2022-06-30

国連は貧困を減らす真の方法をなぜ言わないのか?

ケイトー研究所政策アナリスト、チェルシー・フォレット
(2017年10月27日)

国連によれば、1999年に17億人だった貧困人口は2013年には7億6700万人に減少し、世界の貧困率は1999年の28%から2013年には11%に低下した。最も大きな進展が見られたのは東・南東アジアで、1999年の35%から2013年には3%に低下した。

残念ながら、国連はその進歩の源を誤解しているようだ。貧困が著しく減少したのは、政府の行動とトップダウンの技術者主導のプログラムのおかげだと主張している。例えばタンザニア政府は、食糧貧困ライン以下で暮らす人々に手を差し伸べるため、現行の国家プログラムである社会安全網の大規模な見直しに着手したという。

タンザニアは貧困減少で目覚しい前進を遂げたが、それは貧困層向けに政府食糧に対するの支出が増えたからではない。実際、タンザニア政府は現在、過去に比べて再分配をはるかに減らしている。過去の再分配政策が、最貧困層のタンザニア人に飢餓に近い状態をもたらしたのである。

世界銀行によると、2011年にタンザニアで極度の貧困状態にある国民は半分弱に減った。2000年には86%だった。

その真の原因は、経済的自由である。タンザニアは独裁者ニエレレが1985年に退陣して以来、社会主義の「ウジャマー(友愛)」経済政策を徐々に解体してきた。ニエレレは社会主義に対する真摯な信念、比較的少ない汚職、他の多くの独裁者と違い自国民を意図して虐殺しないことなどから、先進国の左派知識人から広く賞賛されていた。

ニエレレは1980年代までに、厳しい食糧不足、農業・工業生産の崩壊、交通インフラの悪化、経済危機をもたらすような政策を打ち出した。また自らの権威を固め、甚大な損害をもたらす政策に関する議論を防ぐために、反対政党を禁止した。

ニエレレ後のタンザニアは、物価統制の撤廃、貿易の自由化、民間企業への参入の自由化によって、経済成長率を加速させることに成功した。

ニエレレが悲惨な計画にもかかわらず、これほど長く権力を維持できたのは、何十億ドルもの支援金のおかげである。世界銀行は良心も常識もなく、ニエレレの残忍なウジャマー計画を直接支援した。

政府による援助は市場主導の開発に比べて効果がないだけでなく、しばしば貧困層の財産権や制度改革の必要性を無視する。援助資金を受けた独裁者の例としては、ウガンダのアミン、エチオピアのメンギスツ、ザイール(現コンゴ民主共和国)のモブツ、さらには悪名高いカンボジアの残忍なポル・ポトらがいる。

支援金はしばしば独裁政権を支え、独裁政権は国有化によって国民の農地を奪うといった有害な政策を追求する。タンザニアがそうだった。何十億ドルもの海外援助を受けながら、社会主義政府は何百もの農場を国有化し、農業生産を減らし、大規模な食糧不足を招いたのだった。

貿易障壁の縮小は、政府プログラムの設計を助ける技術官僚や支援金を送るよりも、貧しい人々の生活の質を高めるうえではるかに効果的だ。貧困撲滅に真剣に取り組むなら、各国は経済的自由を追求する政策をとるべきだ。なぜなら貧困と戦うのは究極的には国ではなく、過剰な規制から解放され、国際貿易に参加できる個人だからだ。

(次より抄訳)
Why Won't the UN Say What Really Reduces Poverty? - HumanProgress [LINK]

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