2022-05-19

米国防総省の出資するシンクタンク、テレビで米中戦争をシミュレーション

ジャーナリスト、ケイトリン・ジョンストン
(2022年5月16日)

米NBCテレビの番組「ミート・ザ・プレス」は、新アメリカ安全保障センター(CNAS)が米中戦争を想定した戦争ゲームを行う、異常なコーナーを放送した。CNASは国防総省、軍需産業ノースロップ・グラマン、レイセオン、ロッキード、事実上の在米台湾大使館である台北経済文化代表処から資金を提供されている。

戦争ゲームは、2027年の台湾をめぐる紛争を模し、中国が台湾侵攻の道を開くため米軍への攻撃を開始するという設定だ。米中戦争が起こる時期について、なぜ視聴者に特定の年を刷り込む必要があるのか、番組では伝えない。NBCが米中戦争のシミュレーションを放送する理由も語られない。

CNASは、バイデン政権が国防総省の対中政策を練り直す作業部会のリーダーとして任命した人物の出身母体だ。そのエリー・ラトナー氏は、トランプ政権が中国に対し十分に強硬でなかったと発言した記録が残っている。同氏は現在、バイデン政権で国防次官補(インド太平洋安全保障担当)を務める。

出演したCNASの共同設立者ミシェル・フロノイ氏は一時、バイデン政権の国防長官就任が有力視された人物だ。2020年にフォーリン・アフェアーズ誌の論説で、米国は「72時間以内に南シナ海の中国の軍艦、潜水艦、商船すべてを沈めると脅せるだけの能力を備えなければならない」と主張している。

CNASのCEOであるリチャード・フォンテーヌ氏は、ロシアと中国に関するアメリカ帝国のシナリオを押し付けるマスメディアに登場する。つい先日もブルームバーグで、ウクライナでの戦争は中国に対する帝国の長期的な利益につながる可能性があると述べた。

CNASは中国とロシアに関する権威ある情報源としてマスメディアに日常的に引用されるが、戦争関係者から資金提供されていることから生じる利益相反については、まったく言及されない。

戦争関係者から資金提供を受けているシンクタンクを、金銭的な利益相反を開示することもなく専門家の分析として引用することは、ジャーナリズムとして明らかな不正行為である。しかし、よくあることだ。マスメディアはプロパガンダを流すために存在するのであって、ジャーナリズムではないからである。

マスメディアは戦争関係者のシンクタンクと公然と手を組み、米中戦争は正常なことだと国民の心に刷り込み始めた。アメリカ帝国一極支配を称賛するプロパガンダ作戦がさらに激化している。大規模な心理操作は、ますますあからさまに、ますます恥知らずになっている。

(次より抄訳)
Pentagon-Funded Think Tank Simulates War With China On NBC – Caitlin Johnstone [LINK]

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