2022-06-09

中央銀行を尊重するな、廃止せよ

元米下院議員、ロン・ポール
(2022年6月6日)

バイデン米大統領はインフレと戦うために、あるいは少なくとも戦っていると人々に思わせるために、三つの柱からなる計画を発表した。その一つは、サプライチェーンの問題を政府機関に「解決」させることだ。そもそも政府の介入で引き起こされた問題を政府が解決しようとしても、新たな問題を引き起こす。

もう一つの柱は財政赤字の削減だが、バイデンは福祉や戦時支出の削減を提案していない。その代わり「歳入を増やすための税制改革」から成っており、これは増税を意味する政治家用語だ。歴史が示すように、支出削減を伴わない増税は結局、赤字を増やす。

バイデン大統領のインフレ対策で最重要な最後の柱は、連邦準備理事会(FRB)が「インフレをコントロールする第一の責任を負う」と認識することだ。意地悪なツイートで「FRBの品位を汚した」トランプ前大統領と異なり、「FRBの独立性を尊重する」と公約している。

バイデンほど長く政界にいる人物が、FRBの金融政策に影響を与えようとした最初の大統領はトランプだと本気で思っているとは信じがたい。FRB創設以来、大統領は公的・私的な圧力を使ってFRBを「説得」し、政策や政治目標を推進するために金融政策を仕立ててきた。

FRBの「品位を汚した」点では、トランプはリンドン・ジョンソンに及ばない。ジョンソンは、「偉大な社会」政策とベトナム戦争の資金調達に合わせた金融政策をFRBが拒否したことにいらだち、(マーティン)FRB議長を壁に投げつけた。

バイデンはインフレの責任逃れをすることで、中間選挙前に自分と民主党から非難をそらすよう望んでいるのは間違いない。これまでインフレのスケープゴートとしてきた強欲な企業やプーチン露大統領とは異なり、FRBは実際にインフレの発生や管理に責任を負っている。

経済の特定部門における物価上昇は様々な要因によって引き起こされるかもしれないが、経済全体の物価上昇はつねにFRBの金融緩和政策の結果である。インフレ(貨幣膨張)とは本当のところ、中央銀行による貨幣の創造行為である。広範な物価上昇はインフレの原因ではなく、症状である。

前FRB議長のイエレン財務長官とパウエル現議長は、インフレを「一過性」と公言したのは誤りだったと認めている。この失態は、秘密主義の中央銀行に金融政策を任せる愚かしさを示している。バイデン大統領は「FRBの独立性を尊重する」のではなく、議会と協力してFRBを監査し、廃止するべきだ。

(次より抄訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Respect the Fed? No, End the Fed [LINK]

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