2021-10-17

LGBTQ関係者の人種差別


米黒人スタンダップ・コメディアンのデイヴ・シャペルはまたもや、LGBTQ(性的少数者)差別に対する意識の高い人々の標的になった。彼はネットフリックスの特番『これでお開き』で、偉大なコメディアンなら誰もが期待されることをただやっただけにすぎない。すなわち、普通の人では思いつかなかったり世間を恐れたりして口に出せない真実を、ユーモラスに語ることだ。「ゲイが少数派であるのは、白人に戻らなければならないときまでだ」という発言は、無慈悲なまでに核心を突いている。シャペルはトランスジェンダー女性であるケイトリン・ジェンナー(元五輪金メダリスト、ブルース・ジェンナー)についてもジョークを飛ばした。「女性になって一年目に『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』を受賞した。生理も経験したことがないのに」。これはシャペルから見れば、白人ラッパーのエミネムが「ニガー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するようなものだという。

ジャクリーン・ムーアはトランスジェンダー女性で、ネットフリックスの反差別コメディシリーズ『親愛なる白人様』のショーランナー(制作責任者)だ。ムーアはデイヴ・シャペルの特番にネットフリックスがゴーサインを出したことにショックを受け、会社側に番組の一部削除や修正など何らかの対応を求めた。多くの人々は初めて、「反白人」と批判される『親愛なる白人様』の制作責任者が実は白人だったと知った。ムーアは社会正義を唱えておきながら、黒人であるシャペルを排除しようとしたことで、嘲笑されている。シャペル自身、特番の中でLGBT関係者による人種差別をからかっていた。

サッカーの花形選手のように、優れた黒人スタンダップ・コメディアンであるデイヴ・シャペルは「カネになる」。それも大金だ。クリス・ロック、ケヴィン・ハート、カット・ウィリアムズといった同時代人と同様、米国のアフリカ系芸人には一種の強い引力、商業的・文化的な影響力、国際的な厚いファン層がある。配信会社やプロデューサー、スポンサーも簡単に排除はできない。リチャード・プライヤー、エディ・マーフィーといった伝説の黒人芸人や、ビル・バー、ルイス・C・Kら物議を醸すとがった白人コメディアンの特番によって、ネットフリックスは少なくともコメディに関する限り、言論の自由の擁護者のような存在になりつつある。

(各記事より抜粋・要約)

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