルメディアに精通した支部に過ぎない。米国には戦争屋の寡頭政治政党が二つあり、その詐欺に等しい政治機構に心を支配させ続けるように、大規模なナラティブ(物語)操作を行い、米国人を操作し、おだて、強要している。

同時期にルーマニアの国防相が、ウクライナの平和を達成するには和平交渉が必要だと発言して辞任に追い込まれた。これらは私たちの現在と未来について、多くを明らかにしているにすぎない。この社会で最も轟々たる非難を浴びるのは、核超大国間の対立を外交で緩和するよう試みようという主張だ。「オバートンの窓」(多くの人に尊重すべきのものとして受け入れられる政治的な考えの範囲)が、すでに戦争狂の方向に引きずられてしまっているため、平和が割り込む余地はないのである。

(次を全訳)
Worthless House Progressives Retract Mild Peace Advocacy Under Pressure From Warmongers [LINK]

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