2022-05-03

ウクライナはツイッターでは勝っているが、現実の世界ではドンバスの戦いに負けている

ウクライナが地上で勝利を収めたという主張は、せいぜいキエフとワシントンの希望的観測にすぎない

元国連兵器査察官、スコット・リッター(2022年5月1日)

ブリンケン米国務長官、オースティン同国防長官、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は、ロシアがウクライナでの戦争で敗北しつつあるという楽観論をともに受け入れている。しかし、このシナリオは単なる希望的観測にすぎない。

ウクライナとその西側支援者(政府とメディア)が整然と繰り広げるプロパガンダ作戦と、戦略目標や目的はもちろん、地上での日々の戦闘の詳細にも深入りしようとしないロシアの広報活動とは対照的だ。その結果、二つの物語が不均衡に対立し、最後は認識が現実に取って代わる情報戦が起こっている。

「キエフの戦い」は、認識と現実の違いを端的に示す例だ。ウクライナの立場は、自軍がキエフへの進入路でロシア軍に完勝し、撤退を余儀なくさせただけでなく、ロシアの「特別軍事作戦」の目標を狂わせたというものだ。この見方は西側の従順なメディアや、政治・軍事指導者によって受け入れられてきた。

だが現実には、ロシアの「フェーズ 1」 作戦はウクライナ軍に致命的ともいえる損害を与え、数万人の兵士を殺傷し、ウクライナの重火器、すなわち大砲、戦車、装甲戦闘車両の大部分を破壊してしまったのである。ウクライナが欧米に戦車、装甲車、大砲の補給を要求したのは、在庫を使い果たしたからだ。

ロシア軍の目的の一つは、燃料・弾薬の貯蔵施設を破壊し、指揮統制を弱めることだった。その結果、ウクライナはキエフを守り抜いたものの、戦闘力全体では大きな犠牲を払った。ロシアは休息や再武装、転戦の時間を得たが、ウクライナ軍はロシアの空爆と精密誘導巡航ミサイルなどによる砲撃にさらされ続けた。

マリウポリの戦いも、認識と現実がぶつかり合った例である。ウクライナからすれば、英雄的な戦闘員集団がここを死守することで、数万のロシア軍を縛り付けている。このまま抵抗を続ければ、5月9日の対独戦勝記念日の前にロシアが勝利を宣言することができなくなり、大きなプロパガンダ効果がある。

しかしロシアはすでにマリウポリでの勝利を宣言している。アゾフスタル製鉄所の地下シェルターに数千人の防衛隊が残っていることは認めるが、軍事的に何の意味もないという。プーチン大統領は、ロシア軍を犠牲にしてウクライナ軍を地下から追い出すのではなく、施設を封鎖し、待ち受けるよう指示した。

製鉄所にウクライナ人がいることは、同国のプロパガンダ的な勝利を意味する。しかし現実にはマリウポリはロシアに陥落した。おそらく数千人の民間人を伴ったウクライナの防衛隊が食糧の減少で衰弱する間、市民は町の再建に着手している。ロシアの陸橋は無傷で、ドンバスへの攻勢は滞りなく進んでいる。

ドンバスとウクライナ東部をめぐる戦いは、ほとんど終わったも同然だ。これが厳しい現実であり、ゼレンスキー大統領や彼の米国のパートナーがいくら希望的観測や認識操作をしたところで、それを変えることはできない。

(次より抄訳)
Ukraine is winning the battle on Twitter, but in the real world Kiev is losing the fight for the Donbass — RT Russia & Former Soviet Union [LINK]

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