2020-06-09

奴隷と納税者の搾取(セイ)

仏経済学者セイは植民地制度を厳しく批判した。そこで示したのは、古典的自由主義に基づく階級分析だ。一方の階級は搾取される奴隷と、植民地のコストを負担する国内の消費者・納税者。他方の階級は有力な農園主と商人で、彼らは議会を支配し、奴隷貿易などの利益を享受する。
Jean-Baptiste Say argues that home-consumers bear the brunt of the cost of maintaining overseas colonies and that they also help support the lavish lifestyles of the planter and merchant classes (1817) - Online Library of Liberty

仏経済学者セイは、奴隷制を「残酷な生産制度」と非難した。植民地の奴隷制は奴隷主にとって非常に儲かる。奴隷主が奴隷に作らせた本国への輸出品は関税で保護され、コストの多くを本国の消費者と納税者に転嫁できるからだ。奴隷は奴隷主に利益の大半を奪われ、貧困にあえぐ。
J.B. Say argues that colonial slave labor is really quite profitable for the slave owners at the expense of the slaves and the home consumers (1817) - Online Library of Liberty

英哲学者ジョン・ミラーによれば、経済の発展に伴い、前近代社会の柱が土台からぐらつき始める。それは奴隷制だ。奴隷制のような非常に古い制度でさえ、産業・経済の価値観が世界中に否応なく広がるにつれ、崩れていく。諸国が商業で豊かになるにつれ、徐々に廃止されていく。
John Millar argues that as a society becomes wealthier domestic freedom increases, even to the point where slavery is thought to be pernicious and economically inefficient (1771) - Online Library of Liberty

経済学者ミーゼスによれば、欧米の経済発展の要因は、略奪的な軍国主義の精神の抑制にある。軍国主義は伝統的にあらゆる国で富の蓄積を妨げてきた。途上国が経済発展を望むなら、軍国主義の抑制が必要だ。それが植民地支配国のものであれ、自国の左翼・右翼政権のものであれ。
Mises on wealth creation and stopping the spirit of predatory militarism (1949) - Online Library of Liberty

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