2022-06-28

グレート・リセットとは何か? 望み薄い経済とバイオテクノ封建制

元ニューヨーク大学教授、マイケル・レクテンワルド
(2020年12月16日)

世界経済フォーラム(WEF)の創設者兼会長クラウス・シュワブ氏は著書『グレート・リセット』で、コロナ危機は「経済をより公平で環境にやさしい形に生まれ変わらせる制度の変更や、その方向に向かって加速できるようにする政策を選択するチャンス」としてとらえるべきだと書いている。同氏は長年にわたりグレート・リセットを推進してきたが、コロナ危機はついにそれを実現する口実になったのである。シュワブ氏によれば、アフターコロナの世界システムが以前のような運営形態に戻ると期待すべきではない。むしろ新しい常態を生み出すために、連動・相互依存する領域で変化が起こるだろう、あるいは起こるべきだと示唆する。

グレート・リセットとは、所得と炭素使用量の削減を意味する。しかしシュワブ氏やWEFは、経済、金融、技術、医療、ゲノム、環境、軍事、統治制度の融合という観点からも、グレート・リセットを定義している。同氏によれば、グレート・リセットはこれら各領域における大きな変革を伴うものであり、それは我々の世界を変えるだけでなく、「人間であることの意味を問い直す」きっかけになるものである。

グレート・リセットは、経済・金融政策面では、富の集約とユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)の導入、デジタル通貨への移行、銀行業と銀行口座の一元化、即時リアルタイム課税、マイナス金利、支出・債務の集中監視・統制などが想定される。

グレート・リセットは、必然性を口実とした組織的なプロパガンダキャンペーンにすぎない。企業の「ステークホルダー」と政府に世界経済フォーラムの望みを採用させるようとする陰謀の試み、あるいは社会経済計画者の「希望的観測」である。

世界経済フォーラムは政策パッケージを売り込むために、「経済の平等」「公正」「包摂」「運命の共有」といった焼き直しのレトリックを動員している。こうしたフレーズは全体として、企業社会主義という構想の集団主義的、社会主義的な政治・思想的要素を表している(経済的社会主義は決して実現できないので、それはつねに政治的、思想的なものでしかない)。

世界経済フォーラムが想定するのは、社会経済計画者と企業の「ステークホルダー」が舵を取り、人類の大部分がその言いなりになる、バイオテクノロジー封建制の世界秩序だと言えば十分だろう。計画者たちは、人類の大部分は完全に抹殺されないまでも、個人の自律が大幅に抑制され、望みの乏しい経済停滞の下で暮らすことになると考えているのだろう。このような計画者は独裁主義者であり、個人の計画を自分たちの中央集権的な計画に取って代えようと考えている。このような計画は、実行すれば破綻するだろうが、それでもその採用には代償が必要だろう。

(次より抄訳)
What Is the Great Reset? Part I: Reduced Expectations and Bio-techno-feudalism | Mises Wire [LINK]

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