2022-05-23

パレスチナ系米国人記者殺害、バイデン政権の対応は再発を助長

イスラエルが自国兵士の行動を公平に調査する可能性は小さい

ジャーナリスト、ロバート・インラケシュ
(2022年5月22日)

パレスチナ系米国人ジャーナリスト、シリン・アブアクラ氏の死は、海外でのジャーナリスト保護に対する米政府の取り組みに転機をもたらすはずだった。しかし同盟国(イスラエル)に責任があるとすれば、問題である。

アブアクラ氏殺害に対するイスラエルの調査が行われるかどうかさえ疑問視されている現状では、イスラエルが公正な調査を行うことを信頼できるという米政府の主張は、ますます信用できないものに思える。実際、イスラエルの過去の行動は、正反対であることを示している。

イスラエルが、「報道」と書かれたベストを着てはっきり見分けのつくジャーナリストを射殺したのは、2018年4月、ガザ地区での非暴力の大規模デモ中に狙撃手に殺害された、30歳のヤセル・ムルタジャ氏以来だ。

「ムルタジャ氏は民間人で、イスラエルとの境界のガザ地区フェンスでのデモを撮影中、はっきりした記者証をつけていたジャーナリストである。平和的に抗議する民間人を記録するため、そこにいた」。ノルウェー難民評議会はこう述べており、その見解は後の国連の人権報告書にも反映されている。

イスラエル当局は、ムルタジャ氏を殺害した自国兵士を捜査する代わりに、被害者がイスラエル兵士の頭上でドローンを操作していたと主張し始め、この若いジャーナリストをテロリストと決めつけようとした。

イスラエルはムルタジャ氏殺害について兵士を起訴しなかっただけでなく、2018年から19年にかけての「帰還大行進」デモの際、他の2人のジャーナリストを含む300人以上のパレスチナ人を殺害したことについて、1人の兵士も起訴されなかった。

2016年、ヨルダン川西岸の都市アルハリルで、イスラエル兵のエロル・アザリアがパレスチナ人男性を殺害する事件が起きた。殺害の動画が出回り、アザリアは2018年に18カ月の実刑判決を受けたが、後に4カ月に短縮された。イスラエル兵がパレスチナ人殺害で実刑判決を受けたのは、これが最後だ。

金曜日(5月20日)のアブアクラ氏の葬儀では、イスラエル軍が喪主や列席者を攻撃し、後にパレスチナ人から石や瓶を投げつけられたと主張した。その後、葬儀の映像に対し警察による加工や編集が行われたと指摘されている。

イスラエルがアブアクラ氏殺害について独自調査を行ったとしても、公平な結果が得られる可能性は低い。イスラエル兵はたとえ有罪とされても、法の及ぶ最大限まで訴追されることはないだろう。人権団体ベツレムは、イスラエル国防軍や警察への告発を無駄な努力と考え、もはや行っていないほどだ。

バイデン米政権はアブアクラ氏殺害で国際的な調査を求めず、また自らも調査を開始しないことで、イスラエルに対し、パレスチナ占領地での米国人ジャーナリスト殺害に関与した者に説明責任はないという明白なメッセージを送っている。

(次より抄訳)
Biden’s response to the killing of Palestinian-American journalist encourages more of the same — RT World News [LINK]

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